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コラム ニュース

投稿日: 2021.01.07 14:24

戻ってきたアメリカのレース。2003年ロンドン・チャンプカー・トロフィー【サム・コリンズの忘れられない1戦】

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コラム | 戻ってきたアメリカのレース。2003年ロンドン・チャンプカー・トロフィー【サム・コリンズの忘れられない1戦】

 スーパーGTを戦うJAF-GT車両見たさに来日してしまうほどのレース好きで数多くのレースを取材しているイギリス人モータースポーツジャーナリストのサム・コリンズが、その取材活動のなかで記憶に残ったレースを当時の思い出とともに振り返ります。

 今回は2003年にイギリス・ブランズハッチで開催されたCARTチャンプカーシリーズ第4戦ロンドン・チャンプカー・トロフィー。子供の頃からテレビでチャンプカーを観戦していたコリンズが、初めて生で見たときの興奮を振り返ります。

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 私が1980年代と1990年代初めにイングランドで子供時代を過ごしていた頃、イギリスのテレビにはふたつの『BBC』チャンネルと、ふたつのコマーシャル局というたった4つのチャンネルしかなかった。一部の人たちは衛星テレビやケーブルネットワークでチャンネルを追加していたが、それほど一般的なことではなく、私の家にもなかった。

 1997年に入るとすべてが変わった。新テレビ局の『Channel 5』が3月の終わりに開局したのだ。ポップグループのスパイスガールズが流行った頃だ(メンバーのなかにはクリスチャン・ホーナー代表の未来の妻がいた)。このチャンネルが放送するものは、低予算のメロドラマのような残念なものばかりだったが、なかには素晴らしいものもあった。

 それは毎週日曜日の真夜中に放送されていた “Live and Dangerous”と表示されたコンテンツだ。すぐにそれがオールナイトのスポーツショーであること、そしてこの新しいショーは、CART(1996年にインディカーから分裂してできたシリーズ)の新モーターレースの生中継を行うことが分かった。私は雑誌でレースレポートを読んだり写真を見たりしただけだったので、初めてアメリカのレースを観るのに興奮したことを覚えている。

 私はすぐにチャンプカーに夢中になり、すべてのレースを観た。当時“Live and Dangerous” は何時からレースをスタートするのか表示していなかったので、一晩中起きていることになったし、雑誌にもレースのスタート時刻は掲載されていない。ロンドンとアメリカの時差があるため、特に西海岸でのレースは非常に遅い時間に放送されていた。

 おかげで月曜日の朝に学校に行くと、授業中は居眠りばかり。月曜日の最初の授業は宗教教育だったが、一度先生にとても怒られたことがある。先生はなぜ自分の授業中にいつもそれほど疲れているのか教えるように要求した。

 私が遅くまで起きて、アメリカのモーターレースを観ていることを認めると、先生は怒り、「レーシングカーを観ていることで生活はできませんよ。あなたの学校での勉強のほうがもっと重要です」と私に叫んだ。そのことを思い出すといまだに笑ってしまう。なぜなら、いまではCARTを観ていたことは、カトリックの聖人について学んだことよりも重要なことになったからだ。

 2003年、私は大学を卒業したばかりで、イギリスのモータースポーツの週間新聞で働き始めた。その年の3月から仕事を始めたのだが、そのたった数週間後に、ブランズハッチで行われるCARTチャンプカー・シリーズ第4戦『ロンドン・チャンプカー・トロフィー』に行くように言われた。

 当時、私は広告部門にいて、アマチュアのラリードライバーや小規模ラリーチームと、どこで古いマシンを売り、新車を買うのがベストか、というようなことを主に話したり、小規模なパーツサプライヤーがアマチュアチームに製品を売るのを手伝ったりしていた。直接モータースポーツとは関係のない仕事だったために、とても驚いたことを覚えている。

 実際のところ、私はレースについて書きたいと思っていた。自分がラリー関係者をたくさん知っていて、チームと彼らが必要としている部品会社を引き合わせるのがうまいことには気づいていたが、やりたいことではなかったのだ。結果として企業が広告を出してくれていたが、それは広告を売るスキルあるおかげというわけではない。

 ブランズハッチに行くように言われたのは、おそらく私が現地に行けばラリーの話でもできるという狙いだったのだろう。そこにはすべての企業のトップ経営陣が来ていて、プロドライブのような大企業がさらに広告を出稿してくれるかもしれないから。

ブランズハッチにはCARTをひと目見ようと約40,000人の観客が集まった
ブランズハッチにはCARTをひと目見ようと約40,000人の観客が集まった

◼︎次のページへ:ブランズハッチでの1日は素晴らしい日になる予感


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