2月末にシェイクダウンを完了したばかりで、2021年後半にも本格的カスタマーデリバリーが予定されるアウディスポーツ製の新型TCRツーリングカー、2代目『アウディRS3 LMS』が、3月に入ってからも集中的なテストプログラムを継続中。インゴルシュタットの風洞設備で空力性能の測定を受けたのち、イタリア・ヴァレルンガ、スペインのモーターランド・アラゴンなどで立て続けにトラックテストを実施し、すでに3000km以上のマイレージを稼いでいる。
今季のWTCR世界ツーリングカー選手権でレギュラーを務めるフレデリック・バービッシュの手により、2月23~24日にスペインのパルクモトール・カステッリョで無事シェイクダウンを終えた新型アウディは、開発段階でCFD(数値流体解析)を使用してデザインされていたボディワークの空力性能を数値化すべく、アウディAGの持つインゴルシュタットの実車風洞に掛けられた。
これが初のウインドトンネルとなった新型『アウディRS3 LMS』だが、テクニカルプロジェクトマネージャーのデトレフ・シュミットは「設計段階の見込みが確かだったことが明らかになった」とその首尾を語った。
「数値流体力学を使用した計算の結果は、今回の風洞テストで完全に確認することができた。ダウンフォースとドラッグの測定値は、事前にコンピュータ上で想定していた値とよく一致し、良好なシンクロを見せていたよ」と明かしたシュミット。
その検証を経て、もうひとりのWTCRドライバーであるナサニエル・ベルトンと合流したアウディスポーツのテスト部隊は、3月8~10日にヴァレルンガでのセッションを敢行。
初日はあいにくの雨に見舞われたものの、一般的なコンポーネントのテスト、パワートレインとシャーシの初期セットアップ作業、および空力バランスに焦点を当てた前回のテストメニューを引き継ぎ、ウエットコンディションでのタイヤ空気圧とサスペンション・セットアップの相関を試す機会が得られたという。