欧州の物流を支える企業や労働者層とその家族、そして多くのファンから熱烈な支持を集めるトラックヘッドによる肉弾戦、ETRCヨーロピアン・トラック・レーシング・チャンピオンシップ。そのシリーズ運営を担う選手権プロモーターのETRAヨーロピアン・トラック・レーシング・アソシエーションとFIA国際自動車連盟は、2021年シーズンを前に「安全性、持続可能性、プロのトラックドライバーの不足という3つの戦略的柱に焦点を当てる」とし、チャンピオンシップを次の章に進めるべく『パリ協定』にコミットするとアナウンス。その一環として、再生可能資源から生成されるバイオ燃料の採用も決めている。
2020年末の段階で、ETRAとその筆頭株主であるADAC Mittelrhein(ADACミッテルライン)、そしてFIAの3者は、2025年まで欧州トラックレース選手権のFIAステータスとプロモーション契約を延長する際、3つの重要な優先事項を策定した。
その主眼は「将来に向け、トラックレースのプラットフォームを適応させ、準備するため」とされ、2021年は持続可能性への移行に大きな焦点を当てると確約。その最初のステップとして、ETRAは遅くとも2038年までに二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを意味する“Net Zero(ネット・ゼロ)”に到達すべく、パリ協定への批准を進めるとした。
「我々はチャンピオンシップを次のレベルに引き上げ、明確な目標を掲げて業界の最前線に立ちたいと考えている。ETRCとして、レーストラックの内外で道路輸送と運輸業界の持続可能な技術開発と、その主要なプラットフォームになりたいと考えているんだ」と狙いを明かすのは、ETRAマネージングディレクターのゲオルグ・フックス。
その持続可能性への移行に焦点を当てた動きとして、2021年の重要な施策のひとつがバイオ燃料の採用で、ETRCは完全な再生可能資源から生成された燃料(HVOバイオフューエル)を使用する最初のFIA選手権になることが確定。その技術的詳細や特性、サプライヤーなどの情報は追ってアナウンスされるという。