全22台が集結した2021年のTCRヨーロッパ・シリーズ開幕戦が、5月7~9日にスロバキアリンクで開催され、WTCR世界ツーリングカー・カップ経験者が躍進。予選ではComtoyou Racing(コムトゥユー・レーシング)のトム・コロネル(アウディRS3 LMS)が最速を刻むと、昨季終盤もジョイントしたVolcano Motorsport(ボルケーノ・モータースポーツ)からフル参戦を決めたミケル・アズコナ(クプラ・レオン・コンペティションTCR)がオープニングレースを制覇。
そして、開幕直前にSebastien Loeb Racing(セバスチャン・ローブ・レーシング/SLR)への“復帰”を決めたメディ・ベナーニがレース2で勝利を挙げ、2020年のTCRヨーロッパ王者が新型ヒュンダイ・エラントラN TCRにシリーズ最初の勝利をプレゼントした。
ドライのFP1はアズコナが、ウエットのFP2はコロネルがトップタイムとし、迎えた予選ではQ1、Q2を通じて、このスロバキアリンクを得意とするコロネルが路面温度11℃という厳しいコンディションのもとで先行する展開に。
するとQ2ラストアタック時には「オンボードのラップカウンターが故障していたから、自分のタイムがチェックできなかった」コロネルが、2分10秒344の最速タイムを叩き出す。
「無線で『どうだった? どうだった?』と何度も確認したよ。そしたら『とてもいいよ、P1だ』って。理由はわからないけど、いつもこのサーキットは僕に合っているんだ。常にうまくタイヤを管理することができているからね」と語ったコロネルは、アズコナに対しわずか0.158秒差で開幕戦の最前列を確保した。
「これぞTCR……という感じだね(笑)。最後はミケル(アズコナ)のアタックを見守ることになったが、レースでは全員といい戦いをしたい。僕はいつも『10秒差で勝つより、笑顔でドッグファイトを演じて2位になりたい』と言い続けている。前者は退屈だからね!」と、お祭り男らしい言い回しで抱負を述べたコロネル。
そのまま土曜の15時15分からスタートしたレース1は、実質的にスタートで勝負が決まる展開となり、フロントロウ2番手に並んでいたアズコナが逆襲。トラクション競争でアウディを仕留め、1コーナーに向けホールショットを奪ったアズコナは、オープニングラップから1.894秒の快適なマージンを築いていく。