5月8~9日にオーストラリアはベンド・モータースポーツパークでのスーパースプリント戦が開催されたRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップ第4戦は、3ヒートすべてで今季初優勝ドライバーが誕生するとともに、フォード陣営が開幕から続くホールデンの連勝記録を阻止する“逆襲”の展開となった。
土曜日の予選で今季初ポールポジションを獲得したケリー・グローブ・レーシングのアンドレ・ハイムガートナー(フォード・マスタング)がオープニングでキャリア初優勝を飾ると、日曜はディフェンディングチャンピオンのディック・ジョンソン・レーシング(DJR)のフォード・マスタングを駆るアントン・デ・パスカーレが移籍後初勝利をマーク。
そしてここまで宿敵“SVG”こと、シェーン-ヴァン・ギズバーゲン(ホールデン・コモドアZB)の後塵を拝し続けてきたティックフォード・レーシングのキャメロン・ウォーターズ(フォード・マスタング)も、レース3でライバルを抑え切って待望の2021年初優勝を手にしている。
今季開幕から6連勝と記録的勢いを見せたSVGに加え、第3戦のレース2は“7タイムス・チャンピオン”ことジェイミー・ウインカップが、そしてレース3ではウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド(WAU)移籍2年目のチャズ・モスタート(ホールデン・コモドアZB)がチームとの初優勝を挙げるなど、2021年シーズンはホールデン陣営が席巻する状況が続いてきた。
そんな破竹の快進撃を見せる参戦ラストイヤーのコモドアZBに対し一矢報いたいフォード勢だったが、予選でその急先鋒となったのは意外な伏兵だった。
ウエットコンディショントンとなった“ザ・ベンド”の予選で、移籍後初優勝の勢いを持ち込んだモスタートを0.2122秒上回ったのは、ニッサン陣営からフォードにスイッチして2年目を迎えるケリー・グローブ・レーシングのハイムガートナーで、自身2度目の最前列を射止めてみせる。
フロントロウのふたりに続くのは、これがRSCでの予選自己最上位となる初代TCRオーストラリア王者のウィル・ブラウン(ホールデン・コモドアZB)。その隣にはDJRのパスカーレ、5番手に久々トップ5グリッドの2010年王者ジェームス・コートニーが続く結果となった。
そのまま午後16時過ぎに始まったレース1は波乱続出のセミウエット勝負となり、スタートでは蹴り出しの鈍ったハイムガートナーがモスタートの先行を許すと、背後では8番手発進だったポイントリーダーのSVGが、いきなり3ポジションアップの好発進を決め、パスカーレ、ウィル・デイビソンのShell V-Powerカラーをまとう2台のマスタングを追い詰めていく。
しかしレースの神様はポールシッターを見放さず、ホールショットを奪ったモスタートがターン4進入でワイドになると、その隙を突いて首位浮上を果たしたパスカーレは、続くターン5で止まりきれずにオーバーシュート。ふたたびハイムガートナーがトップランを取り戻し、オープニングラップを終える目まぐるしい展開となる。
2番手に下がったモスタートがSVGとブラウンを押さえ込むのに必死の防戦を見せている隙に、4秒強のマージンを築いたハイムガートナーだったが、6周目には早くもレコードラインが乾き“ターンオーバー”を迎えると、スリックタイヤへの交換を狙って先頭集団がピットレーンへとなだれ込んでくる。