6月5~6日の週末にパラナでの開催が予定されていた2021年のスーパーTC2000(STC2000)第5戦は、紆余曲折を経て6月9~10日に首都ブエノスアイレスのオスカー・ファン・ガルベスに場所と日時を移しての、平日“ミッドウイーク”レースとして争われることに。
その変則日程イベントでは、TOYOTA GAZOO Racingにも所属した現ルノーのダミアン・フィネンチ(ルノー・フルーエンスGT)が、予選ポールポジションからクオリファイレース、フィーチャーレースを制し、週末完全制覇の“ハットトリック”を達成。パーフェクトな形で、ルノースポール・カストロール・チーム移籍後の初優勝を飾っている。
冬に向かいつつあるアルゼンチン国内では、依然として新型コロナウイルス(COVID-19)の症例数が増加傾向にあり、感染者数急増の報告を受けた同国政府は5月22日から31日にかけて、厳格な全土封鎖措置を実施した。
ワクチン接種が進みながらも、1日平均3万人以上の新規感染者数を記録する状況を受け、STC2000のシリーズオーガナイザーも第5戦パラナの週末をキャンセルすることを決断。ロックダウンが明けた6月に入ってからは、同国のシルエット・ツーリングカー選手権である“Top Race”シリーズと共同で、6月9~10日にSTC2000、6月10~11日にTop Raceを開催する合同イベントの実施をアナウンスした。
この結果、第5戦予定地だったパラナから開幕連戦を実施した元F1トラックでの“再戦”となった同ラウンドでは、今季ここまで4戦で好調を維持するホンダ勢とルノー陣営による対決構図が軸となる。
予選では第4戦の“ハットトリック”で選手権リーダーに立ったプーマ・エナジー・ホンダ・レーシングのファクンド・アルドゥソ(ホンダ・シビックSTC2000)や、2019年王者の同僚リオネル・ペーニャ(ルノー・フルーエンスGT)らを従え、今季ルノー移籍のフィネンチがキャリア通算3度目、今季初のポールポジションを獲得してみせた。
かつてフォードのプライベーターマシンで頭角を現し、その実績を買われてTGRのファクトリー・カローラをドライブした男は、25分+1ラップのクオリファイレースでも特権的な地位を守り切り、幸先良く自身のカテゴリー通算3勝目をマーク。
一方で、今季からはシビックに乗るものの、2017~18年シリーズ連覇の時代には同じルノーのステアリングを握っていたアルドゥソは、左フロントタイヤの摩耗に苦しんで脱落。代わってその僚友となるファン・アンヘル・ロッソと、ファビアン・シャナントゥオーニのホンダ・シビックSTC2000が残る表彰台を占拠する結果となった。