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海外レース他 ニュース

投稿日: 2021.06.13 12:40
更新日: 2021.06.14 12:13

あと一歩で表彰台を逃した佐藤琢磨「今日はこれが精一杯だったかも……」/インディカー第7戦デトロイト

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海外レース他 | あと一歩で表彰台を逃した佐藤琢磨「今日はこれが精一杯だったかも……」/インディカー第7戦デトロイト

 NTTインディカー・シリーズ第7&8戦が行われるデトロイトは、佐藤琢磨が最も相性の良いサーキットと呼んでも良いだろう。

 ポールポジションが2014年と2017年の2回。表彰台も2015年2位、2019年3位と2度登壇している。そんな相性の良いコースで好結果に結びつけ、前戦インディ500の不完全燃焼を早く解消したいところだ。

 昨年はコロナのパンデミックの影響により、いち早くレースの中止を発表していたデトロイトだが、今年はレーススケジュールから外れることなく、さらにパドックもファンに解放してレースを開催。グランドスタンドの規模こそ小さくなっていたがほぼ満席状態だった。

 今年も土曜、日曜でそれぞれ予選と決勝が独立して行われる。佐藤琢磨は、金曜日のプラクティスの結果から予選Q1でグループ2に振りわけられたが、レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングのチームメイト、グラハム・レイホール、サンティーノ・フェルッチも同じグループに振り分けられるという皮肉だった。

 琢磨はブラックタイヤでは5番手のタイムだったが、レッドタイヤに履き替えてアタックに臨むと1分16秒4713でグループ8番手に終わってしまった。総合では16番手のグリッドに。あと0.2秒速ければQ2進出なったのだが、琢磨は「0.2秒? もっとだね。0.3秒は速く走らないと前のクルマとは勝負できない」とやや不満気。

 セッションごとに試行錯誤はしているが、ライバルに比して思うようにタイムが縮まってこない印象を受けた。

 レースは70周。気温も上がり初夏の日差しの中でグリーンフラッグが切られた。琢磨はレッドタイヤを履いてスタートした。

 1周目は15番手で通過した琢磨だったが、2周目になるとレッドタイヤからブラックタイヤに履き替えるライバルのマシンが続出する。レッドタイヤのデグラデーションを嫌い、6周目までに約半分の10台がピットインした。

 琢磨はこの気に乗じて大幅にポジションアップ。7周目には4番手に、8周目には2番手にまで浮上して、トップのウィル・パワー(チーム・ペンスキー)の後ろに付けた。

 その後、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)に抜かれるも、3番手のポジションは維持。レッドタイヤでペースが落ち、ピットに入る18周目までポジションをキープした。

 1回目のピットインで左リヤの交換にもたつき、17番手まで落ちるもブラックタイヤでもペースは良く、自力でポジションをアップしていく。

 24周目にフェリックス・ローゼンクヴィスト(アロウ・マクラーレンSP)がターン6でウォールにヒットして大クラッシュ! イエローコーションからレッドブラッグとなり琢磨は12番手でレース中断となる。

 ローゼンクヴィストの救助とコースの修復に時間を要し、およそ1時間のブレイクの後、レースが再開した。

最初の赤旗レース再開後、ヴィーケイとバトルになった琢磨
最初の赤旗レース再開後、ヴィーケイとバトルになった琢磨

 再開後ピットに入るクルマがほとんどで、ステイアウトした琢磨は再び3番手のポジションに戻った。

 レース再開後トップはウィル・パワー、2番手にマーカス・エリクソン、3番手に琢磨だったが、後方から猛追するリナス・ヴィーケイに交わされ4番手となる。

 46周目に2度目のピットインをし、コースに戻って10番手から追い上げた琢磨は、ピットシークエンスが違う前の車がピットに入っていくと55周目の自己ベストラップをマークして4番手に浮上。さらに64周目にはヴィーケイを抜き返して3番手に戻った。

 この直後、最後のドラマが起こる。ロマン・グロージャンが64周目にターン8でクラッシュ。残り6周、このままイエローコーションでフィニッシュかと思いきや、レースコントロールは赤旗でレースを止め、残り5周でレースを再開したのだった。

 ここでトップだったウィル・パワーがECUのトラブルでエンジンが再始動できず、2番手のエリクソンがトップに。琢磨も2番手でグリーンフラッグを迎える。

ピットレーンでレース再開を待つマシンたち
ピットレーンでレース再開を待つマシンたち

 だが、いざというところで琢磨のマシンの加速が足らず、直後のヴィーケイ、そしてパト・オワード(アロウ・マクラーレンSP)にターン1~2でかわされてしまった。

「リヤタイヤのグリップが足らずトラクションが掛からなかった……」という琢磨だったが、以降の車に前を譲ることなく、4位でチェッカー。今季最高位でレースを終えた。

「16番手からのスタートで、いっぱい抜いて抜かれもしたけど、今日はこれが精一杯だったかも……。今日はウィルのレースで、彼は最後に不幸だったし、彼の真後ろまで行ってレースができたけど、ピットのミスもあって、コースに戻って何台も抜き返すことになりました」

「予選が悪かったのは課題ですがグラハムが5位、フェルッチが6位に入って、チームとしては良い結果で終われましたし、今のチームにとってはこれが大事だったと思います。明日も予選と決勝やり直しですけど(笑)。頑張ります!」と琢磨。

 2年ぶりのデトロイトはドラマチックな展開となった。マーカス・エリクソンがインディカーで初優勝を挙げ、ここまで7戦して7人のウイナー、そのドライバーが全員国籍が違うというのもインディカーならではだろうか。もし明日琢磨が勝てば、8人目のウイナーで、8カ国目のドライバーということになるのだが……。

レース後、担当の須藤メカとしっかり握手する琢磨
レース後、担当の須藤メカとしっかり握手する琢磨


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