レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

海外レース他 ニュース

投稿日: 2021.08.22 17:07
更新日: 2021.08.22 17:08

荒れたレースをニューガーデンが制す。パロウのリタイアで王者争いは混戦模様/インディカー第13戦ゲートウェイ

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


海外レース他 | 荒れたレースをニューガーデンが制す。パロウのリタイアで王者争いは混戦模様/インディカー第13戦ゲートウェイ

 NTTインディカー・シリーズ第13戦は1デイイベント。1時間30分のプラクティス、予選の後にイリノイ州マディソンのワールド・ワイド・テクノロジー・レースウェイでのナイトレースが開催された。

 ミズーリ州セントルイスからミシシッピ川を渡ってすぐのところにある全長1.25マイルの非対称形ショートーバルで行われた予選では、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)が今シーズン初のポールポジションを獲得した。

 ひとりずつが連続2ラップのアタックを行い、その合計タイムが競われた予選、パワーは0.0248秒の差をコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート)につけてPP獲得を果たした。

 シボレーは2戦連続のPP獲得。また、このPPは彼にとって通算63回目で、マリオ・アンドレッティが保持するレコード=67回にまた一歩近づいた。

 レースは夜7時に快晴下でスタート。すでに太陽はグランドスタンド側にほぼ沈んでいた。雨の心配じはなかった。

 プラクティス、予選は日中で気温が摂氏30度、路面は摂氏50度と暑かったが、スタート時には気温こそ29度とあまり変わらなかったものの、路面温度は36度と一気にダウンし、ゴールまでには32度に下がる。

日が暮れるなか260周のレースがスタート
日が暮れるなか260周のレースがスタート

 照明を浴びながら、日中とはまったく異なるコンディションで行われたレースを制したのは、予選3番手のジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)だった。

 ポールシッターのウィル・パワー、予選2番手のコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート)、予選7番手だったアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)らとトップの座を争った彼は、139周目からレースをリードした。

 優勝へとひた走っていたハータが駆動系トラブルによってリタイアし、その後にはロッシが単独アクシデントで戦線離脱。ホンダ勢のライバルたちが消え、ニューガーデンはトップを取り戻し、2番手に浮上してきたパト・オーワード(アロウ・マクラーレンSP)には、とうとう最後までアタックさせる隙を一切与えなかった。

 予選5番手だったオーワードは、「チャンスと見たら、すかさずポジションアップを狙う。しかし、長いレースで序盤からリスクは冒し過ぎない」という目標を掲げて走り、上位にポジションを保ち続けた。

 ライバルたちが脱落していったことで彼はシーズン3勝目も狙える2番手を走ることとなった。彼はトップとの差を縮めるべく全力で走り、最後にはニューガーデンのすぐ後ろまで迫った。しかし、逆転優勝はならなかった。

 相手のスピードを考え、“無理をせずに2位でのゴールもよしとしたよう”と考えた面もあっただろう。ポイントリーダーとしてこのレースを迎えていたアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)が、レース前半にもらい事故でリタイアしていたからだ。

ランキングトップに浮上したパト・オワード(アロウ・マクラーレンSP)
ランキングトップに浮上したパト・オワード(アロウ・マクラーレンSP)

 まさかチャンピオン争いを展開中のトップ3のうちのふたりがひとつのアクシデントで戦列を去ることになるとは……。

 リナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター・レーシング)が65周目のリスタート直後、ターン1でスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)に追突し、パロウを巻き込んでの多重アクシデントを引き起こしてしまったのだ。

 若さとアグレッシブな走りがセールスポイントのヴィーケイだが、今回は予選23番手から序盤の混乱に乗じて10番手まで大きく順位を上げており、舞い上がり気味だったのかもしれない。しかし、もうシーズンも終盤、チャンピオン争いをしているドライバーたちには十分に敬意を払った戦いをすべきだった。

レースをリードし勝利を飾ったジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)
レースをリードし勝利を飾ったジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)

 過去2回チャンピオンになっているニューガーデン。シーズン2勝目、キャリア通算20勝目。ゲートウェイ3勝目を挙げた彼はチャンピオン争いに完全復活した。

「勝てて嬉しい。いつだって勝利には大きな意味がある。すぐ前の2レースが苦しい戦いになっていた。勝てる力を持ったマシンに仕上げられていたのに、成績に繋げられなかった」

「今回もマシンは驚くべき速さだった。チームメイトのスコット・マクロクリンがルーキーなのでテストを行い、彼が良いマシンを作り上げてくれた。その結果、僕はチャンピオン争いに復活することができた。シボレーエンジンは燃費もパフォーマンスも良かった」と彼は喜んでいた。

 今年のチーム・ペンスキーはシーズン初めての優勝を第10戦でようやく記録した。ニューガーデンによってだった。その後の3戦で彼らは2勝。強さを取り戻した印象だ。

 ポイント争いは、トップ3のうちのふたりがアクシデントに見舞われたため、混戦状態へと逆戻りした。

 初めてオーワードがトップに立ち、パロウが10点差の2番手。ニューガーデンは3番手にひとつポジションを上げ、しかも、トップのオーワードとの差は22点しかない。

 ランキングが3番手からひとつ下がったディクソンも、トップとの差は43点で、5番手のマーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)もトップとの差は60点と、彼らもまた逆転可能な範囲内にいる。

中盤にオーバーテイクを見せるも初オーバル戦を14位で終えたロマン・グロージャン
中盤にオーバーテイクを見せるも初オーバル戦を14位で終えたロマン・グロージャン

 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は16番手スタートから6位フィニッシュした。残念なことに、パフォーマンスが良かったレースだというのに給油トラブルが発生。それがなければ優勝争いも十分に可能な走りを見せていた。

 予選までではマシンが決まりきらずにいたが、レースでのマシンはオーバーテイクが可能なものになっていた。

 4番手まで順位を上げた後、ピットタイミングを少し早める“アンダーカット”にトライし、これが成功。トップにまで浮上するチャンスを掴んだ。ところが、2回目のピットストップで燃料が80パーセントほどしか入っていなかったため、レース終盤に予定外のピットを行う必要が生まれ、琢磨は残り50周でのリスタートをトップで切れるはずが、6番手でのスタートとなった。

 ゴールまで50周、琢磨は順位を上げるために全力で戦ったが、セバスチャン・ブルデー(AJフォイト・エンタープライゼス)を攻略することはできず、6位のままでのゴールとなった。

「自分たちが得意とし、好成績を残してきているセントルイス、今日は予選でのパフォーマンスは悪かったんですが、レースではゆっくりとですが着実にポジションを上げていくことができ、とてもエキサイティングな戦いとなっていました」

「多くのライバルたちをパスすることができました。しかし不運にも、1回のピットストップで燃料が満タンにできず、最後のイエローで私はピットインを余儀なくされました。本当に残念なことでした」

「チームのクルーはファンタスティックな仕事をしてくれました。あのトラブルがなければ上位で力強く戦えていたと思います。今日は中団からのスタートでも本当に力強い走りを見せ、トップ6でゴールできたのですから、自分たちのチームのことを誇りに思います」と琢磨は語った。


関連のニュース