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海外レース他 ニュース

投稿日: 2021.09.09 23:57
更新日: 2021.09.10 08:46

インディカーは残り3連戦のクライマックスへ。王者争いは初戦のポートランド戦がカギ

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海外レース他 | インディカーは残り3連戦のクライマックスへ。王者争いは初戦のポートランド戦がカギ

 2021年のNTTインディカー・シリーズも3レースを残すだけになっている。開幕戦からの13戦で9人ものウイナーが誕生。最多勝は4人のドライバーによる2勝。誰も決定的な優位にはなく、チャンピオン争いの行方は混沌としている。

 開幕戦でキャリア初優勝を挙げ、ダブルポイントのインディ500で2位となって先輩チームメイトのスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)からポイントトップの座を奪ったアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)は、ロードアメリカで2勝目を記録し、24歳とは思えない安定感の高さで約3カ月に渡ってチャンピオンシップをリードし続けてきた。

 しかし、第12戦インディアナポリス/ロードコース、第13戦ゲイトウェイのショートオーバルで不運な連続リタイアを喫し、同じく2勝のパト・オワード(アロウ・マクラーレンSP)が、2018年の最終戦でデビューして以来初めてポイントリーダーとなった。

 パロウはデビュー2年目、オワードも22歳で、フルシーズン参戦は2年目。才能に恵まれた新しいジェネレーションが続々と参戦してきているインディカー・シリーズだが、まさか今年のチャンピオン争いがここまで若いドライバーたちによって展開されることになるとは、開幕前には予測できなかった。

 もっとも、まだ彼らのうちのどちらかがチャンピオンになると決まっているわけではない。ポイント3、4番手にはジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)と、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)がつけており、逆転タイトルを虎視眈々と狙っている。

 まだ30歳のニューガーデンだが、今年で参戦は10年目。ベテランの括りに入れていいだろう。この4シーズンで2回タイトルを獲得と確固たる地位を築き上げてもいる。

 41歳のディクソンは、今シーズンのテキサスでのレース1で通算勝利数を「51」に伸ばした。次の勝利で歴代2位のマリオ・アンドレッティに肩を並べる現代の最強ドライバーだ。

 タイトル獲得は6回で、こちらもあと1回でAJ・フォイトと史上最多で並ぶ。現状のランキングは若手を追う立場だが、彼らふたりの方がタイトル争いの経験が豊富という点から優位との見方もできる。

 近年のインディカー・シリーズを振り返ると、残り5戦となった時にポイントリーダーだった者が過去5シーズンで4回チャンピオンになっている。

 5レースを残してポイントリーダーだったパロウは、インディアナポリスでのレース前、「勝つ必要はない。全部2位でもチャンピオンだから。残りレースでは確実にトップ3フィニッシュを重ねて行きたい」と話していた。

ポイントをリードしランキング1位をキープしていたパロウ
ポイントをリードしランキング1位をキープしていたパロウ

 ところが、彼を待っていたのは今シーズン初の20番手以下というリザルト。エンジントラブルが原因だった。続く第13戦ゲートウェイでは、予選順位が12番手と振るわず、規定のエンジン交換回数を上回ったためのペナルティ=9グリッド降格もあって21番手スタートだったが、そんな不利を跳ね返して序盤に10番手までポジションアップしていた。

 しかし、65周目のリスタートでリナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター・レーシング)の引き起こした多重クラッシュに巻き込まれてクラッシュ。2戦連続リタイアと、今シーズンで最悪の状況に陥っている。チャンピオンを争っている4人の中で、最も悪い流れに嵌っているのがパロウだ。

 対するオワードは、タイトル争いからフェードアウトしそうな雰囲気にあったが、パロウのリタイアした2戦で5位、2位と上位フィニッシュを重ねて生き返り、ポイントトップの座まで手に入れることに。とはいうものの彼にはまだ一気にチャンピオンへ……というところまでの勢いはない。

 ポイントリーダーにはなったが、パロウとの差は10点しかなく、ニューガーデンが22点差、ディクソンも43点差と遠くない位置にいる。その後ろのランキング5番手につけているマーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)でさえ、60点差とまだ逆転王座可能圏内だ。

 オワードの速さ、勝負強さは、すでにデトロイトでの勝ちっぷりなどで証明されている。タイトル獲得に向けた闘志や意欲の大きさが彼をこのタイミングでポイントトップに押し上げたのだろうが、不安材料もある。アロウ・マクラーレンSPというチームが、まだ強いレースとそうではないレースの間に大きな差がある点だ。移籍1年目のフェリックス・ローゼンクヴィストとの2カーという体制も、タイトルを争う相手たちの属する強豪チームと比べると弱い。

ランキング1位で3連戦に挑むパト・オワード
ランキング1位で3連戦に挑むパト・オワード

 パロウも間違いなく速い。そして、それ以上の強みは彼が非常にクレバーである点。若さに似合わぬ冷静さを常に保ってレースを戦うことができている。その上、彼にはチップ・ガナッシ・レーシングという最強チームがバックについている。

 ディクソンとエリクソンというチームメイトたちとの協調体制も機能しているからこそ、3人がポイントスタンディングのトップ5に入っている。彼らはどのコースでも速い。これはディクソンにも当て嵌まることだが、最終3戦で最も安定したパフォーマンスを発揮そそうなのがガナッシ勢だ。2戦連続の不運にもパロウは強い精神力で持ち堪え、ポジティブさを失っていない。

■カギを握る初戦のポーランド


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