2021年のETRCヨーロピアン・トラック・レーシング・チャンピオンシップの第5戦、実質的“ラウンド3”が9月11~12日にベルギーのゾルダーで開催され、選手権首位を行く好調ノルベルト・キス(レーヴェス・レーシング/マン)が、土曜レース1のポール・トゥ・ウインを含む週末2勝を達成。一方、2017年王者のアダム・ラッコ(バギラー・レーシング/フレイトライナー)や、シリーズ6冠を誇る“帝王“ヨッヘン・ハーン(チーム・ハーン・レーシング/イベコ)らも今季初優勝を飾るなど、実力者たちも反撃の狼煙を上げている。
昨今の感染症対策や、ドイツを中心にヨーロッパを襲った水害の影響も受け、今季も大幅なカレンダー改訂を強いられているETRCは、ここから7週間で5ラウンドを開催する超過密日程を予定し、その幕開けとなるゾルダー・サーキットでの1戦を迎えた。
その初日に主導権を握ったのは、ハンガリー出身で36歳のチャンピオンシップリーダーで、プラクティス、予選スーパーポールでともに最速タイムをマークし、フロントロウ2番手に並んだドイツの“帝王”に対し、0.058秒の僅差でポールポジションを獲得した。
勢いそのままに土曜レース1に臨んだキスは、深紅のマンで後続を引き離すレースペースを披露し、クリーンな12周をドライブして“ライト・トゥ・フラッグ”での今季5勝目を手にした。
その一方で、レース全域を通じて2位を維持していたハーンは、最高で160km/hとなる速度制限リミットを2度も侵すミスをし、それぞれ10秒加算ペナルティで失意の12位にまで後退。代わってランキング2位でキスを追うサッシャ・レンツ(SLトラックスポーツ30/マン)と、スペインのベテラン、アントニオ・アルバセテ(Tスポーツ・ベルナウ/マン)がポディウムに並ぶ結果となった。
続くレース2を前にゾルダー上空からは大粒の雨が落ち、前戦アウトドローモ・モストと同様にスタートディレイから2周の“セーフティトラック”先導で勝負が始まると、リバースポールの良好な視界を味方に、レース1で8位フィニッシュのシュテフィ・ハルム(チーム・シュバーベントラック/イベコ)がリードを拡大していく。
しかし、そんな彼女以上のハイペースを披露したのが5番グリッド発進だったFREIGHTLINER(フレイトライナー)で、チェコ共和国出身の元王者ラッコは、アンドレ・クルシム(ドント・タッチ・レーシング/イベコ)、レネ・ラインアート(レイナート・レーシング/イベコ)、テオ・カルヴェ(バギラー・レーシング/フレイトライナー)らを次々とパスし、3周目までに首位IVECO(イベコ)のリヤバンパーに張り付いていく。