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海外レース他 ニュース

投稿日: 2022.01.02 11:37
更新日: 2022.03.09 20:24

佐藤万璃音が語るFIA-F2ビルトゥジ移籍に至った経緯「移籍話自体は2020年の終わりから」【独占インタビュー】

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海外レース他 | 佐藤万璃音が語るFIA-F2ビルトゥジ移籍に至った経緯「移籍話自体は2020年の終わりから」【独占インタビュー】

 FIA-F2の2021年シーズン最終アブダビ大会直後の12月13日、佐藤万璃音が2022年シーズンのFIA-F2へ参戦すると、上位チームの一角ビルトゥジ・レーシングから公式発表があった。万璃音は早速、アブダビのヤス・マリーナ・サーキットで実施された16〜18日のポスト・シーズン・テストで走り込み、ビルトゥジ・レーシングが仕立てたマシンの感触に手応えを感じたようだ。テスト後すぐに帰国して自宅隔離となっている彼にリモートで取材した。

* * * * * * * * *

──まず、ビルトゥジ・レーシング移籍と聞き後ろへ引っくり返りました。
「ハハハ。移籍話自体は2021シーズンが始まる前、2020年の終わりからありました。要は周冠宇が2020年シーズン限りでFIA-F2を止めるとなったら、僕が2021年シーズンからビルトゥジ・レーシングで乗るという話でした」

「結局、彼は2021年シーズンもFIA-F2を続けたので、僕の移籍は1年遅れました。2022年シーズンに向けたビルトゥジ・レーシングとの契約は、2021年シーズンの途中に済ませました。FIA-F2でも上位チームや有力チームであれば、シーズン半ばには来たるシーズンのシートが埋まるのが現状です」

──イングランド東部に本拠を構えるファクトリー訪問は済ませましたか?
「いえ、まだです。そもそもビルトゥジ・レーシングに顔見知りはひとりも居らず、現場スタッフとの初顔合わせも最終アブダビ大会後のポスト・シーズン・テスト。なので、新しいことづくめでした。僕はこれまでFIA-F4はイタリア、ヨーロピアンF3とユーロ・フォーミュラ・オープンはドイツ、FIA-F2はスペインとイタリアというチーム遍歴でした。四輪レースの本場イギリスのチームは初めてです。ただ、住まいをモナコからイギリスへ移す予定はありません」

──ポスト・シーズン・テストで乗ったクルマは2021年シーズンにフェリペ・ドルゴビッチが乗った4号車ですね?
「はい。これまで戦ってきたクルマとは大きく違いました。まず、路面からタイヤを通して自分に伝わってくる情報量がかなり多い。タイヤの状況やグリップの状況がはっきりと把握できました。トラクションがしっかりと掛かります。これはレースを戦ううえで結構大きいですよ。クルマは良く曲がるし、自分が行きたいところへクルマを運べます」

──これまでのチームとは仕事の進め方に違いはありましたか?
「うーん、イタリア人とイギリス人なので(苦笑)、そこは結構大きく違います。強いて言えばイギリスのビルトゥジ・レーシングはドイツのモトパークに近いかな?」

「3日間のポスト・シーズン・テストは、午前が新品タイヤでのパフォーマンスランで午後が中古タイヤでのロングランが基本でした。ただ、2日目の午後は最後に新品タイヤでのパフォーマンスランで締めくくりました」

──ポスト・シーズン・テストにおける新しいチームでのクルマの手応えはどうでした?
「パフォーマンスランで自分がセクター・ベストを揃えれば、3日間ともトップ6くらいには食い込めていました。だからクルマのポテンシャルは確実にあると思います。今回は自分が新しいクルマに慣れたり、自分の走りに合わせたクルマの調整を進めたりの3日間でした。とくにロングランのペースは非常に良かったなと」

「どのロングランもタイヤは最後まで綺麗で、もちろんペースも常に良かった。これまでのように、終盤になって一気にグリップを失ってペースがガクンと落ちるような場面も無かったですね」

──万璃音選手が2019年シーズンのユーロ・フォーミュラ・オープンで王座を獲得したときのライバル、ジャック・ドゥーハンがチームメイトとなり、ポスト・シーズン・テストでは速いタイムを記録しました。
「彼はパフォーマンスランを繰り返していて、速いタイムを出そうと集中しているテスト・プログラムでしたね。一方の僕は彼と少し異なるテスト・プログラムでした」

「テスト・プログラムの違い、集中していた部分の違いがタイムに表われたと言えるかもしれません。僕たちは僕たちの試したいことやテストしておかないといけないことに集中していました」

──2022年シーズンは万璃音選手のほかに、ふたりの日本人ドライバーの参戦があるかもしれません。
「どうでしょう? 空港で会って少し会話しましたが、正式発表されていない段階だったので、そこまで突っ込んだ話はしませんでした。彼らを意識するよりも、とにかく自分の仕事やレースに集中するだけですね」

「2022年シーズンは14大会開催と結構増えて、2週連続開催もある。2021年シーズンの8大会は少なかったけど、そのぶん1大会3レースだったので週末が忙しかった。ともかくレースフォーマットが元へ戻ったのは歓迎です」

──2022年シーズンのバーレーン開幕大会前にはプレ・シーズン・テストもあります。
「はい、いつものやつがあります。まあ、上位チームで戦うのはユーロ・フォーミュラ・オープンのモトパーク以来久しぶりなので、とてもワクワクしています。ただ、FIA-F2フル参戦3シーズン目、僕はもう22歳の“おじさん”ですからね。チームメイトのジャックは未成年でしょう? 2022年シーズンは勝負の年と言えます」

「1月のうちにはモナコへ戻り、来たるシーズンを万全のかたちで迎えるつもりです。こんなご時世なので日本滞在中も外出は憚れますし、いまは自宅でトレーニングするなど、新しいシーズンへ向けての準備に励んでいる最中です」

佐藤万璃音(ビルトゥジ・レーシング)
ビルトゥジ・レーシングの車両に乗り込む佐藤万璃音。ポスト・シーズン・テストでは2021年シーズン中フェリペ・ドルゴビッチが乗った4号車に搭乗した。
佐藤万璃音(ビルトゥジ・レーシング)
佐藤万璃音(ビルトゥジ・レーシング)
佐藤万璃音(ビルトゥジ・レーシング)
12月16〜18日のポスト・シーズン・テストで走り込む佐藤万璃音(ビルトゥジ・レーシング)
佐藤万璃音(ビルトゥジ・レーシング)
佐藤万璃音(ビルトゥジ・レーシング)


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