4月23~24日の週末に、アメリカはアラバマ州タラテガのスーパースピードウェイで開催されたNASCARカップシリーズ第10戦『GEICO 500』は、リードラップわずか1周。最後の最後の攻防を制した2022年“台風の目”ロス・チャスティン(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)がカップシリーズ2度目の勝利を挙げ、今季の勢いがフロックではないことを証明する結果となった。
第6戦となったサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)にて、待望のシリーズ初優勝を遂げているチャスティンは、前半戦のオーバルで2戦連続の2位入賞を果たしていたものの、まだロードコース以外でのカップ戦勝利を掴めない状況が続いてきた。
しかし土曜予選でその“伏兵”に立ち塞がったのは、復調なったトヨタ陣営のジョー・ギブス・レーシング勢で、前戦のダートオーバルでもフロントロウを獲得していたクリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)がカップ2度目のポールポジションを獲得。その隣には0.081秒差でチームメイトのマーティン・トゥルーエクスJr.(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)が並び、JGRの2台がタラデガで初の最前列ロックアウトを決めた。
新車両規定“Next-Gen”でもリストリクタープレートを採用する超高速戦は、16名のドライバー間で計41回のリードチェンジが繰り返される典型的かつ劇的な1日を演出し、まずは昨季のタラテガ覇者でもあるダレル“バッバ”ウォレスJr.(23XIレーシング/トヨタ・カムリ)が、序盤戦ステージ1でシーズン初の勝利をもぎ取っていく。
続くステージ2でもそのトラック特性を象徴するリードチェンジにより、ウイリアム・バイロン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)が188周中最多リードラップとなる38周を刻んでこのピリオドを制覇。しかしそのウォレス、バイロンともに最終ラップでポジションを失う“ジェットコースター”フィニッシュが待ち受ける。
レースは残り1周、この日は25周のリードと好調を維持したエリック・ジョーンズ(ペティーGMSモータースポーツ/シボレー・カマロ)を先頭に、ディフェンディングチャンピオンのカイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)に続き、チャスティンが3番手で迎えたファイナルラップ。
ラインから外に出てリードを奪う態勢を取った2番手ラーソンに対し、チームオーナーのリチャード・ペティに2014年以来の初勝利をもたらすべく奮闘するジョーンズも、ディフェンスラインで抑え込むべくトップへとマシンを振る。
すると、この動きの余波で行き場を失ったカート・ブッシュ(23XIレーシング/トヨタ・カムリ)がウォールの餌食となり、その反動でチームメイトのウォレスまでもが道連れに。