創設2年目の今季より、シリーズ名称をPURE ETCR(ピュアETCR)改め『FIA eツーリングカー・ワールドカップ』へと改称したTCR規定派生の電動ツーリングカー選手権が、WTCR世界ツーリングカー・カップの併催イベントとしてフランスのポー市街地で開幕。3マニュファクチャラー、12名のドライバーがふたつのプールに分かれて争った勝負は、初年度王者マティアス・エクストローム率いる新生クプラEKSがトップ3を独占するロケットスタートを披露。代表自らが開幕戦を制する結果となった。
昨季初年度はハンガリーに拠点を置くゼングー・モータースポーツとのジョイントチームで参戦したクプラ陣営は、エクストロームが創設したEKSが運営を引き継ぐかたちでセアト・クプラe-Racerを投入。そのクプラ×ゼングー・モータースポーツでもチームメイトを務めたジョルディ・ジェネに加え、トム・ブロンクビストやエイドリアン・タンベイが新加入し、エクストローム自身もエースとしてタイトル防衛に挑むこととなった。
一方、こちらも同じくヒョンデ・ヴェロスターN ETCRを走らせるヒョンデ・モータースポーツNは、初年度にタイトルを争ったジャン-カール・ベルネイを筆頭に、移籍加入のミケル・アズコナや2019年WTCR王者ノルベルト・ミケリスが参入。ケビン・チェコンとニッキー・キャツバーグが数戦ずつシートをシェアするラインアップとした。
そして唯一のサルーンモデルであるアルファロメオ・ジュリアETCR投入のロメオ・フェラーリは、DTMドイツ・ツーリングカー選手権で戦って来たワールドクラスのタレントを招聘。ベルギー出身のマキシム・マルタンに元王者のブルーノ・シュペングラーを起用し、残留のルカ・フィリピと地元イタリア出身のオールドルーキー、ジョバンニ・ヴェンチュリーニの布陣で挑む。
そのレースフォーマットも、ふたつのプールに分かれて日曜スーパーファイナル進出を目指す昨季同様の形態となるが、その名称が『プールA』『プールB』から、著名映画シリーズを思わせる『Fast』&『Furious』へと改称。全12名が土曜日の予選と準々決勝に出場し、日曜日の準決勝に駒を進めたドライバーたちが週末プログラムを締めくくる最終決戦に臨む。
その両プールとも予選ポールシッターが準々決勝の戦いも優位に進め、プール『Fast』ではヒョンデのエース、ベルネイが最速を記録してアルファロメオのマルタンとともに勝利を収める。しかし技術委員はベルネイに対し、準々決勝で許可されたよりも高い電力レベルを使用したことを発見し、ヒョンデを正式結果から除外。代わってクプラEKSのブロンクビストが勝利を収め、プール『Furious』では同じくクプラEKSのエクストロームと、初参戦シュペングラーのアルファロメオが勝利を挙げた。
明けた日曜朝の準決勝は、それぞれプール『Fast』でクプラのタンベイと、ヒョンデのミケリスが、プール『Furious』ではエクストロームが勝利を挙げたのに加え、伏兵ヴェンチュリーニがETCR初のセッション制覇を達成する。
この準決勝より長丁場となるスーパーファイナルに向け、プール『Fast』で勝ったタンベイは、勝負を前に「確固たる戦略が鍵になる」との見通しを示した。