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海外レース他 ニュース [PR]

投稿日: 2022.05.20 18:00
更新日: 2022.05.22 03:11

第106回インディ500直前スペシャル座談会。GAORA SPORTSでおなじみの3名がインディ500の魅力と見どころを紐解く

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海外レース他 | 第106回インディ500直前スペシャル座談会。GAORA SPORTSでおなじみの3名がインディ500の魅力と見どころを紐解く

 2022年シーズンのNTTインディカー・シリーズ第6戦『第106回インディアナポリス500マイルレース(インディ500)』は現地時間5月29日に決勝を迎える。世界三大レースのひとつに数えられるインディ500の決勝の模様は、今年もスポーツ専門チャンネル『GAORA SPORTS』にて生中継される。今回は『GAORA SPORTS』のインディカー中継でおなじみ、そして今大会の決勝でも解説を担当する元インディカードライバーの松田秀士氏、松浦孝亮氏、そして実況を担当する村田晴郎氏を迎えて座談会を実施し、“インディ500の魅力と2022年の見どころ”について聞いた。

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■特別な一戦『インディ500』

──早速ですが、インディ500の魅力、他のレースとの違いから伺えればと思います。

村田:インディ500は、世界最大級のオーバルレースであり、アメリカのスポーツのひとつの象徴でもあると思います。そして、アメリカンフットボールの『スーパーボウル』やメジャーリーグの『ワールドシリーズ』のような、スポーツシリーズを代表する大会であり、アメリカならではの空気感、文化がある非常にお祭り的なレースですね。そして、初開催の1911年から続く歴史と伝統があります。文化的、歴史的にも、スケールがとてつもなく大きいレースだと思います。視聴者の皆さんにも、そこを感じてほしいですね。

──松田さん、松浦さんはインディ500にドライバーとして参戦されましたが、初参戦の際の印象はいかがでしたか?

松田:私は1994年に初めて出場しましたが、あんなにすごいものだとは、正直現地に着くまで思っていませんでした。若者だけではなく、お年を召された人まで観戦に訪れており、ファンの方の年齢層の広さに驚きましたね。それまで日本だけではなく、ル・マン24時間レースなどのヨーロッパのレースも戦いましたが、老若男女がサーキットに一同に集う光景は初めて目にしました。今までとは違う世界に来たんだと思いましたね。

松浦:私は2004年が初参戦でした。開幕前から『インディ500はすごいぞ』と、みんなから耳にタコができるくらい聞かされて5月を迎えました。5月に入って、3週間くらいスピードウェイと自宅を往復して、その頃は朝10時くらいから夕方までプラクティスがあったので、朝から夕方まで決まった時間に働くサラリーマンのような感じだな、と思ったことを覚えています。

 ただ、レースデイになるとすべてがガラッと変わりました。それまで毎日渋滞もなくスピードウェイに到着できましたが、レースデイになると世界中から30万人が集まりますので、渋滞が大変。その渋滞にはまるとセッション開始に間に合わない可能性もあるとので、警察車両の先導でサーキット入りすることになりました。ただ、自宅を出る時間が早すぎて、渋滞もなくすんなりと到着したのを覚えています(一同大爆笑)。

 しかし、選手紹介やプレレースが始まる頃には、1周2.5マイル(4.023km)のスタンドに30万人が埋め尽くしており、その光景には鳥肌が立ちました。やはり、村田さんがおっしゃったように、そのスポーツを代表する大事な大会です。ただ、インディカーの場合、どのドライバーも年間シリーズタイトルよりも、インディ500の1大会を制することに懸けている。それくらい特別なレースですね。

 あと、プラクティスデイも毎日のように何かしらの賞金が出るのもインディ500ならではですね。私は2004年大会のプラクティス4日目に、その日のトップタイムを記録しました。当時は一日のトップスピードを出すと、ファステスト・オブ・ザ・デイとして賞金に3000ドル上乗せとかもありました。

松田:私は4度インディ500に出ましたが、初年度の1994年とかは、予選で4周の平均ラップがもっとも接近しているドライバーにも賞金が出て、たしか2万5000ドル貰いましたね。

第106回インディ500直前スペシャル座談会
第106回インディ500直前スペシャル座談会

一同:なんと!

松田:あとはデイ・オブ・ザ・ポールも2回獲ったかな。4日間あった予選のうち、最初のポールデイを除く3日間で、その日一番速かったドライバーにデイ・オブ・ザ・ポールとして2万5000ドルというのもありました。1996年に8位で決勝を終えて、月曜日の表彰式に出た際、そのレースで6位だったエリセオ・サラザールが私の目録を見て『なんで松田の方が賞金が多いんだ!』って怒り出して、『いや、デイ・オブ・ザ・ポール獲ったからだ!』って言いましたね(笑)。

松浦:私の時にはファッションショーみたいなこともやりました。あれも確か賞金が出ていましたね。

村田:ありましたね。レースと関係のないレクリエーションのような感じで、ドライバーだけではなくチームも参加していましたね。

松浦:そういったところも含めて、インディ500は本当にお祭り感たっぷりのレースです。

13回目のインディ500に挑む佐藤琢磨
13回目のインディ500に挑む佐藤琢磨

■予選フォーマット変更はドライバーにとって“辛い”ところ?

──2022年のインディ500は予選1日目に13番手以下のグリッドが決定。予選2日目に『トップ12予選』を実施し、7番手から12番手までのグリッドを決定し、その後に残る上位6名でポールポジションを決する『ファスト6』を迎える予選フォーマットとなりますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

松田:フォーマットが変わり、予選の組み立て方もかなり変わりそうですよね。

松浦:ドライバーとしては予選は1回で終えたいところですね。予選アタックはメンタル的にかなりきついので。リヤウイングがマイナス5.5度という状態で4周を全開。滑っても全開、クラッシュしても知らないというくらいの、一か八かの予選を1回走った上で、ポール争いに向けてそこからまた予選セッションを重ねるとなると……嫌ですね。

村田:精神的にしんどいですよね。

松浦:そうですね。私の時代は『トップ11』が予選1日目で決まり、12番手以下が予選2日目に決まるフォーマットでした。私は初日で予選を終えることができたら、予選2日目はゴルフしていました。スピードウェイに行かず、数少ない休日というか、気持ちリセットしたくて(笑)。

村田:レースウイークも長いですし、1日でも緊張から解放されるというのは大きいですね。

松浦:その気持ちが休まる1日がなくなるのは、かなり辛いですね。

インディ500へは2004年〜2007年にかけて4度出場した松浦孝亮氏
インディ500へは2004年〜2007年にかけて4度出場した松浦孝亮氏

■インディ500ならではの“個人的”見どころ

──それでは、皆さんのそれぞれ個人的なインディ500の見どころを教えてください。

村田:見どころはやはり、レース前のセレモニー含めて、徐々に盛り上がっていく雰囲気をぜひ、お茶の間でも楽しんでいただきたいです。なので、決勝は是非『GAORA SPORTS』の放送開始(5月29日の24時)から見ていただきたいですね。

松浦:私もまったく同じですね。あの雰囲気は……本当に特別です。2004年にはセレモニー中にアメリカ空軍のステルス戦闘機(B-2スピリット)が飛んできましたよ。

村田:一時期は国家機密と言われた機体ですよね(笑)。

松浦:あれには私も鈴木亜久里さん(当時松浦氏が所属したスーパーアグリ・フェルナンデス・レーシングの共同オーナー)も腰を抜かしましたね(笑)。

村田:そのセレモニーなどを経て、グリーンフラッグ。3列によるローリングスタートでターン1に一斉飛び込んでくるシーンは、逃さず見ていただきたいです。

松田:私の個人的見どころは、作戦。インディ500はそこが重要になりますね。もし、決勝途中でアクシデントが発生すると、急な作戦変更も必要となるなど、運や不運に左右される部分もあるのですが、そういった中での駆け引き。ドライバーはもちろんですが、ピットでストラテジーを組み立てているチームスタッフの存在が鍵ですよね。レース時間も距離も長いので、そういった駆け引きも含めて見ていただければ、よりインディ500を楽しんでいただけるのではないかと思います。

インディ500へは1994年〜1996年、1999年と4度出場した松田秀士氏
インディ500へは1994年〜1996年、1999年と4度出場した松田秀士氏

■過去のインディ500で印象深いシーンと2022年大会の注目ドライバー

──これまでのインディ500でもっとも印象深いシーンとはズバリどこでしょうか?

村田:それはやはり、佐藤琢磨選手が優勝した瞬間かと思います。それ以外でとなると……強烈に印象に残っているのは2011年大会のJR.ヒルデブランドのファイナルラップのターン4でのクラッシュですね。

松田:同じく!(笑)。ちょうどその時ターン4で見ていたのだけど、クラッシュしてからもスロットルが全開だったなぁ。

村田:最後の最後にダン・ウェルドンがヒルデブランドを抜き去って優勝というレースでした。あとは、2006年大会で当時新人のマルコ・アンドレッティがサム・ホーニッシュJr.にファイナルラップでかわされて勝利を逃したところも印象深いシーンですね。どんなに技術革新が起きても、やはり人が操るスポーツなので、運や“持っている”、“持っていない”含めドライバーのキャラクターも楽しんでほしいところです。

インディカー中継で2004年より実況を担当する村田晴郎氏
インディカー中継で2004年より実況を担当する村田晴郎氏

──今大会はフルグリッドとなる33台がエントリーします。皆さんの考える注目のドライバーを教えてください。

松浦:今大会はファン・パブロ・モントーヤの優勝もあるのではないかと思っています。去年のエリオ・カストロネベスの優勝にだいぶ火を着けられているのではないかなと。ホンダ勢ではアレックス・パロウ、シボレー勢ではモントーヤが本命ですかね。

村田:去年に続いてエリオが今大会でも勝つと、前人未到の5度目の優勝となるので、そういうところでも注目したいですね。

松田:私はスコット・ディクソンが気になりますね。ここのところパロウに負けている状況が続いていますから、予想とか本命とかではなく、あくまで個人的に応援したいドライバーだと思っています。

松浦:ディクソンは平均点はいつも高いので、シリーズ争いでは強いんですけどね。

松田:あとはエド・カーペンターですね。ポールポジションはエドに獲ってほしいかなぁ。

村田:カーペンターにとっても悲願ですからね。

松田:そう。しかも、エド・カーペンター・レーシングを率いる社長でもあるわけです。自分でチームを運営するモチベーションのかたまりのようなドライバーですから、そういう意味でも応援したいですよね。インディ500は他のラウンドと異なり、本当に特別なものだと思います。エドは数少ないインディアナポリスのスペシャリストのような存在だとも感じますし、このレースに出るために莫大な資金を投じ、勝つために自分以外のドライバーも起用し、一緒に走ったりと徹底しているので、応援したくなるドライバーだなと思います。

村田:あとは、ジョセフ・ニューガーデン。彼はここで獲らないと少し厳しいかな。若い頃からペンスキーに乗り、次世代アメリカ人ドライバーとして大きな期待を集めましたが、まだアメリカを代表するニューヒーローと呼べるまでにはなっていない。それは、インディ500で勝利を挙げていないからだと思います。参戦11年目を迎えて、インディ500未勝利のままだと厳しいです。彼がアメリカ人の新たなヒーローになれるかどうかの瀬戸際でもあると思います。ここで勝って、アメリカのファンからどんな反響を受けるのかは、是非見てみたいところですね。

 そして、パロウやパトリシオ・オワードといった若いドライバーが勝てば、本当の意味での世代交代が始まるのではないかと思います。シリーズ全体の流れを見ていても、若い世代が台頭してきており、勢いもあると思います。あとはその若手の中から誰がインディ500を制するか、ですね。

松田:ロマン・グロージャンとジミー・ジョンソンも注目の存在ですよね。

松浦:グロージャンは優勝あるかもしれませんね。まだオーバルレースの難しさを知らないからこそガンガンと。上手くハマれば、経験があってクラッシュなどのトラウマを抱えているベテランを凌ぐイケイケっぷりが見られるかもしれません。

村田:そしてもちろん、佐藤琢磨選手の3度目の優勝に期待です。やはり、2度勝っているという経験が大きいですよね。インディ500の勝ち方を知っていることは大きなメリットですから今年も優勝候補のひとりです。やはり、注目ドライバーは挙げだすとキリがないですね(笑)。本当に今年は展開が読めない戦いが繰り広げられることになりそうです。

GAORA SPORTSでは第106回インディ500決勝を生中継。実況は村田晴郎氏、解説は松田秀士氏、松浦孝亮氏が務める
GAORA SPORTSでは第106回インディ500決勝を生中継。実況は村田晴郎氏、解説は松田秀士氏、松浦孝亮氏が務める

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 今年も第106回インディ500の予選、そしてカーブデーの模様はBSスカパー!で生中継されるほか、28日(土)21時30分からはスカパー!公式YouTubeチャンネルにおいて『【佐藤琢磨 参戦!】インディ500直前座談会』が生配信される。

 また、GAORA SPORTSでは決勝を直前に控えた29日(日)23時30分から、元インディカードライバーの中野信治氏が2年ぶり3度目の制覇を目指す佐藤琢磨の胸中を探るスペシャル番組『直前SP!インディ500 佐藤琢磨3度目の優勝へ』の放送も決定。こちらはスカパー!では無料放送も行われるので、まだ加入していない人も必見だ。

 そして、決勝の模様は5月29日(日)深夜0時〜30日(月)早朝5時30分までGAORA SPORTSで生中継。決勝では今回座談会に出席した村田晴郎氏が実況を、松田秀士氏、松浦孝亮氏が解説で登場する。今大会もGAORA SPORTSで第106回インディアナポリス500マイルレースを存分に、余すことなく見届けたいところだ。今年も眠気が吹き飛ぶ熾烈な戦い、そして感動の瞬間が訪れるに違いない。

■第106回インディ500 予選1日目
5月21日(土)深夜1時~【生中継】 BSスカパー!
解説:松浦孝亮、小倉茂徳 実況:レーサー鹿島 

■第106回インディ500 予選2日目
5月23日(月)早朝5時~【生中継】 BSスカパー!
解説:松浦孝亮、小倉茂徳 実況:レーサー鹿島 

■インディ500直前! CARB DAY リポート
5月27日(金)深夜0時~【生中継】 BSスカパー!
解説:松田秀士、小倉茂徳、実況:レーサー鹿島

■【佐藤琢磨 参戦!】インディ500直前座談会
5月28日(土)よる9時30分~【生配信】 YouTubeスカパー!公式チャンネル
URL:https://youtu.be/MUPustLwu28
出演:松田秀士 リモート出演:天野雅彦、ロジャー安川

■直前SP!インディ500 佐藤琢磨3度目の優勝へ
5月29日(日)よる11時30分~ GAORA SPORTS

■「第106回インディ500」~インディアナポリス~
5月29日(日)深夜0時~【生中継】 GAORA SPORTS

・GAORA SPORTSホームページ:https://www.gaora.co.jp/
・BSスカパー!の放送スケジュールはこちらから:https://sports.skyperfectv.co.jp/genre/motor/indycar/
・GAORA SPORTSの視聴方法、加入はこちらから:https://www.gaora.co.jp/guide/

13回目のインディ500参戦となる佐藤琢磨(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・リック・ウェア・レーシング)
13回目のインディ500参戦となる佐藤琢磨(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・リック・ウェア・レーシング)

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