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海外レース他 ニュース [PR]

投稿日: 2022.05.27 20:47

元インディカードライバー松浦孝亮、武藤英紀が語る、インディ500の『勝負どころ』と『佐藤琢磨の3勝目の可能性』

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海外レース他 | 元インディカードライバー松浦孝亮、武藤英紀が語る、インディ500の『勝負どころ』と『佐藤琢磨の3勝目の可能性』

 2022年シーズンのNTTインディカー・シリーズ第6戦『第106回インディアナポリス500マイルレース(インディ500)』は現地時間5月29日に決勝を迎える。世界三大レースのひとつに数えられるインディ500の決勝の模様は、今年もスポーツ専門チャンネル『GAORA SPORTS』にて生中継される。今回は『GAORA SPORTS』のインディカー中継でおなじみであり、元インディカードライバーの松浦孝亮氏、武藤英紀氏に“決勝の勝負どころ”、そして“佐藤琢磨のインディ500の3勝目の可能性”について聞いた。

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■ドライバーにとってのインディ500

 まずは、インディ500を経験したふたりに、ドライバーにとってのインディ500の魅力について聞いた。

 2004年から2007年までの4大会に出場した松浦氏は「インディカーシリーズは年間の通じてチャンピオンシップを争うシリーズですが、インディ500以外のレースは、インディ500に向けた“消化レース”のような一面もあります。インディ500のためだけに1シーズンがあるという感じです。そのため、シリーズチャンピオンになるよりも、インディ500の優勝の方が、何十倍、何百倍と価値のあるものだと、教わりましたね」と、参戦当時を振り返る。

「参戦する前からインディカーについてはわかっていましたが、インディ500の凄さについては、実際に参戦するまで理解していなかった部分もありました。スピードウェイで速く走れると、メカニックやチーム、そしてファンの皆さんからも認めてもらえて、ドライバーは『お前は一人前のインディドライバーだ』という評価を受ける。なので、初参戦の頃は毎日、『スピードウェイに来るときには、ここを走れることをリスペクトして、ちゃんと走らないとダメだぞ』とばかり言われていました」

 2008年〜2010年と3大会に出場した武藤氏は「やはりコースも特徴的です。バンク角は浅く、なおかつ、どのコースよりもトップスピードが出ます。そして歴史と伝統のあるコースですので、その場所でレースができるということはドライバーにとって醍醐味だと思いますね」

「また、インディ500は1日で集客するイベントとしては世界最大級と言われており、決勝ではその大観衆の中で走ることになるのですが、その光景はそれまで経験したことがなかったほど衝撃的なものでした。あの景色は、今でも目に焼き付いています」と語った。

第105回インディ500マイルレースのスタートシーン
第105回インディ500マイルレースのスタートシーン

■決勝の勝負どころに向けた“アジャスト”が鍵に

 現地時間5月29日に決勝が行われる第106回インディアナポリス500マイルレース。500マイルと長時間かつ長距離の戦いとなるが、その中でも戦況を左右する勝負どころがあるに違いない。そこで、経験者ふたりに“決勝の勝負どころ”とはどこなのかを聞いた。

「残り50周です。オーバルレースはどうしてもトラフィックの中で走る時間が長くなります。そのトラフィックの中でしっかりと走れるクルマを作るとなると、ダウンフォースが多めのクルマになりますが、優勝するためには、最後にトラフィックから抜け出すことが必要です」(松浦氏)

「すると、ダウンフォースのあるクルマだと、トップに出ることが凄く難しいですし、トップに出ることができてもすぐに抜かれてしまう。私は勝ったことはありませんので、さじ加減はわかりませんが、琢磨選手のような優勝経験者や常に上位フィニッシュができているドライバーは、勝つためには何が必要なのか、クルマの味付けについても数値では表せない自分の中の感覚というものを持っているのだと思います」と松浦氏は語った。

 また、武藤氏も後半の戦いが勝負どころだと話す。

「まず、決勝前半は前のクルマについて行きます。ある程度ダウンフォースがあれば、集団の中でも走りやすいので。トップ5くらいまでは、ダウンフォースのある程度ついているクルマが強いと思いますが、それより上となると、“先頭を走っていても速いクルマ”でなければいけません」

「レース後半にかけて少しずつウイングなどをアジャストして、レスダウンフォースで徐々にクルマのドラッグを減らす方向に向けますが、そこでのバランスが非常に重要になると思います。コンディション変化に応じてタイヤの内圧を変えたり、燃料が軽くなると前後の重量配分が変わるで、ウエイトジャッカーで荷重を補正したり。できるだけ抵抗なくコーナリングできるように、マシンバランスを徐々にシフトしていきます。それが特に上位勢の最終スティントでのトリッキーな戦いを演出する部分でもあると思います」

 また、もし現役ドライバーとして今大会に参戦するとしたらどのチームのクルマに乗りたいかと両名に聞いた。

 松浦氏は「チップ・ガナッシです。やはり、レースの勝ち方を知っているチームですから。もちろん他のチームも強いですが、やはりチップ・ガナッシはスコット・ディクソンがいますし、毎年必ず上位にいますよ。なんであんなに強いのか、というのを一度チャンスがあれば経験したかったというのは以前から思っていました」

 武藤氏は「特定のチームはありませんが、強いて言えば、トップチームと呼ばれるところに乗りたいですね。成績も安定しているのでリスクも少ないと思います。とはいえ、琢磨選手も、規模がそこまで大きくはないチームでプラクティスはかなり調子が良かったですよね。そういうところも、インディ500の醍醐味だと思います」

佐藤琢磨(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・リック・ウェア・レーシング)
佐藤琢磨(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・リック・ウェア・レーシング)

■今大会での佐藤琢磨の3勝目の可能性

 2022年大会にはベテランからルーキーまで、33人のドライバーが参戦する。そんな中から両氏の注目ドライバーを聞いた。

 松浦氏は「アレックス・パロウに注目しています。昨年シリーズタイトルを獲得して、今年はより強さを増している印象ですし、彼にとっても今一番欲しいのがインディ500での優勝だと思います。チャンピオンとなり、次はインディ500の王者という称号が欲しい状況です。彼自身も強いですし、チームも強い。ホンダのエンジンも速く、勝利に向けたすべての要素が彼のところに集まっているという印象も受けました」と、若く勢いに乗るパロウのインディ500初制覇に注目する。

 一方、武藤氏は「エリオ・カストロネベスですね。勝ち方を知っていますし、クルマ、そして自分自身をトップへと持っていくことにも慣れているドライバーです。あとは、スコット・ディクソンも優勝候補のひとりだと思います。経験も豊富なので、若い選手みたいに焦ることもないだろとも思います。そして、個人的にはファン・パブロ・モントーヤも楽しみな存在です。あとはNASCARで大活躍したジミー・ジョンソンのインディ500での走りも期待したいですね」

「今年のインディ500は本当にレベルが高く、どの人が勝ってもぜんぜん驚かない展開です」としながらも、特にベテラン勢に注目していると語った。

3度目のインディ500制覇へ向け、順調にセッティングを煮詰めていく佐藤琢磨
3度目のインディ500制覇へ向け、順調にセッティングを煮詰めていく佐藤琢磨

 そして、日本のファンから大きな期待を集める佐藤琢磨。2017年、2020年と2度インディ500を制しているだけに、3度目の優勝にも期待が集まる。予選を10番手で終え、4列目から決勝のスタートを迎える佐藤琢磨の3度目の優勝はあるのだろうか。その可能性について両名に聞いた。

 松浦氏は「オーバルレースはリードラップにいる限り、優勝のチャンスがあります。なので確率で言えば、ないとは言い切れないですが、それでも高いとも言い切れません。今季、琢磨選手は決して良い流れでシーズンを進めることができていません。ただ、琢磨選手にはチームを引っ張っていく力、人を説得する力があります。そして今はチームが琢磨選手の力を借りたい状態にあるのでは?とも思います。そこで琢磨選手の思い描いているものがうまく機能し始めると、化学変化が起き、トップ3チームを中心とした優勝戦いに加わるレースをしてくれるのではないかと思います」と予想する。

2007年のインディ500に挑む松浦孝亮氏(スーパーアグリ・パンサー・レーシング)
2007年のインディ500に挑む松浦孝亮(スーパーアグリ・パンサー・レーシング)

 一方、武藤氏も「プラクティスまでの流れを見ていると、可能性あると感じています。ただ、インディ500というレースは、かなり運の要素も重要になります。決勝の行方は本当に蓋開けてみるまでわかりません」としつつも、佐藤琢磨を優勝候補のひとりに挙げる。

「ただ、運とかいうものを考えないのであれば、琢磨選手は優勝候補のひとりだと思っています。今大会では調子も悪くなさそうですし、勝ち方を知っていますからね。クルマの持って行き方やノウハウは、どんなチームであってもある程度合わせ込むことができているのだと思います」

「あとは、プレッシャーのかかるタイミングでのピットワークの動き。トップチームの人はどんな順位でも落ち着いて作業することに慣れていると思いますが、もし琢磨選手がトップでピットに入った際に、デイル・コイン・レーシング・ウィズ・リック・ウェア・レーシングのメカニックがトップチームと同じく、落ち着いて素早い動きができるだろうか。ここは決勝結果に大きく関わってくると思います。インディ500はドライバーひとりだけでの戦いではありませんから、チームのピットワークの動きにも注目です」(武藤氏)

2009年のインディ500に参戦する武藤英紀氏
2009年のインディ500に参戦する武藤英紀(アンドレッティ・オートスポーツ)

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 決勝日前日の5月28日(土)21時30分からはスカパー!公式YouTubeチャンネルにおいて『【佐藤琢磨 参戦!】インディ500直前座談会』が生配信される。

 また、GAORA SPORTSでは決勝を直前に控えた29日(日)23時30分から、元インディカードライバーの中野信治氏が2年ぶり3度目の制覇を目指す佐藤琢磨の胸中を探るスペシャル番組『直前SP!インディ500 佐藤琢磨3度目の優勝へ』の放送も決定。こちらはスカパー!では無料放送も行われるので、まだ加入していない人も必見だ。

 そして、決勝の模様は5月29日(日)深夜0時〜30日(月)早朝5時30分までGAORA SPORTSで生中継。今大会もGAORA SPORTSで第106回インディアナポリス500マイルレースを存分に、余すことなく見届けたいところだ。106回目を迎えたインディ500の戦いは、今年も蓋を開けてみなければわからない、熾烈な優勝争いが繰り広げられることになるだろう。一瞬たりとも見逃せない一戦を、GAORA SPORTSを通じてその目に、そして心に刻んでほしい。

■インディ500直前! CARB DAY リポート
5月27日(金)深夜0時~【生中継】 BSスカパー!
解説:松田秀士、小倉茂徳、実況:レーサー鹿島

■【佐藤琢磨 参戦!】インディ500直前座談会
5月28日(土)よる9時30分~【生配信】 YouTubeスカパー!公式チャンネル
URL:https://youtu.be/MUPustLwu28
出演:松田秀士 リモート出演:天野雅彦、ロジャー安川

■直前SP!インディ500 佐藤琢磨3度目の優勝へ
5月29日(日)よる11時30分~ GAORA SPORTS

■「第106回インディ500」~インディアナポリス~
5月29日(日)深夜0時~【生中継】 GAORA SPORTS

・GAORA SPORTSホームページ:https://www.gaora.co.jp/
・BSスカパー!の放送スケジュールはこちらから:https://sports.skyperfectv.co.jp/genre/motor/indycar/
・GAORA SPORTSの視聴方法、加入はこちらから:https://www.gaora.co.jp/guide/


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