5月28〜29日に決勝レースが行われた第50回ニュルブルクリンク24時間レース。SP9クラスでは各マニュファクチャラーのGT3車両が総合優勝をかけた激しい争いを演じ、サバイバルレースの様相を呈した。そんなニュルの決勝後パドックから、各種トピックスをお届けする。
■最多周回数記録に並ぶ。昨年比では『プラス100周』
アウディR8 LMS GT3で総合優勝を遂げたフェニックス・レーシングは、2014年に打ち立てられた最長走行距離記録に肩を並べた。クリストファー・ハーぜ/クリスチャン・マメロウ/レネ・ラスト/マーカス・ウィンケルホックは、今年の優勝チームが達成したのとまったく同じ159ラップをその年に走破し、これがレコードとなっていた。
今年の優勝者となったロビン・フラインス/フレデリック・バービッシュ/ドリス・ファントール/ケルビン・ファン・デル・リンデは、2021年に優勝したマンタイ・レーシングよりもちょうど100周多い周回数を走行した。マンタイは昨年、史上最も短いニュル24時間を制していたからだ。
2022年のニュル24時間は、週末前に何人かのドライバーが希望していたように、赤旗中断なしでレースが行われた。2020年と2021年のレースでは、悪天候のため赤旗中断があった。
なお、今回のレースは129台がスタートし、そのうち93台の順位が認定、完走扱いとなった。
■パワステオイルを継ぎ足し続けて総合優勝
優勝したフェニックスの15号車アウディR8 LMS GT3陣営は、レースの大半でパワーステアリングのトラブルと格闘していた。
このため、フェニックスのメカニックはピットストップのたびに15号車のエンジンカバーを外して点検を行った。ファン・デル・リンデは次のように説明した。
「ポンプからオイルが漏れ、いくらかのパワーアシストを失った。だから、ピットストップのたびにオイルを補充していたんだ」
「それはレース序盤に起こり、残り20時間もたせることができるのかどうか分からなかったので、とても憂慮すべき事態だった」
ファン・デル・リンデ自身は15号車でトップチェッカーを受ける前、ダブル・エントリーしていた兄弟車の5号車でクラッシュを喫しており、その栄光への道のりは「ジェットコースター」のようであり、高い精神力が要求されるものであったという。
「15号車が優勝するのを見せる格好となり、5号車のクルーには申し訳ないと思っている」
アウディはこれでニュル24時間レースで6勝を挙げ、メーカー別の勝利数ランキングでフォードを抜き、3位となった。しかしBMWは20勝、ポルシェは13勝を保持しており、その差は歴然としている。
■勝利から遠ざかるメルセデスAMG
ゲットスピード・パフォーマンスは、同じメルセデスAMG陣営であるブラック・ファルコンが2018年に2位と3位になって以来はじめて、優勝せずに2台を表彰台に送り込んだチームとなった。
ゲットスピードの競争力のある走りにも関わらず、メルセデスAMGはニュルブルクリンク24時間での勝利から遠ざかっている。2016年のブラック・ファルコン以来6年間勝利がなく、これはドイツの4大マニュファクチャラーの中で最長となっている。
その2016年の優勝メンバーのひとりであるアダム・クリストドーロウは今回、総合2位となった。
「ゲットスピードは僕らにめちゃくちゃ速いクルマを用意してくれ、素晴らしい仕事をしてくれた。おかげで僕らはプッシュすることができたし、ギャップを縮めることができたんだ」
「ここでは天候が変わりやすいので、(勝負の決め手となったタイヤ選択は)ちょっとしたギャンブルのようなものだ。受け入れるには少し辛いものがあるが、ここから学び、来年はもっと強くなって帰ってくるよ」