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海外レース他 ニュース [PR]

投稿日: 2022.06.07 12:00
更新日: 2023.02.28 12:55

ファルケンポルシェが9位でチェッカー。住友ゴム工業がニュル24時間で9年連続トップ10入り果たす

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海外レース他 | ファルケンポルシェが9位でチェッカー。住友ゴム工業がニュル24時間で9年連続トップ10入り果たす

 5月28日~29日に、ドイツ・ニュルブルクリンクで開催された第50回ADAC・トタル24時間レース(ニュルブルクリンク24時間耐久レース)。この伝統の一戦に1999年から挑戦を続ける住友ゴム工業が今年もファルケンブランドで参戦。全138台がエントリーするなか、同社のワークスチームFalken Motorsports(ファルケン・モータースポーツ)の33号車ポルシェ911 GT3R(ジャクソン・エバンス/スヴェン・ミューラー/パトリック・ピレ/マルコ・ゼーフリート)が総合9位に入り、9年連続のトップ10入りを果たした。

 住友ゴム工業は自社ワークスチームのファルケン・モータースポーツを通じて、FIA-GT3車両で競われるSP9クラスに2台のポルシェ911 GT3Rで参戦。日本からも住友ゴム工業モータースポーツ部の竹内二郎部長を筆頭に、同社の日本人スタッフも現地入り。2015年以来となる表彰台獲得、そして悲願のニュル24時間初優勝を目指した戦いに挑んだ。

 決勝のスターティンググリッドは、5月27日に行われた予選、5月6〜8日にかけて行われた予選レース、そしてNLSニュルブルクリンク耐久シリーズの結果も反映して決定され、33号車は25番グリッドから、44号車(クラウス・バッハラー/パトリック・ピレ/アレッシオ・ピカリエッロ/マーティン・ラギンガー)は33番グリッドからのスタートとなった。

ファルケン・モータースポーツの2台のポルシェ911 GT3 R
ファルケン・モータースポーツの2台のポルシェ911 GT3 R

 50回目の記念すべき大会となった2022年のニュル24時間決勝は、5月28日の現地時間16時に快晴の下でスタートを迎えた。3年振りに観客の定員制限がなくなったことで、ニュルブルクリンクには23万人ものレースファンが集結。大勢の観客が見守るなか、スタート早々から各所でサイド・バイ・サイドの戦いが繰り広げられた。そんななか、25番手からスタートした33号車が2周目に接触によるものと思われる内圧低下により緊急ピットインを敢行。左フロントタイヤを交換しコースに復帰した。

 このピットインについて、竹内部長は「グランプリコース走行中に左フロントタイヤの内圧が減っていることがわかりした。そのため、グランプリコース1周分、約2分半をロスしてでも、念のためタイヤを変えておこうという判断です。イレギュラーなピットにはなりましたが、給油も伴わない作業でしたので、最低停車時間として定められた2分間のストップを行う必要もなく、コースに復帰できました」と説明する。

第50回ADAC・トタル24時間レース(ニュルブルクリンク24時間耐久レース)のスタート
第50回ADAC・トタル24時間レース(ニュルブルクリンク24時間耐久レース)のスタート
ファルケン・モータースポーツの33号車ポルシェ911 GT3 R
ファルケン・モータースポーツの33号車ポルシェ911 GT3 R

 序盤から緊急ピットインを敢行した33号車だったが、その後は快調なレース運びをみせ、スタートから1時間を経過したところで15番手までポジションを上げることに成功している。

 一方、今年は予選レースウイークから不運が続く44号車もクラス後方から追い上げをみせる。しかし、スタートから9時間が経過した夜間に、グランプリコース内のターン2で後方から接触を受けてスピン。さらに、別の後続車両から追突を受けリヤを大きく損傷。修復が困難な状況となり、無念のリタイアとなってしまう。

 また、現地時間深夜3時直前に、ファルケンタイヤを装着し、7度目のSP3Tクラス優勝に向けてトップを快走していたスバルテクニカインターナショナル(STI)の114号車SUBARU WRX STIが、左フロントサスペンションの破損に伴うクラッシュでリタイアに。今年のニュル24時間は有力チームにも続々とアクシデントが多発する展開となった。

 初日は終始ドライとなるも、2日目には突然の降雨といったコンディション変化も見られた。残り3時間を切ったタイミングでコースの一部分で雨脚が強まり、このタイミングで大きくタイムロスするチームも。そんななか、ファルケン・モータースポーツの33号車はカットスリックを装着し、安定したペースで周回。雨が上がり、ドライコンディションに戻るとふたたびドライタイヤに履き替えチェッカーを目指した。

ファルケン・モータースポーツの33号車ポルシェ911 GT3 R
ファルケン・モータースポーツの33号車ポルシェ911 GT3 R

 ドライ、ウエットともに、1スティント(8周)をしっかりと走り切る耐久性能をみせたファルケンタイヤ。33号車は、タイヤ、車両、ドライバー、そしてチームの総合力で着々と順位を上げ、トップのアウディから2周遅れとなる157周、走行距離にして約3,984kmを走り切り、ポルシェ勢最上位となる9位でチェッカー。ファルケン・モータースポーツは2014年大会から続く、9年連続のトップ10入りを果たすこととなった。

 またファルケンは、ドイツのサッカー選手マックス・クルーゼがオーナーを務めるマックス・クルーゼ・レーシングの10号車、310号車の2台のフォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRにもタイヤを供給し、310号車がSP3Tクラスの2位、10号車が3位と表彰台を獲得。さらにTOYOTA Gazoo Racing Team Thailandの2台のトヨタ・カローラ・アルティスへもタイヤを供給し、SP3クラスで1-2フィニッシュを獲得している。

157周を走り切り、9位でチェッカーを受けたファルケン・モータースポーツの33号車ポルシェ911 GT3 R
157周を走り切り、9位でチェッカーを受けたファルケン・モータースポーツの33号車ポルシェ911 GT3 R
SP3Tクラス2位を獲得したマックス・クルーゼ・レーシングの310号車フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR
SP3Tクラス2位を獲得したマックス・クルーゼ・レーシングの310号車フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR
SP3クラスではファルケンユーザーのTOYOTA Gazoo Racing Team Thailandのトヨタ・カローラ・アルティスが1-2フィニッシュを手にしている
SP3クラスではファルケンユーザーのTOYOTA Gazoo Racing Team Thailandのトヨタ・カローラ・アルティスが1-2フィニッシュを手にしている

 レース後、竹内部長はファルケン・モータースポーツのレースについて、「結果だけを見れば9位でシングルフィニッシュかつ、ポルシェ最上位です。しかし、トップのアウディからは2周遅れとなり、リタイアとなった強豪チームがチェッカーまで残っていたら、シングルポジションには至っていなかったとも感じます」と振り返った。

 いくつかのコンパウンドを持ち込んだファルケン・モータースポーツだが、ドライコンディションではミディアムとソフトの2種類を使いわける戦略をとった。

「今回はソフトタイヤが非常に良かったですね。夜間も安定したペースでしたので、44号車も事故さえなければ……という感じです」と、手応えを感じつつも、同時に大きな課題も浮き上がってきたと竹内部長は話す。

「やはり、予選でもっと前に出なければと思いました。そして、レース中のラップタイムは優勝したアウディや2位に入ったメルセデスと比べて、1周あたり2〜3秒遅れていた点は課題です。シングルフィニッシュかつ、ポルシェ勢最上位という結果はよかったと思いますが、やはり目標は5年振りの表彰台獲得でしたので悔しいです。予選もレースも1周3〜4秒程度ペースアップできなければ、表彰台は厳しいと感じました」と、9年連続となるトップ10入りも、目標としていた表彰台に届かず、悔しさを滲ませた竹内部長。

ファルケン・モータースポーツの33号車ポルシェ911 GT3 R
ファルケン・モータースポーツの33号車ポルシェ911 GT3 R

 速さの課題を述べる竹内部長だが、タイヤの安全性、耐摩耗性能には十分な手応えを感じている。「今年、トップは159周を走り、2014年に記録されたニュル24時間の最長走行距離記録に肩を並べました。我々も157周と、それに近い周回数を走れていますので、しっかりと長距離を走りきることができたという思いはあります」と、ファルケンタイヤの安定性、耐久性に自信をみせた。

 また、竹内部長は今大会で初めてニュル24時間を現場から指揮している。1970年の初開催から、通算50回目を迎えた伝統の一戦を現地から見届けたことで、大きな収穫があったと振り返る。

「驚いた部分も、そして新たな気づきもありました。住友ゴム工業では重要視している『現地現物』という言葉があります。やはり現場では、リモートでは垣間見ることのできないさまざまな出来事が起きています。現場の雰囲気も含め、現地に行かなければわからないことも多く、収穫の多いレースだったと思います」

ファルケン・モータースポーツのピットには現地入りした住友ゴム工業の日本人スタッフの姿も
ファルケン・モータースポーツのピットには現地入りした住友ゴム工業の日本人スタッフの姿も

 第51回大会となる2023年のニュル24時間に向け、竹内部長は「もちろん、次こそは」とリベンジを誓った。なお、2023年はポルシェからタイプ992ベースの新型GT3マシンの投入も噂されている。導入タイミングにもよるが、もしかしたら、来年は新型として装いを新たにしたファルケンポルシェの姿を見ることができるかもしれない。

 ニュルブルクリンク24時間耐久レースへの飽くなき挑戦を続ける住友ゴム工業/ファルケンの進化、そしてその戦いぶりに、引き続き注目したい。

ファルケン・モータースポーツの44号車ポルシェ911 GT3 R
ファルケン・モータースポーツの44号車ポルシェ911 GT3 R
ファルケンタイヤを装着する114号車SUBARU WRX STI
ファルケンタイヤを装着する114号車SUBARU WRX STI
SP3Tクラスのスタートではファルケンを装着する2台がフロントロウに並んだ
SP3Tクラスのスタートではファルケンを装着する2台がフロントロウに並んだ
ファルケン・モータースポーツの33号車ポルシェ911 GT3 R
ファルケン・モータースポーツの33号車ポルシェ911 GT3 R


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