6月11日、2022年FIA F2第6戦バクーのスプリントレース(決勝レース1)がアゼルバイジャンのバクー市街地サーキットで開催され、後半にセーフティカー(SC)が3回導入される荒れた展開となるなか、メルセデス育成のフレデリック・ベスティ(ARTグランプリ)がFIA F2初優勝を飾った。日本勢の岩佐歩夢(ダムス)は8位で3レースぶりのポイント獲得。佐藤万璃音(ビルトゥジ・レーシング)はファイナルラップにアクシデントに巻き込まれ、完走扱いの17位となった。
第6戦の決勝レース1のグリッドは、10日に行われた予選トップ10のリバースグリッドで決定され、予選で10番手タイムを記録したジェイク・ヒューズ(ファン・アメルスフォールト・レーシング)がポールシッターとなった。
フロントロウ2番グリッドにベスティが並び、セカンドロウ3番グリッドにレッドブル育成のユアン・ダルバラ(プレマ・レーシング)、4番グリッドにウイリアムズ育成のローガン・サージェント(カーリン)が続いた。そして、予選でクラッシュを喫した岩佐は13番グリッドから、そして佐藤は15番グリッドからスタートを迎えることとなった。
現地時間13時30分(日本時間18時30分)、気温28.1度、路面温度48.5度、という快晴の夏日のもと、21周の決勝レース1はスタートを迎えた。
2番手スタートのベスティがターン1のホールショットを奪う。しかし、3番手スタートのダルバラも蹴り出しはよく、ベスティの横につける。さらに、ポールスタートのヒューズもポジションを取り戻すべく、ターン2はトップ3台が3ワイドに。ターン2立ち上がりでダルバラが先行し、首位に浮上すると、2番手にヒューズ、3番手にベスティ、4番手にサージェントのオーダーで2週目を迎えた。
序盤は大きな混乱もないなか、オープニングラップで岩佐がポジションを2つ上げて11番手に浮上。一方、佐藤は19番手と4つポジションを落とすという、日本勢は対照的なオープニングラップに。
5周を終えてダルバラが4秒近くリードする一方、2番手のヒューズを先頭に隊列が数珠つながりとなる。痺れを切らしたベスティが6周目にヒューズをパスし、2番手に浮上。さらに、7周目のホームストレートでサージェントがヒューズをパスし、3番手に浮上する。
続く8周目のターン1で、岩佐がオーバーシュート。クラッシュは回避するも、これでテオ・プルシェール(ARTグランプリ)にかわされ12番手に後退と、苦しい戦いが続く。
2番手に浮上したベスティは8周目にこの時点でのファステストラップを記録して、ダルバラとのギャップを3.3秒まで縮める。しかし、ベスティのペースアップに反応したダルバラは10周目にファステストを更新しギャップを保持。
一方、ポールスタートのヒューズは10周目には10番手まで後退。11周目のホームストレートで岩佐がヒューズを攻略し、3レースぶりのポイント獲得、8位以内を目指してプッシュを続ける。
レースも後半に差し掛かり、上位勢はギャップも均衡状態となっていた14周目。10番手走行のデニス・ハウガー(プレマ・レーシング)がターン4進入でプルシェールにしかけるもウォールにクラッシュ。これでセーフティカー(SC)導入となり、各車のギャップは縮まることに。
17周目、残り5周でSC解除を迎えると、2番手ベスティに3.7秒のリードを築いていたダルバラは、ふたたびギャップを築くべくリスタートからスパート。混戦のなか、岩佐が9番手に浮上する。一方、エンツォ・フィッティパルディ(チャロウズ・レーシング・システム)とユーリ・ビップス(ハイテックGP)がターン2で接触。ビップスはコース復帰も、フィッティパルディは左フロントにダメージを受け、エスケープゾーンにマシンを止めてしまう。このアクシデントで2度目のSCが導入されることに。
残り3周でSC解除を迎えると、ターン1でベスティがダルバラのインに入ると、続くターン2で首位に浮上。2番手にポジションを下げたダルバラには3番手リアム・ローソン(カーリン)、4番手のリチャード・フェルシュフォー(トライデント)が接近。混戦のなか、ターン7でフェルシュフォーがウォールにヒットしマシンを止め、3度目のSCが導入されることに。
終盤SCが3回も続く荒れた展開となるなか、ファイナルラップにレースは再開。首位に浮上したベスティは首位をキープしてターン1を通過。その直後、後続では、ラルフ・ボシュング(カンポス・レーシング)、カラン・ウィリアムズ(トライデント)、ジェム・ボリュクバシ(チャロウズ・レーシング・システム)、そしてこの時点で11番手までポジションを上げていた佐藤が絡む多重アクシデントがターン1で発生。複数台が同時に接触し、車両が跳ね上がる大規模なクラッシュとなったが、各ドライバーは自力でマシンを降りている。
上位争いではダルバラとローソンによる2番手争いが展開されるも、ターン1のアクシデントの影響でセクター1、セクター3でイエローフラッグが振られたこともあり、順位変動には至らず。FIA F2ルーキーのデンマーク人、ベスティがFIA F2初優勝を飾った。2番手にダルバラ、3番手にローソンと、レッドブル育成ドライバーが続いた。13番手スタートの岩佐は8位でチェッカーを受け3レースぶりのポイント獲得。佐藤はファイナルラップのアクシデントにより車両を止めるも17位で完走扱いとなった。
続く、FIA F2第6戦バクーのフィーチャーレース(決勝レース2)は現地時間6月12日の11時5分(日本時間16時5分)から行われる。
■FIA F2第6戦バクー スプリントレース(決勝レース1) 暫定結果
Pos. | No. | Driver | Team | Time/Gap |
---|---|---|---|---|
1 | 9 | F.ベスティ | ARTグランプリ | 21Laps |
2 | 2 | J.ダルバラ | プレマ・レーシング | 0.380 |
3 | 5 | L.ローソン | カーリン | 1.102 |
4 | 7 | M.アームストロング | ハイテックGP | 1.517 |
5 | 11 | F.ドルゴヴィッチ | MPモータースポーツ | 1.764 |
6 | 6 | L.サージェント | カーリン | 2.178 |
7 | 10 | T.プルシェール | ARTグランプリ | 2.668 |
8 | 17 | 岩佐歩夢 | ダムス | 3.246 |
9 | 24 | J.ヒューズ | ファン・アメルスフォールト・レーシング | 5.496 |
10 | 16 | R.ニッサニー | ダムス | 7.381 |
11 | 3 | J.ドゥーハン | ビルトゥジ・レーシング | 7.573 |
12 | 8 | J.ビップス | ハイテックGP | 8.027 |
13 | 25 | A.コルデール | ファン・アメルスフォールト・レーシング | 8.997 |
14 | 12 | C.ノバラック | MPモータースポーツ | 9.290 |
15 | 15 | R.ボシュング | カンポス・レーシング | 1Lap |
16 | 21 | C.ウィリアムズ | トライデント | 1Lap |
17 | 4 | 佐藤万璃音 | ビルトゥジ・レーシング | 1Lap |
18 | 23 | C.ボリュクバシ | チャロウズ・レーシング・システム | 1Lap |
19 | 14 | O.コルドウェル | カンポス・レーシング | 1Lap |
20 | 20 | R.フェルシュフォー | トライデント | 3Laps |
– | 22 | E.フィッティパルディ | チャロウズ・レーシング・システム | DNF |
– | 1 | D.ハウガー | プレマ・レーシング | DNF |