約1カ月のインターバルを経て、7月9~10日にベルギーのゾルダーで争われた電動ツーリングカー選手権FIA ETCRことeツーリングカー・ワールドカップの第4戦は、今季よりロメオ・フェラーリからシリーズデビューを果たしたマキシム・マルタン(アルファロメオ・ジュリアETCR)が、地元イベントで初の週末最多得点者“King of the Weekend”を獲得。金曜プラクティスではジュリアのバッテリートラブルにより、大幅に走行機会を制限されていた男が、地の利も活かし「家族の前で魔法のように素晴らしい瞬間」を迎えた。
第2戦の開催予定だったイスタンブール・パークが急きょスキップされ、ハンガロリンク、スペインのハラマに続く実質的第4戦となったゾルダーでの『レースBE』は、開幕序盤から続いた新生クプラEKSの勢いに待ったを掛ける、シリーズ変換点の1戦となった。
その流れは早くも土曜クオリファイから具現化され、いつもどおり3マニュファクチャラー、12名のドライバーがふたつのプールに分かれて進んだセッションでは、まず『Pool Fast』でジャン-カール・ベルネイ(ヒョンデ・ヴェロスターN ETCR)が最速。続く『Pool Furious』ではアルファロメオのマルタンが“ぶっつけ本番”ながら唯一の1分35秒台をマークするなど、選手権首位を行くマティアス・エクストローム(クプラe-Racer)や同2位の僚友エイドリアン・タンベイ(クプラe-Racer)らを退ける結果となった。
「信じられないけど、本当に完璧なラップに最も近いもの」と語るのは、今季からマルタンを起用したロメオ・フェラーリ代表のミケーラ・セルッティ。「私たちのせいでマキシムの練習走行距離が不足していたから、予選はアタックラップを行わずに完熟走行に徹することも考えていた」と明かしたセルッティ代表。
しかし、当のマルタン本人は「チームにとって本当に素晴らしい結果」と、金曜にまるで走行できなかった影響を感じさせないパフォーマンスを披露した。「もちろん、昨日の問題で僕は1ラップすらしなかったけれど、Q1の最初のインラップでわずかにペースを上げ、ブレーキングとターンインの基準点を見つけていたんだ」