レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

海外レース他 ニュース

投稿日: 2022.07.25 16:53
更新日: 2022.07.25 19:30

タイヤ安全性懸念再発でリンク&コーが撤退、ホンダのジロラミ、アウディのマグナスが勝利/WTCR第6戦

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


海外レース他 | タイヤ安全性懸念再発でリンク&コーが撤退、ホンダのジロラミ、アウディのマグナスが勝利/WTCR第6戦

 イタリア・バレルンガで7月23~24日に開催された2022年WTCR世界ツーリングカー・カップ第6戦は、ヨーロッパを襲う熱波による灼熱のコンディションも影響し、第2戦に続きコントロールタイヤを供給するグッドイヤーに「安全上の懸念事項」が再発。グリッド上で最多ウエイトを搭載するリンク&コー03 TCRのシアン・レーシングは「ドライバーの身の安全を守るうえで、迅速かつ必要な措置」を求めたが、予選後になっても満足な回答が得られなかったとして、同戦からの撤退を決断する異常事態となった。

 結果、レース1はネストール・ジロラミ(ALL-INKL.COM・ミュニッヒ・モータースポーツ/FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)が、レース2はジル・マグナス(コムトゥユー・チーム・アウディスポーツ/アウディRS3 LMS 2)が勝利したものの、リンク&コーのみならず他陣営の各ドライバーからも、多くのコンプレインが寄せられる週末となった。

 第2戦のドイツ・ニュルブルクリンクでは、ホンダやリンク&コー陣営を中心にタイヤの予期せぬパンクや層間剥離のような症状が頻発し、レース開催自体がキャンセルされる緊急事態が勃発。その後も、今季より修正された予選ベストラップ平均で算出されるコンペンセイション・ウエイト規約を巧みに利用する戦術で、各陣営の間で「三味線合戦」が繰り広げられるなど、WTCRの2022年シーズンは波乱含みの展開が続いてきた。

 そんな流れのなかで迎えたバレルンガ戦では、アウディ勢に加えてリンク&コー03 TCRにも最大40kgのコンペンセイション・ウエイトが課され、同車の車両総重量は1355kgに到達。この数値はライバルのどの車種と比較しても、実に50kg以上もヘビーな「危険な状態」となった。

 こうした状態も踏まえ、FIA WTCRの運営委員会はこの第6戦以降「全ラウンドで60分の追加テストセッション枠を設ける」ことをアナウンス。金曜正午から実施されたその追加走行枠では、このイタリア戦より20kgのウエイト軽減が適用されたジロラミのシビックが最速となった。

 しかし続く通常のフリープラクティス1で早速のドラマが巻き起こり、アウディのナサニエル・ベルトン(コムトゥユーDHLチーム・アウディスポーツ/アウディRS3 LMS 2)が最速タイムを刻んだものの、世界戦4冠の“帝王”イヴァン・ミューラー(シアン・レーシング・リンク&コー/リンク&コー03 TCR)は左フロントタイヤがトラブルを引き起こし、6速で進入する高速ターン2でコントロール不能のままコースオフ。幸いにして長いグラベルトラップが車速を殺し、バリアに軽くタッチする程度でマシンは止まったものの、ヒョンデがワン・ツーを決めたFP2を経て、シアン・レーシングはFIA WTCRの主催団体と関係者に対し緊急声明を発する事態となった。

「我々チームの現在の評価は、車両重量レベルと供給されたタイヤ性能に対し、チームが安全な方法で、完全なレース距離を走破することを『不可能な方程式』にしているという見立てです」と、ステートメント冒頭に記したシアン・レーシング。

「シアン・レーシングはFP2で予選シミュレーションを実行した後、土曜午後の予選に参加することを決定し『より短い距離での走行は可能である』という結論に達しました」

「ただし、チームとドライバーが安全な方法でWTCRレース・オブ・バレルンガに参加できるよう、利害関係者には迅速かつ必要な行動を取るよう求めます」

「チームは、チャンピオンシップの利害関係者からさらなる見解と行動を待つ間、日曜日のふたつのレースに参加するかどうかの最終決定を下すつもりです」

世界戦4冠の”帝王”イヴァン・ミューラー(シアン・レーシング・リンク&コー/リンク&コー03 TCR)は左フロントタイヤがトラブルを引き起こし、6速で進入する高速ターン2でコントロール不能のままコースオフ
タイヤへの不安を抱えたシアン・レーシングは、王者ヤン・エルラシェール(リンク&コー03 TCR/右)も予選トップ10が精一杯に
5台のリンク&コー03 TCRをピットレーンに残したまま、酷暑のバレルンガ・レース1がスタート
SC解除後のラストスプリントでもポジションを守ったネストール・ジロラミ(ALL-INKL.COM・ミュニッヒ・モータースポーツ/FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)がレース1を制した

■次のページへ:他陣営の車両にもタイヤにまつわるトラブルが続発


関連のニュース