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海外レース他 ニュース

投稿日: 2022.07.27 13:15
更新日: 2022.07.27 13:20

チャスティンとの“宿敵対決”を制したハムリンが急転直下の失格劇。エリオットが4勝目/NASCAR第21戦

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海外レース他 | チャスティンとの“宿敵対決”を制したハムリンが急転直下の失格劇。エリオットが4勝目/NASCAR第21戦

 いよいよプレーオフが迫る終盤戦を迎えたNASCARカップシリーズ第21戦『M&M’s Fan Appreciation 400』は、今季複数回にわたり“因縁の勝負”を繰り広げて来たデニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)と“2022年台風の目”ロス・チャスティン(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)が、残り18周のリスタートで直接対決の構図となり、これまでの「借金を取り立てた」ハムリンが無慈悲なライン取りで宿敵をウォールに押しやり、僚友カイル・ブッシュ(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)を従えJGRがワン・ツー・フィニッシュを飾った……かに見えた。

 しかしレース後、再車検の検証を踏まえてJGRは月曜正午までの上訴を断念し、トヨタ・カムリ2台の失格処分が確定。この裁定により、3位でフィニッシュラインを通過したチェイス・エリオット(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)が「ドライバーなら誰も望まない形」ながら、今季4勝目を手にしている。

 7月23~24日の週末にペンシルバニア州ポコノ・レースウェイで開催された1戦は、プラクティスをチャスティンが、クオリファイをハムリンが制するなどレース前から不穏な空気が醸成され、筋書きのないドラマに向け、すべてのお膳立てが整ったような進行を見せた。

 これでキャリア通算36回目、今季3度目のポールウイナーに輝いたハムリンの背後には、同じくチームメイトのカイルが続いたものの、その兄カート・ブッシュ(23XIレーシング/トヨタ・カムリ)はターン3のクラッシュで激しい衝撃を伴いドクターストップ。代役として決勝3時間前には、チーム所有者であるジョー・ギブスの孫で、現在はNASCARエクスフィニティ・シリーズでタイトル戦線に絡むタイ・ギブスに白羽の矢が立ち、19歳の有望株が予想外のカップシリーズ・デビューを飾ることとなった。

「ここに至るすべての出来事と、メンバー全員の熟慮と期待に心から感謝している」と、今季エクスフィニティ・シリーズですでに4勝を挙げているタイ・ギブス。「まず第一に、カートの無事と迅速な回復を祈りたいし、彼が一刻も早く良くなることを願っている。彼はこのチームに多大な貢献をしているからね。でも、僕の目にはあの“McDonald’s TRD Camry”がとても速そうに見えているんだ!」

予選ターン3のクラッシュで激しい衝撃を伴いドクターストップとなったカート・ブッシュ(23XI Racing/トヨタ・カムリ)
その代役として、チーム所有者であるジョー・ギブスの孫、19歳のタイ・ギブスに白羽の矢が立った

 こうしてトヨタ陣営の話題づくしで始まった決勝は、序盤から波乱続発の展開となり、まずスタート直後のターン2では先頭走者ハムリンがいきなりウォールにタッチし、5番手へ後退することからレースが始まる。その間、フロントロウに並んだカイルが160周のうち63周でリードラップを刻んでステージ2を制する一方、42周目にはハムリンがふたたびコーションの起因になるなど、対照的な展開が続いていく。

 しかし終盤に向け優位なトラックポジションを得たのはハムリンの方で、残り18周のリスタートでは予選3番手からリーダーの座に立ったチャスティンに並びかける状況で、誰もが“結末を予期する”最後の勝負へと挑むことに。

 このふたりの因縁は6月のワールドワイド・テクノロジーズ・レースウェイ(WWTR)の1戦にまで遡り、ともにトップ5圏内を争う渦中でハムリンは再三に渡ってシボレーに突かれ、バランスとポジションを失うことに。その後も幾度かのレースでやり合ったふたりは、その度にハムリンが憤慨。チャスティンも過失を認めながら、これがレースであり「今後も挑戦を止めない」との態度を示し続けてきた。

 そんなふたりのポコノでのラストバトルは、チャスティンが上段アウトサイドのハイ、ハムリンが下段のボトムを選ぶと、ターン1からレコードラインを踏み抜いていったハムリンがまったくスペースを残さず立ち上がり、チャステインは成す術なく外壁に押しやられる結末に……。

 コントロールを失った1号車のシボレー・カマロZL1は、エリオットの9号車をかすめるようにバンクを滑り、好調ケビン・ハーヴィック(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)のノーズを破壊してインサイドへスピンアウト。

 これでカイルを従えたハムリンがクルーズでトップチェッカーを受け、同地通算7勝目を手にした男に対し、レース後には当然のように“因縁対決”への質疑が飛ぶこととなった。

序盤からポールの優位を失ったデニー・ハムリン(Joe Gibbs Racing/トヨタ・カムリ)に対し、カイル・ブッシュ(Joe Gibbs Racing/トヨタ・カムリ)がレースを支配する
残り18周のリスタートでは予選3番手からリーダーの座に立ったロス・チャスティン(Trackhouse Racing Team/シボレー・カマロ)と”結末が予期される”最後の勝負が繰り広げられる

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