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海外レース他 ニュース

投稿日: 2022.08.08 12:12
更新日: 2022.08.09 14:20

リンク&コーが突然の『WTCR即時撤退』を表明。WSC統括ロッティ代表「何の根拠も見つけられない」

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海外レース他 | リンク&コーが突然の『WTCR即時撤退』を表明。WSC統括ロッティ代表「何の根拠も見つけられない」

 8月5~7日にフランス・アルザス地方に位置するアノー・デュ・ハンで開催された2022年WTCR世界ツーリングカー・カップ第7戦を前に、昨季のチャンピオンチームでもあるリンク&コー・シアン・レーシングがシリーズで使用されているグッドイヤーのコントロールタイヤに関する安全性の懸念が継続しているとして「今季WTCRプログラムの即時中止」と撤退をアナウンスした。これに対し、TCR規定を統括するWSCグループ代表のマルチェロ・ロッティや、シリーズプロモーターを務めるディスカバリー・スポーツイベント、そしてシリーズディレクターのジャン-バティスト・レイら関係者から驚きと疑念の声が数多く挙がっている。

 5月に開催されたドイツ・ニュルブルクリンクでの第2戦に端を発したこの問題は、ノルドシュライフェで走行を開始したホンダやリンク&コー陣営を中心に、タイヤの予期せぬパンクや層間剥離のような症状が頻発し、予選までを実施した段階でレース開催自体がキャンセルされる緊急事態となった。

 さらにイタリア・バレルンガで7月23~24日に開催された第6戦では、ふたたび同じ症状が複数のマニュファクチャラーで発生。グリッド上で最多ウエイトを搭載するリンク&コー・シアン・レーシングは「ドライバーの身の安全を守る上で、迅速かつ必要な措置」を求めたが、予選後になっても満足な回答が得られなかったとして同戦からの撤退を決断する事態に発展していた。

 その第6戦時点のリンク&コー03 TCR車両総重量は、基本のBoPと戦績によるコンペンセイション・ウエイトを合わせて1355kgに到達しており、この数値はライバルのどの車種と比較しても、実に50kg以上もヘビーな「危険な状態」となっていた。

 陣営の5台全車がレース参加を拒否する異常事態を経て、グッドイヤーも「全タイヤを回収し、あらゆる情報から根本的要因を精査する」としていたが、4冠王者イヴァン・ミューラーや、3連覇に挑むヤン・エルラシェールの故郷での1戦を前に、改めて「製造上の問題は発見されておらず、今後のレースタイヤの仕様に変更はない」との声明を発表した。

 その上で「一部のマシンのタイヤ温度がドイツ戦を除き、過去2年のWTCRで見られたどのレベルよりも高く、使用推奨範囲を超えていた」として、マシンの「セットアップ、コースの厳しさ、路面温度の影響分析など原因を完全に理解する」べく全チームとの情報開示を含む完全協力を確約。シリーズとも協議し、このアルザスでの週末はコンペンセイション・ウエイトを特例的に20kg削減し、供給セット数増加と2回の追加セッションを設けるとしていた。

 しかし、走行開始直前の金曜未明にシアン・レーシングのチームマネージャーであるフレデリック・ウォーレンはコメントを発表し「進行中の話し合いにより、チームの懸念に対する解決策を見つけることができなかった」として、WTCRでのすべての活動を即時に中止する決定を下した。

「今年のタイヤは、すべてのトラックでクルマの性能とその重量を許容できない状態であり、その問題が適正に処理されないままレースウイークを迎える事態となった。その結果、我々のドライバーは高速でのタイヤ故障やクラッシュにさらされており、シアン・レーシングが安全にシーズンを続けることは不可能だと判断した」と語ったウォーレン。

「すべてのメンバーが勝つためにここに来ているし、今日のこの場所に到達するために多くのことを犠牲にしてきた。それだけに、これは我々がこれまでに下したもっとも難しい決定だった。しかし現在の状況では安全な方法でレースを戦うことはできず、安全が最優先事項だ。この厳しい状況でのFIAのサポートに感謝したい」

イタリア・バレルンガで7月23~24日に開催された第6戦では、複数のマニュファクチャラーでふたたびタイヤの問題が発生
第6戦時点のLynk&Co 03 TCR車両総重量は、基本のBoPと戦績によるコンペンセイション・ウエイトを合わせて1355kgに到達していた

自身の地元、フランス・アルザス地方アノー・デュ・ハンでのイベント開催目前に、凱旋の機会を失ったイヴァン・ミューラー

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