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海外レース他 ニュース

投稿日: 2022.08.19 15:05
更新日: 2022.08.19 15:09

残り3戦のインディカーチャンピオン争い。パワーvsディクソンのベテラン対決となるのか?

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海外レース他 | 残り3戦のインディカーチャンピオン争い。パワーvsディクソンのベテラン対決となるのか?

 2022年のNTTインディカー・シリーズも残すところ3戦となった。

 ポイントリーダーはウィル・パワー(チーム・ペンスキー)で450ポイント。2014年のチャンピオンは、昨年までとは大きく異なるメンタルで戦っている。

 2度目のタイトル獲得に目標を定めてシーズン入りした彼は各レースで勝利をがむしゃらに目指すのではなく、最大限のポイントを着々と重ねることを目指してきている。優勝はデトロイト戦での1回だけだが、7月末にインディアナポリスのロードコースで行われた第13戦目を終えたところで今年3回目のトップに立ち、その座を第14戦ナッシュビルを終えても保っている。

 タイトルへと突き進む強力な勢いこそ感じられないが、今年のパワーは非常にステディだ。

450ポイントでトップに立つウィル・パワー(チーム・ペンスキー)
450ポイントでトップに立つウィル・パワー(チーム・ペンスキー)

 ランキング2位にはスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)が上がってきた。ナッシュビルで今シーズン2勝目を挙げた彼はチームメイトを抜き、パワーに6点差まで迫っている。

“今年は無理かもしれない”と自身も考えつつあった7度目のタイトル獲得(=AJ・フォイトに並ぶ歴代最多)が俄かに現実味を帯びてきたことでディクソンのモチベーションは一気に高まっている。

今季2勝を挙げ444ポイントでランキング2位につけるスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)
今季2勝を挙げ444ポイントでランキング2位につけるスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)

 残り3戦をランキング3位で迎えるのが5月にインディ500初勝利を飾ったマーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)だ。

 獲得ポイントは438点なので12点差のパワーは1レースで逆転が可能。インディ500優勝の年に初タイトルも獲得しようと強い意欲をみせてきていたエリクソンだったが、7月末の第13戦インディアナポリス・ロードコースで11位、続くナッシュビルで14位とトレードマークの粘り強さを見せ切れなかったためにランキングを下げている。

 インディ以外に勝ち星がないく、先輩チームメイトのディクソンとは逆に終盤戦に入って勢いが鈍っている点が気にかかる。

終盤戦で失速気味なマーカス・エリクソン。438ポイントでランキング3位に
終盤戦で失速気味なマーカス・エリクソン。438ポイントでランキング3位に

 ポイントランキング4位はジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)。シーズン最多の4勝を飾っていながらこのポジションというのは本人も納得がいっていない。

 3度目のタイトル獲得には残り3戦でポイント上位の3人を上回らなくてはならないのだから、そのハードルは高い。しかし、今週末のゲートウェイで勝てばシーズン5勝目。一気に流れを自らがの側へと引き寄せることができるかもしれない。

シーズン4勝を挙げるもランキングは428ポイントで4位に留まるジョセフ・ニューガーデン
シーズン4勝を挙げるもランキングは428ポイントで4位に留まるジョセフ・ニューガーデン

 ランキング5位に踏ん張っているのはアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)だ。昨年度チャンピオンだが、今シーズンはここまで勝利がない。

 チームとの契約問題は訴訟にまでなっている。“このままでは終われない”という思いを彼自身は強くしていることだろうが、大逆転タイトルはかなり実現が厳しい状況だ。

■残り3戦で有利なドライバーは?

 残り3戦の短期決戦では勝って勢いを手に入れるのが有効だ。特にタイトル獲得歴のないエリクソンがポイント上位のベテランふたりを乗り越えて栄冠を手にするためには最後の3レースで1回は勝ち、さらにインパクトを与えるパフォーマンスを見せなくてはならない。

 エリクソンは予選のパフォーマンスが良くない点で不利だ。それは今シーズンのディクソンにも当てはまること。逆に、彼らが予選で上位にきた場合にはレースでの好成績がほぼ確約される。

 ゲートウェイではチャンピオン争いから外れてしまった感のあるランキング7番手のパト・オワード(アロウ・マクラーレンSP)、ニューガーデンが優勝候補とみられる。

 オワードは昨年のウイナーであり、今年のアイオワ・ダブルヘッダーでのレース2も制している。いま、彼はショートオーバルで最強のひとりに数えられる。

 彼以外にゲートウェイで要注意すべきドライバーはコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジェニアン)が挙げられる。彼にとってのゲートウェイは“オーバル未勝利”を脱する今シーズン最後のチャンスなのだ。

 その次のポートランドではパロウ、ハータ、アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)らがアグレッシブに優勝を狙ってくるはずだ。

 昨シーズンのポートランドで勝っているパロウにとっては、このレースがとても大きなチャンスだが、現時点でトップと33点も差があるだけに、ポートランドで1勝しただけで逆転タイトルというのは難しい。彼が目指すのは最終2レースでの連勝だろう。

 最終戦のラグナセカでは、ここで2連勝をしているハータが優勝の最有力候補。彼のチームメイトであるロッシ、ロマン・グロージャン(アンドレッティ・オートスポート)も速そうだ。

 こうして見ていくと、今年のチャンピオン争いに残れていないドライバーたちが存在をアピールするべくシーズン終盤の3レースでは勝利を記録しそうなのだが、タイトル争いが佳境に入ると、そのメンバーたちがレースでもトップを争うようになるケースが多い。
“バージョン2.0”の手堅いパワーはポイントリードを保ったままシーズンを終えることを目指す。彼の場合、もしトップを明け渡した場合にそこからも同じ戦い方を貫けるのか否かに注目したい。

 着実にポイントを重ねる……という戦い方ならディクソンがインディカーの歴代ナンバーワン。最後に笑う可能性が高いのはパワーよりディクソンの方かもしれない。


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