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海外レース他 ニュース

投稿日: 2022.09.05 17:23
更新日: 2022.09.05 17:26

レース展開がかみ合わず佐藤琢磨は追い上げならず18位に「2ストップにしようと考えたドライバーは皆ダメだった」

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海外レース他 | レース展開がかみ合わず佐藤琢磨は追い上げならず18位に「2ストップにしようと考えたドライバーは皆ダメだった」

 NTTインディカー・シリーズはついにあと2戦でシリーズを終える。最後はポートランドとラグナセカの西海岸2連戦。チャンピオン争いも混沌としており王者決定は最終戦までもつれ込むのは必至だ。

 今年チームをデイル・コイン・レーシング・ウィズ・リック・ウェア・レーシングに移籍し、インディカー出場200戦目を越えていた琢磨も、ここまでの戦績は自分で望んでいたものではなかったのは間違いない。

 今季最高位は前戦WWTRの5位。インディ500でもプラクティスの絶好調が決勝レースで鳴りを潜めてしまっていた。せめて残り2戦は良い形で締め括りたいというのは、琢磨の偽らざる気持ちだろう。

 ポートランドの前にはラグナセカでテストに参加して、良いフィーリングを得ていたと言う。

 ここは2018年には20番手スタートからストラテジーをうまく使い優勝した思い出の場所でもある。今年はどんなレースを見せてくれるのか。

 金曜日のプラクティスでは早速の波乱。インスタレーションから最初の数ラップは無事に走っていたが、なんと走行中にグローブの裾がヘッドプロテクターのフック部分に引っかかり、ステアリングが切れなくなるアクシデントでコースアウト。

 マシンの左フロント部にダメージを負った。マシンを修復しチェック走行するも、走行不可能と判断してプラクティスはそこまで。レッドタイヤで走行するチャンスを失った。

 1周60秒を切り僅差で順位が変わるポートランドでは、万全の状態で予選に望まなくては後方に沈むのは必定で、レッドタイヤで感触を確かめられなかった琢磨が好結果を出すのは難しくグループ11番手、総合22番手で終えた。

 予選後のプラクティスでは決勝に向けて仕様を変更、13番手のタイムを出してきた。

「最初のプラクティスでつまづいたのが響いてますけど、決勝前にはだいぶ追い付いて来たと思います。ここはスタートからイエローコーションが出ることも多いですし、2018年みたいにピットのタイミングで前に出ることもできる。どうストラテジーを考えるかですね……」と言う琢磨。
 

ファイナルプラクティスでマシンのフィーリングを確かめる佐藤琢磨
ファイナルプラクティスでマシンのフィーリングを確かめる佐藤琢磨

選手紹介で子供たちとタッチしながらパレードカーへ向かう
選手紹介で子供たちとタッチしながらパレードカーへ向かう

 今年のポートランドは、アクシデントの多いターン1~2のシケインでのショートカットペナルティを厳しく取ると事前に通達され、ショートカットの方法も、ドライバーに具体的に提示された。

 さらにグリーンのコールがされるスタートポジションを早めに設定し、ターン1までの間にマシンがバラけるように想定されていた。

 その効果はてき面に表れ、ターン1のシケインでは、大きなアクシデントは起こらず、無事に全車がクリアしていく。

 琢磨は22番手のポジションをキープして、前のシモン・パジェノーを追い、さらに後方からのロマン・グロージャンとのバトルにもなった。

スタート直後からグロージャンとのバトルがはじまる
スタート直後からグロージャンとのバトルがはじまる

 13周目になると、すでに3ストップ作戦を早めに取りアンダーカットを狙うドライバーたちがピットに入り始め、なるべくコースに長く残ってポジションを上げている琢磨は、23周目に7番手までポジションを上げてから最初のピット作業を行った。

 燃料をセーブして2ストップ作戦を狙っていた琢磨だったが、肝心のイエローコーションが出ない。これは誤算だった。2度目のピットも54周目まで引っ張り8番手までポジションを上げていた。だがもうこの時点で2ストップを選択する可能性はなく、ひたすらに前を追い上げるしかなかった。

ペースを維持しながら走行を重ねる佐藤琢磨
ペースを維持しながら走行を重ねる佐藤琢磨

 84周目にターン1のアクシデントでイエローコーションが出たが、琢磨はそこでパックアップが遅い、つまり前車の車間を詰めるのが遅いという理由で3ポジション下がれという厳しいペナルティを受ける。

 これで21番手となってしまった琢磨は残った燃料とプッシュ・トゥ・パスを活かして追いかけるが18位に上がるのが精一杯。そこで110周目のチェッカーを受けた。

「最初からかなりペースを抑えて走っていましたが、いくら待ってもイエローコーションが出ませんでしたね。同じ作戦だったチップガナッシのマーカス・エリクソンも上がれなかったし、2ストップにしようと考えたドライバーは皆ダメでした」

「やはり後方のグリッドだったことで、こういう作戦を選ばなきゃいけなかったわけですから、予選グリッドをもっと前にして作戦立てないと……」と振り返る。

「泣いても笑っても、次のラグナセカが今シーズン最後ですから、しっかり走りたいですね」と琢磨。最終戦ではどんな活躍をみせてくれるだろうか。

ラストのピット作業で琢磨を送り出す51号車のクルーたち
ラストのピット作業で琢磨を送り出す51号車のクルーたち


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