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海外レース他 ニュース

投稿日: 2022.11.28 16:38
更新日: 2022.11.28 16:40

「クルマにドライバーが合わせるもの」佐藤琢磨が語るドライビングメソッドの価値

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海外レース他 | 「クルマにドライバーが合わせるもの」佐藤琢磨が語るドライビングメソッドの価値

 オートスポーツ本誌では2022年12月号(10月28日発売No.1578)、2023年1月号(11月29日発売No.1579)と連続して佐藤琢磨選手にレースドライビングについて語ってもらったインタビュー記事を掲載しています。2号連続企画となったのは、話の内容が膨大かつ濃密で1号ではとても収まり切らなかったからです。

 今回ドライビングにテーマを絞りお話を聞いて、ものすごく収穫だったことはクルマに合わせてドライビングスタイルを大きく変えてきたと明確に琢磨選手が語ってくれたことです。

 ドライビングスタイルは旋回スピードを優先するU字型と、進入スピードを優先するV字型に大別されます。U字、V字とはそのコーナリングで描くラインであり、コーナーの飛び込みスピードはV字が速く、ボトムスピードはU字が速くなるケースが多いとされています。トータルしてどちらが速いかはクルマの特性やコースなどの条件次第。単純に二分されるものでもなく無数にバリエーションがあるとも言えます。

 2001年にイギリスF3参戦とF1テストを掛け持ちしていた琢磨選手は車速の維持が重要なF3ではU字で走り、ダウンフォースとパワーの大きいF1ではV字で走っていたと明かしてくれました。さらに、きちんとF3のドライビングにリセットするために、F1のテストを行った直後にF3のレースに参加することはせず、必ずF3のテストを挟んでいたと言います。それだけふたつのスタイルを行き来することの難しさと、重要性を理解していたということでしょう。

 そこだけ取り出すとF3とF1それぞれに合ったドライビングを琢磨選手がしていたという、当たり前のことのようにも聞こえるかもしれません。しかしこれが簡単でことではなく、そんな柔軟な考え方をするドライバーはかなり限られているというのが取材をしてきた実感です。国内トップドライバーのなかにも「そんなに違いがあるんですかね」と言い切る猛者もいます。

 ドライバーが走りたいスタイルを実現するために、クルマをセッティングしていけばいい、そういった考え方のドライバーが少なくありません。結果、セッティングが決まったときはよくても、タイヤやクルマが変わるとタイムが出なくなるようなケースもみられます。それだけに琢磨選手の言葉には重みと価値があると感じました。

 さらにインディカーへ転向した際にはまったく違う環境、まったく違うクルマに対応するため大きくドライビングをスイッチしたことを説明してくれました。クルマの前後重量配分やダウンフォース量、タイヤサイズの前後バランスなどから、まったく違うアプローチが必要と最初のテスト走行で理解したとか。

 エンジニアリング面から考えて、それを実行できるスキル、フィジカル、セッティングを進めるためのエンジニアとのコミュニケーションやメンタルなどすべてを揃えたからこそ、インディ500二度制覇の快挙が成し遂げられたと違う角度から再確認することができました。

 それだけの実績と経験を積んだ『佐藤琢磨校長先生』に教えてもらえるホンダ・レーシング・スクールの生徒さんたちは幸せかもしれません。他人の経験を聞いて実践できるかどうかは別問題ですが、知ると知らないでは大きな差が生まれるはずです。

 というわけで発売中のオートスポーツ2022年12月号(No.1578)と11月29日火曜日発売のオートスポーツ2023年1月号(No.1579)、ぜひご購読よろしくお願いします。

■オートスポーツ2022年12月号(No.1578)の電子版はこちら

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