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海外レース他 ニュース

投稿日: 2022.11.30 21:05
更新日: 2023.01.06 16:30

予選2列目獲得のミケル・アズコナが初王座。決勝はジル・マグナスが“最後の勝者”に/WTCR最終戦

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海外レース他 | 予選2列目獲得のミケル・アズコナが初王座。決勝はジル・マグナスが“最後の勝者”に/WTCR最終戦

 バーレーンに続くシリーズ初の中東連戦であり、2018年から創設されたWTCR世界ツーリングカー・カップの歴史に幕を降ろす“真のフィナーレ”でもある2022年第9戦が、11月25~27日にサウジアラビアのジェッダ・コーニッシュ市街地サーキットで開催され、予選でQ2突破を決めたBRCヒョンデN スクアドラ・コルセのミケル・アズコナ(ヒョンデ・エラントラN TCR)が、ライバルの脱落もあり自身初のワールドチャンピオンを獲得した。

 決勝はアウディ陣営のコムトゥユー・レーシングが席巻し、レース1はナサニエル・ベルトン(コムトゥユー・DHLチーム・アウディスポーツ/アウディRS3 LMS 2)が、レース2はジル・マグナス(コムトゥユー・チーム・アウディスポーツ/アウディRS3 LMS 2)が制覇し、マグナスはWTCR“最後の勝者”の称号を得て、シリーズは5年間の波乱と蓄積に終止符を打った。

 今季限りでのWTCR終了に伴い、来季2023年は世界各国の人気イベントを指定しての『TCRワールドツアー』に移行するプランを表明しているTCR最高峰カテゴリーだが、そのグランドフィナーレは砂漠地帯でのナイトレースが舞台となった。

 同じく灼熱の勝負となった前戦バーレーンを「チームとして必要なリソースが不足している」とし、欠場を強いられていたロブ・ハフ(ゼングー・モータースポーツ/クプラ・レオン・コンペティションTCR)だが、ひさびさ勝利を挙げたマカオ参戦を経て、ここサウジへは「急遽、うれしい計画変更」で復帰参戦することが決まった。

 ナイター照明が焚かれるなか始まった週末最初のテストセッションでは、ノルベルト・ミケリス(BRCヒョンデN スクアドラ・コルセ/ヒョンデ・エラントラN TCR)が最速。続くFP1、FP2ではそれぞれマグナスとベルトンのアウディ勢が速さを見せ、セダン系モデルがハッチバックのホンダ・シビックを圧倒するスピードを披露する。

 こちらもナイトセッションとなった予選では、引き続きコムトゥユーから参戦する今季のTCRヨーロッパ王者フランコ・ジロラミらを筆頭に、トム・コロネル(コムトゥユー・DHLチーム・アウディスポーツ/アウディRS3 LMS 2)やマグナスらも加わって“トウ”を活用するアウディ・トレインが形成される。

 その隊列もクレバーに利用し、タイトル候補として孤軍奮闘のネストール・ジロラミ(ALL-INKL.COM・ミュニッヒ・モータースポーツ/FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)が、スリップストリームの恩恵を獲得してなんとか10番手とQ2進出圏内へ。

 同じくヒョンデ陣営も上位3台のポジションを固めるべく、列車を組んでチーム戦略を実施すると、アズコナがターン2でブレーキングポイントを逃し、まさかのワイドに。直後には「ペダルのひとつが固着している」という問題を訴えてピットに帰還し、この時点でカットライン線上の12番手と、Q2進出にプレッシャーの掛かる状況に陥ってしまう。

ひさびさ勝利を挙げたマカオ参戦を経て、ロブ・ハフ(Zengő Motorsport/CUPRA Leon Competición TCR)が「急遽、うれしい計画変更」で復帰参戦することが決まった

 残り8分で今度は僚友エステバン・グエリエリに牽引された“ベブ”ことネストールは、チャンピオンシップの希望を維持するべく9番手とし、1ポジションアップでQ2へ。同じくミケリスとニッキー・キャツバーグに引き上げられたアズコナは、最後の最後でトップの座を奪ってみせ、無事にQ2進出を決めてタイトル争いの直接対決を続けることに。

 ふたたびチーム編成の展開となったQ2も、開始直後からアウディ勢が主導権を握ってセッションが進むと、残り6分からコース上に各陣営のトレインが形成され、アズコナ、ベルトンらが入れ替わりでトップタイムを刻んでいく。

 一方、コンペンセイション・ウエイトの影響もあり、この週末もシビックに「決定的な速さが欠けている」と語ったネストールは、当落線上“背後”の11番手でセッションを進めると、残り2分でニュータイヤを装着し最後のアタックへ。10番手ならQ3進出とともにリバースポールも手にできることから、最後の賭けに出たものの、すべてを託したラップで自己ベストを更新することができず。

 この瞬間、ネストールのQ2敗退とともにQ3に進んだアズコナが2022年WTCRのドライバーズタイトル獲得を決めると同時に、最後の“WTCRチャンピオン”を手にすることとなった。

「信じられない、なんてシーズンだ。本当に信じられないよ!」と、Q2直後に喜びを爆発させたスペイン出身の新チャンピオン。「これまでずっと、家族や支援者からすべてのサポートを受け、この瞬間のために努力してきた。正直なところ、そのすべてが長い間取り組んできたものであり、基本的には僕の人生全体、そのものなんだ。ママとパパ、家族、ガールフレンド、いつも僕を支えてくれた多くの人々に感謝しなければ。本当にありがとう、バモス!」

 続くQ3ではベルトンがポールポジションを奪い、わずか0.107秒差でミケリスがフロントロウ2番手に並ぶ結果に。新王者アズコナは2列目3番手を獲得し、隣にコロネル、背後にマグナスの並ぶトップ5となった。

ネストール・ジロラミ(ALL-INKL.COM Münnich Motorsport/FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)は、残念ながら予選でタイトル争いが終焉する結末となった

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