2013年からBTCCイギリス・ツーリングカー選手権に参戦し、トヨタ・アヴェンシスや3代目メルセデス・ベンツAクラス、そして直近にはBMW3シリーズを走らせてきたシシリー・モータースポーツが、約10年間の活動に終止符を打つことを発表した。これにともないチームのエースを担ってきたアダム・モーガンは、2023年に向け名門ウエスト・サリー・レーシング(WSR)への移籍がアナウンスされ、同じくサテライトでの残留が発表されたジェイク・ヒル(MBモータースポーツ・パワード・バイ・ロキット/BMW 330e Mスポーツ)らと共闘することが決まった。
またBTCCを運営するTOCAは、導入初年度を成功裡に終えたハイブリッド規則の改正と、オプションタイヤの復活などを含む来季スポーティング規則の改定も発表している。
息子のアダムを擁してBTCCへの新規参入を果たしたシシリーは、その活動期間においてトム・オリファントやダニエル・ロウボトム、ジョージ・ギャンブルなどのキャリアアップを助け、モーガンとともに11勝、ギャンブルで1勝の通算12勝を獲得してきた。しかしチームは来季2023年に向けて、彼の地で盛んなヒストリック系の競技に集中する計画を立て、ツーリングカー最高峰での旅を終える決断を下した。
「信じられないほどの旅だった。私とアダムは彼が7歳の時から“父と子”としてレース活動をしてきたから、こうして最後の瞬間を迎えるのは非常に感情的な決定でもあったんだ」と語るのは、チーム代表のラッセル・モーガン。
「最初は自宅のガレージから始まり、後に英国最高レベルで競争するプロのレースチームに成長したシシリー・モータースポーツでの実績を、心から誇りに思っている。しかし今こそ、変化のときだ」
その発表から数日後、去就が注目されていた現在34歳のアダムは、シリーズを代表するトップチームであるWSRへの移籍をアナウンス。シリーズがNGTC規定車両を採用して以降300戦以上に出走した唯一のドライバーであり、過去2年間はそのWSRが製造したBMW(330i Mスポーツ/330e Mスポーツ)をドライブしてきただけに、強豪への加入が自身のキャリアを「飛躍させる」との野心を抱く。
「BTCCで最高のチームに加わることができ、これ以上ないほど興奮している。本社ファクトリーの廊下を抜け、壁に飾られた数多くのトロフィーや写真を見た。セナ、ハッキネン、マンセル、そしてワークショップでのマシンの準備方法……なぜ彼らが多くの勝利を収めたのか、それが明確に理解できたよ」と、移籍の喜びを語ったアダム。
「ご存知のとおり過去2年間は、彼らWSR製のBMWでレースをしてきたから、クルマのことは充分に良く知っている。キャリアで初めて他チームで仕事を始めるが、とにかくドライブに集中するつもりだ。これまでチームメイトは全員がルーキーだったから、リードドライバーとしてセットアップ作業の大部分を担うことがつねに期待されていたからね」と来季2023年に向けて、WSR最初の契約発表ドライバーとなったアダム。
「それはWSRには当てはまらないだろうし、そこから学び、自分自身を高めて、これまでで最高のドライバーになることができるだろう。新シーズンを始めるのが待ち切れないね!」
一方、今季2022年よりMBモータースポーツとのジョイントチームという形でWSRに参画した28歳のジェイク・ヒルも、引き続き元F1ドライバーのマーク・ブランデルが率いる組織とともに契約を更新し、拡張されたWSRプログラムの一環として来季もBMW 330e Mスポーツを走らせることがアナウンスされた。