今季も開幕前エキシビジョンとして開催される『ブッシュ・ライト・クラッシュ・アット・ザL.A.コロシアム』を週末に控え、2023年のNASCARカップシリーズはレース概要と一部規約の改訂を発表。これまでホイールの脱落ペナルティは強制的にチーフとクルーメンバー2名が4レースの出場停止処分を課されていたが、状況によりその処分が緩和されるほか、昨季の第35戦マーティンスヴィルにて、ロス・チャスティン(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)が披露した“壁走り”は、正式に『違反』としてタイムペナルティの対象となることが確認された。
昨季2022年より導入された通称“Gen7”ことNext-Gen車両により、これまでの5穴ホイールボルトからシングルラグナットのセンターロック方式へと変更されたカップ車両に対し、従来は厳しいペナルティシステムが適用されてきた。
昨季のレース中にホイールが脱落した場合は、いつ、どこでホイールが外れたかに関係なく、違反したチームクルーは自動的に4レースの出場停止処分を受けていたが、新たな2023年規定ではピットロード、レーストラックでホイールが外れたかどうか、またはレースがアンダーグリーンかイエローコーション下にあるかどうかに基づいて、以下の罰則が適用される。
<ホイール脱落時>
●イエロー時のボックス前後:フィールド最後尾からレースを再開
●グリーンでのピットレーン:ドライブスルー・ペナルティ
●ピットレーン以外での脱落:2周のペナルティ、クルー2名に2戦の出場停止
出場停止処分の対象となるクルーがタイヤチェンジャーかジャッキマンかの特定はなく、チームによる任意の選抜となりそうだが、昨季はホイール脱落により14件のペナルティが発生。しかし“再犯”はわずか1チームと事態の改善が顕著だったことが、ペナルティ緩和の要因になったと考えられる。
またエクスフィニティ・シリーズやクラフトマン・トラック・シリーズの単独開催イベントを除き、ロードコースでは各ステージ間のブレイクはなく、ショートオーバルを中心にいくつかのイベントでは、雨天の遅延を減らすためウエットタイヤを導入することが認められた。
そして昨季プレーオフを目前に控え、その結果にも大きな影響を及ぼしたチャスティンの『ホワイトフラッグ“5台抜き”ゲーミング・ムーブ』は、当時NASCARのオフィシャルにより、レース終了後の正式結果で「お咎めなし」として認められていたが、改めて2023年に向け「イベントの安全性を損なう、または競技者、関係者、観客の安全に危険なリスクをもたらすとみなされる違反」との既存の規則を引用し、タイムペナルティの対象となることが明言された。