更新日: 2023.02.26 18:46
【2023年FIA F2をゼロから学ぶ】岩佐歩夢のタイトル獲得なるか。現行車両最終年の注目ポイント
2022年シーズンのFIA F2は3月3〜5日に開催される第1戦サクヒールに始まり、全14戦28レースが開催される。ホンダ&レッドブル育成の岩佐歩夢の活躍により、注目が集まるFIA F2について、改めてシリーズの基本情報やレギュレーション、2023年シーズンのドライバーラインアップや開催スケジュールを整理してみよう。
現在のFIA F2はGP2が名称を変更した2017年に誕生した。ただ、『F2』という名称の誕生は、F1が世界選手権となる前、最上位のF1規定よりも小排気量のシングルシーター車両規定として設定された1948年まで遡る。
1967年からは当時のF2規定の元でヨーロッパF2選手権が開催され、1985年に国際F3000選手権、2005年にGP2、そして2017年より現在のFIA F2へと発展を遂げた。時代の流れに応じて開催スタイルや名称を変えてきたが、ヨーロッパF2時代からF1へのステップアップカテゴリーとして、F1を目指す多くの若手ドライバーが参戦してきた歴史がある。2005年から始まったGP2初年度以降の日本人ドライバーの参戦歴とシリーズチャンピオンは下記のとおりだ。
■GP2/FIA F2歴代王者&日本人ドライバー参戦記録
年度 | チャンピオン | 参戦日本人ドライバー |
---|---|---|
2005 | ニコ・ロズベルグ | 吉本大樹 |
2006 | ルイス・ハミルトン | 吉本大樹 |
2007 | ティモ・グロック | 中嶋一貴/平手晃平/山本左近 |
2008 | ジョルジオ・パンターノ | 小林可夢偉/山本左近 |
2009 | ニコ・ヒュルケンベルグ | 小林可夢偉 |
2010 | パストール・マルドナド | – |
2011 | ロマン・グロージャン | – |
2012 | ダヴィデ・ヴァルセッキ | – |
2013 | ファビオ・ライマー | – |
2014 | ジョリオン・パーマー | 伊沢拓也/佐藤公哉 |
2015 | ストフェル・バンドーン | 松下信治 |
2016 | ピエール・ガスリー | 松下信治 |
2017 | シャルル・ルクレール | 松下信治 |
2018 | ジョージ・ラッセル | 牧野任祐/福住仁嶺 |
2019 | ニック・デ・フリース | 松下信治/佐藤万璃音 |
2020 | ミック・シューマッハー | 松下信治/佐藤万璃音/角田裕毅 |
2021 | オスカー・ピアストリ | 佐藤万璃音 |
2022 | フェリペ・ドルゴヴィッチ | 佐藤万璃音/岩佐歩夢 |
※2008年〜2011年に開催されたGP2アジアシリーズは除く
現在のFIA F2はイタリアのダラーラ製シャシー『F2・2018』にメカクローム製3.4リッターV6ターボエンジン、そしてピレリタイヤというワンメイクのもとで争われるため、車両ごとのポテンシャルも変わらず、ドライバーの腕とチーム力が戦局を左右する。
また、F1と同じピレリ製のタイヤを使用するも、F1とは異なりタイヤウォーマーの使用が禁止されているため、短い時間でタイヤを適切な温度まで温めるウォームアップ技術もレースウイークの結果を左右する大きなポイントだ。
なお、2023年シーズンよりサウジアラビアの国有石油会社アラムコとのパートナーシップのもと、55%混合の持続可能燃料が導入される。そしてFIA F2では2024年シーズンより、新型シャシーと新エンジンの導入を目指しており、2023年シーズンは6シーズンにわたって使用されてきた現行パッケージの最終年となる予定だ。
■FIA F2車両ダラーラF2・2018の諸元抜粋
– | – |
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シャシー寸法 | 全長:5224mm 全幅:1900mm 全高:1097mm(FOMロールフープカメラ含む) |
ホイールベース | 3135mm |
総重量 | 755kg(ドライバー含む) |
エンジンメーカー | メカクローム(フランス) |
エンジン仕様 | V6 3.4リッターシングルターボ |
最大出力 | 620HP/8750rpm |
最大トルク | 570Nm/6000rpm |
0-100km/h加速 | 2.9秒 |
0-200km/h加速 | 6.6秒 |
最高速度 | 335km/h(モンツァ仕様エアロ+DRS) |
最大制動減速度 | -3.5G |
最大横加速度 | +/-3.9G |
安全基準 | 2017 FIA F1安全基準準拠 |
サバイバルセル | ダラーラ製サンドイッチカーボン アルミハニカム構造 ザイロン素材のアンチ・イントリュージョンパネル |
フロント&リアウイング | ダラーラ製カーボン構造 |
ボディワーク | カーボン/ダラーラ製のケブラーハニカム構造 |
DRS | F1のDRSと同じ機能/油圧可動式 |
ギヤボックス | ヒューランド製6速縦型シーケンシャル |
ギヤ操作 | パドルシフトによる電気油圧制御 |
クラッチ | ZFザックス製カーボン |
車載スターター | 非搭載 |
サスペンション | プッシュロッド式ダブルスチールウィッシュボーン フロント:ツインダンパー&トーションバー リヤ:スプリング |
ダンパー | コニ製/フロント2方向/リア4方向調整可能 |
調整可能アンチロールバー | 前後 |
ブレーキキャリパー | ブレンボ製6ピストンモノブロックキャリパー |
ブレーキディスク&パッド | カーボンインダストリー製カーボン |
ホイール | OZ製マグネシウムホイール(2020年より18インチ) 前:12J/後:13.7J |
タイヤ | FIA F2専用のピレリスリック&ウエットタイヤ TPMS(タイヤ空気圧監視システム) |