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海外レース他 ニュース

投稿日: 2023.03.28 18:58
更新日: 2023.03.28 21:03

元DTM王者トムチェクが古巣アプトで監督就任「ドライバーとして出る幕はない」と発言も、まさかの発表

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海外レース他 | 元DTM王者トムチェクが古巣アプトで監督就任「ドライバーとして出る幕はない」と発言も、まさかの発表

 ドイツF3選手権を経て、2001年からアプト・スポーツラインのジュニアチームドライバーとしてアウディTT-RSを駆りDTMドイツ・ツーリングカー選手権にデビューしたマーティン・トムチェク。その後2004年にアウディがDTMへワークス参戦を開始するにあたり、アウディワークスドライバーへ昇格し、2010年のシーズン終わりまでの10年間にわたりアプトで活躍した。

 2012年には、この前年に所属してシリーズチャンピオンを獲得したフェニックス・レーシングを経てBMW陣営へと移籍。2021年12月をもってレーシングドライバーとしてのキャリアを終え、DTMの生中継を放送しているドイツのテレビ局で解説を務めたほか、DTMのサポートレースであったDTMトロフィーの代表やITRを率いてきたゲルハルト・ベルガー会長の代理を務めるなど、現役を退いた後はレースに関わりながら多方面で活躍していた。そんなトムチェクが、今季2023年は古巣のアプトへ幹部職としてカムバックを果たし話題を呼んでいる。

 同チームは今季、ADACに引き継がれたDTMに引き続きアウディR8 LMS GT3エボIIで参戦するが、ニュルブルクリンク24時間レースへは新たにランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2を投入して2017年以来、6年ぶりにの復帰を果たす。その準備のために出場したNLSニュルブルクリンク耐久シリーズの開幕戦で、トムチェクに初の監督業務と今後の展望について話を聞いた。

* * * * * * *

――昨年まで所属していたITRを離れ、古巣のアプトへ戻られましたね。
マーティン・トムチェク(MT):昨年まではITRの幹部として、DTMやそのサポートレースをオーガナイズしていた立場だったが、DTMがADAC(ドイツ自動車連盟)の傘下に入ったため、私の今後のビジョンを描くことができなくなった」

「そのような経緯もあり、アプトの一員としてふたたび加入できたことをうれしく思っているし、非常に気持ちよく毎日仕事をしている」

――アプトへ加入するに至った経緯は?
MT:「ITRがADACへ売却した後に、今後はどうするのか? とアプトから電話をもらい、その後に直接面会の機会があったんだ」

「クプラでフォーミュラEとエクストリームE、アウディでDTM、ランボルギーニでニュルブルクリンク24時間レースと、今季はアプトのモータースポーツ活動が急拡大して行くなかで、彼らから提示してもらったモータースポーツディレクターというポジションは、今の自分のやりたいことと先方の希望が丁度マッチした形だったので、即答でアプトへ加入することを決めた」

「アプトはF3からDTMへとスイッチしてから、私のプロレーシングドライバーのキャリアを支え、育ててくれたチームで、10年の時を経て当時とは違うポジションで戻ってこられたので、その恩返しをしたいと思っている。チームへの強い信頼感を持っているし、このチームと一緒に仕事ができるすべての時間を楽しむつもりだ」

――モータースポーツディレクターという立場で、アプトの今季の活動のどのレースに帯同するのですか?
MT:「主にGTレースを担当するため、DTMとニュル24時間レースの準備としてNSLに帯同するが、フォーミュラEとエクストリームEの各数戦にも携わる予定だ」

「今年は私の仕事もアプトとしてのモータースポーツ事業としてもかなり多岐にわたる」

――あなたはアウディとBMWで長年に渡ってプロのレーシングドライバーとしてのキャリアを持っていますが、その経験をモータースポーツディレクターとしてどう活かしますか?
MT:「ドライバーとディレクターとは役割も求められるものも違うのだけれど、もちろんドライバーサイドの意見や視点はよく理解ができると思う」

「ただ、レーシングカーを一台動かすのに、いまのディレクターの立場では本当に色んな視点や役割から多くのことをインプット、アウトプットしなければならないので、新米ディレクターとしてはたくさんのことを学ばなければならないし、学んでいる途中でもある。ドライバーをコックピットへ座らせられるまでに、どれだけ多くの仕事があるのか、改めて自分の現役時代を考えると周りの多くの人々に支えられていたことを実感するよ」

「これらの一連すべては『モータースポーツ・ビジネス』だと捉えているし、ビジネスを成功させるにはドライバーとチームの信頼と連携は必須だ。そういった意味で、自分がドライバーだった経験もあり、彼らを理解するためにチームの誰よりも近い位置にいると思う」

「彼らのポテンシャルを最大限に発揮できるようにするのも私の大切な仕事のひとつだと考えている。私に与えられた課題と挑戦の責任は非常に重いが、私に任せてくれたアプトに感謝するとともに非常にやりがいを感じている」

アプト・スポーツラインがニュルブルクリンク24時間に投入するランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2
アプト・スポーツラインがニュルブルクリンク24時間に投入するランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2

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