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海外レース他 ニュース

投稿日: 2023.05.26 07:10
更新日: 2023.05.25 22:56

これぞ元王者の貫禄。サットンがポール発進から連勝劇。僚友カミッシュは悲運の連鎖/BTCC第3戦

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海外レース他 | これぞ元王者の貫禄。サットンがポール発進から連勝劇。僚友カミッシュは悲運の連鎖/BTCC第3戦

 開幕からフォード陣営の“古豪”モーターベース・パフォーマンス陣営が席巻する2023年のBTCCイギリス・ツーリングカー選手権は、5月20~21日の週末にスネッタートンでの第3戦が開催された。

 イングランド東部に位置するこの高速トラックでもNAPAレーシングUKのフォード・フォーカスSTが速さを維持し、元王者アシュリー・サットンが予選ポールポジションからの連勝劇を飾り、前戦から続く4連勝という1997年以来の記録を樹立。

 一方、選手権首位で臨んだ僚友ダン・カミッシュは、他車のオイルに乗り予選で赤旗起因となるクラッシュを喫すると、日曜を通じて挽回した最終ヒートの表彰台を再車検失格で失うなど、悲運が連鎖する週末となった。

 例年「世界のどこよりも速く」来季カレンダーを公開するBTCCは、今季もわずか2戦を終えた段階で恒例の2024年スケジュールを発表。フランスで開催予定のオリンピックと、サッカー『Euro2024』との日程衝突も意識し、運営組織のTOCAはいつもよりさらに早めの策定を進め、今季同様の全10戦30レースで、4月下旬のドニントンパークから10月上旬のブランズハッチGPサーキットへ続くプランを構築した。

「我々の2024年スケジュールは、広く賞賛された今季と同じ流れになっている」と説明するTOCA代表のアラン・ゴウ。

「ご存知のとおり来季はパリ・オリンピックとEuro2024があり、シーズン中は主要なスポーツイベントで非常に忙しい年になるだろう。したがってもっとも理想的な放送日程を確保するには、できるだけ早くカレンダーを確定することが重要だった」

「いつものように、これだけ早くカレンダーを発表すれば、国内のレース主催者や開催地が、独自イベントや事前計画などのスケジュールを立てるのに役立つ。英国のモータースポーツの他の地域にとってもプラスのメリットがあるんだ。それにしても5月10日に来季日程を公表する……将来的にはこれ以上早く発表できるとはまったく想像できないし、この記録は今後も破られないだろうね!」

■2024年BTCCイギリス・ツーリングカー選手権カレンダー

Round Date Circuit
Rd.1 4月27~28日 ドニントンパーク(ナショナル)
Rd.2 5月11~12日 ブランズハッチ(インディ)
Rd.3 5月25~26日 スネッタートン(300)
Rd.4 6月8~9日 スラクストン
Rd.5 6月22~23日 オールトンパーク(アイランド)
Rd.6 7月27~28日 クロフト
Rd.7 8月10~11日 ノックヒル
Rd.8 8月24~25日 ドニントンパーク(GP)
Rd.9 9月21~22日 シルバーストン(ナショナル)
Rd.10 10月5~6日 ブランズハッチ(GP)

週末には3種類のコンパウンドが用意されたが、予選ではニック・ハルステッド(BRISTOL STREET MOTORS with EXCELR8/ヒョンデi30 Fastback N Performance)のマシンからオイルが漏れ、ここから波乱が始まることに
FP2最速ながら、まさかの予選ノータイムに終わったダン・カミッシュ(NAPA Racing UK/フォード・フォーカスST)
「ラジオで『これは僕がドライブした中でも、最高のツーリングカーだ』と言ったが、それは間違いない」と愛機を称賛した元王者アシュリー・サットン(NAPA Racing UK/フォード・フォーカスST)

 こうして始まった古参トラックでの週末は、FP1がサットン、FP2ではカミッシュと、幕開けからフォード陣営が当然のように最速の地位を固めていく。この段階で午後の予選に向けても「どちらのフォーカスSTがポールを獲得するか」と誰もが考えていた流れは、しかし2度の赤旗中断が大きく影響を及ぼすことに。

 セッションはサットンが早々に暫定ポールタイムを記録し、ここから前輪駆動の陣営が次々と本格アタックに向かおうかという段階で、ニック・ハルステッド(ブリストル・ストリート・モータース・ウィズ・エクセラー8/ヒョンデi30ファストバック Nパフォーマンス)のマシンからオイルが漏れ、その後方では複数のドライバーが混乱に陥る事態に。

 ここで選手権4冠のコリン・ターキントン(チームBMW/BMW 330e Mスポーツ)や他の複数車両もスピンやコースオフ、バリアへの接触とアクシンデントが多発し、最初のセッション中断が宣言される。

 長時間の路面清掃を経て再開されると、ポイントリーダーとして僚友に挑むべく飛び出していったカミッシュが、左高速コーナーの“ハミルトン”で姿勢を乱しバリアに衝突。ここでふたたびの赤旗となってしまう。規定に従い、これで最速ラップタイムが抹消されたカミッシュは最後尾からのスタートとなり、予選後には「正直、少し言葉を失っている」と失意の胸中を明かした。

「誰もクルマを衝突させるためにレースをしているわけではないので残念だ。結局のところ、僕らは限界に挑戦していて、それは紙一重ではあるんだけれど……僕は間違った側にいた」と続けたカミッシュ。

「ここで何年もドライブしてきたが、こんな事故は初めてだし、今後何年もここでドライブするだろうが、こんな事故は二度と起こさないだろう。ポイントリーダーとして最後尾にいるのは痛手だが、もう終わったことだ。巻き返そうと努力しなければならない」

 最終的にディフェンディングチャンピオンのトム・イングラム(ブリストル・ストリート・モータース・ウィズ・エクセラー8/ヒョンデi30ファストバック Nパフォーマンス)や、名門ウエスト・サリー・レーシング(WSR)の大エースであるターキントン、そしてジェイク・ヒル(レーザーツール・レーシング・ウィズ・MBモータースポーツ/BMW 330e Mスポーツ)らを従えたサットンが、驚くべきことに2021年以来初のポールポジションを射止めた。

「良いクルマをくれたら、それからすべてを手に入れられる」と、僚友とはクッキリ明暗が分かれる展開に持ち込んだサットン。「ラップを走らせた後、ラジオで『これは僕がドライブした中でも、最高のツーリングカーだ』と言ったが、それは間違いない。僕の要求をすべて満たして実行してくれたんだ!」

昨季もタイトルを争ったジェイク・ヒル(Laser Tools Racing with MB Motorsport/BMW 330e M-Sport)らを従え、サットンがまずはレース1を制する
R2も同じ立ち位置、同じ顔ぶれが表彰台を占め「1日で3つのコンパウンドを使わなければならなかったことを考えると、今週末の結果には満足している」と父になったばかりのサットン
レース1ではハードタイヤで11位まで挽回、レース2はミディアムながらトップ10には及ばなかったが、レース3で2位まで逆襲したカミッシュ。しかし最後には無情の結末が待っていた

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