レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

ル・マン/WECニュース

投稿日: 2009.06.10 00:00
更新日: 2018.02.15 13:34

ル・マン24時間:車検で注目ドライバーがレース直前の心境を告白


 6月8日(月)〜9日(火)、フランス・ル・マン市内のジャコバン広場で第77回ル・マン24時間レースの公開車検が行われ、8日(月)は午後2時半から、9日(火)は午前8時半から、出場する55台のマシンが順に車検を受けた。この車検日は両日ともに激しいスコールが降ったり、晴れ間が見えたりという不安定な天候となったが、土砂降りの中で恒例の記念撮影を行うチームも多数見受けられた。

 車検のトップバッターを務めたのは、3台のアウディR15。新車ということもあり、オフィシャルが隅々まで入念にチェックしたために予定時間を大幅にオーバーした。そのため、午後5時20分から車検が予定されていたNAVI TEAM GOHも、すべての車検を終えたのは午後8時前。それに引き続き行われた野田英樹の所属チームKSMも、同様に予定時間を大きく越えて車検を終えている。

 この日、最大の注目となったのはやはりアウディR15。そのマシンについて、また今年のル・マンについて、アラン・マクニッシュは次のように語った。

「去年までのクルマとの違いを説明するのは難しい。レギュレーションが変わったことによって11%ものパワーを失っているからね。でも、エンジン本体が軽くなったことでシャシーバランスは今まで以上に良くなったし、エンジンパワーを有効に使えるようになったと思う。全体的に燃費も良くなったし、今まで以上のポテンシャルを引き出せることができている」

「それに、R10以上に作業できるエリアも広いし、みんなにとってイージーなクルマになっている。ただ、セブリングの後で30㎏のサクセスバラストを積むことになったから、クルマのバランスを検討しなければならなかったし、同時に信頼性に関しても考えなければいけなかった。でも、今もまだクルマは完璧じゃない」

「空力は進化していると思う。セブリングでもとても安定していたし、バンプに乗った時でもすごくいいグリップとバランスを持っていた。セブリングの後も多くのテストをしてきたし、最後のテストは天候にも恵まれた。僕らは最後のテストでかなりいい手応えをつかめている。今年はテストデーが中止になったので、きっとどのチームもクルマは完璧ではないだろうね。だから、これまで以上に経験が必要になるはずだ」

 一方、アウディの後に車検に臨んだNAVI TEAM GOHでは、国本京佑がジャコバン広場に初見参。その感想を次のように述べた。

「日本ではこのようなイベントを経験したことがないので新鮮ですよね。写真もいっぱい撮りましたし、楽しかったです。でも、レースに対してはいつもと変わらない感じです。6月はじめにポール・リカールでテストをしてからずっとこちらにいますが、荒さんと一緒だったので何の不安もなく1日1日を楽しんでいます。市街地はマカオしか走ったことがありませんが、下見すると予想通りコース幅が狭いなと感じました。荒さんからは、雨が降った時にはここに水が溜まるよとか、この縁石に乗ったら危ないよとか、いろいろとアドバイスをもらいました」

 翌9日(火)は、朝から雨模様。時おり晴れ間がのぞくものの、激しい雷雨がたび重なる悪天候となったが、車検は予定通り午前8時過ぎから行われている。この日の注目はプジョー、ペスカローロ、さらにチーム・コレス。日本人にとっては、ペスカローロ・プジョー908に乗るブノワ・トレルイエと、チーム・コレスでのドライブが決まったアンドレ・ロッテラーが同時にジャコバン広場に現れるという嬉しいシーンが見られた。

 前日の8日(月)に、ようやくル・マン参戦が正式発表されたロッテラーは、その夜にベルギーの自宅から現地入り。翌火曜日にチームと顔合わせをし、その後は車検。サーキットに戻ってからはシート合わせと、慌しい時間を過ごすこととなった。

「チーム・コレスが今年ル・マンシリーズでR10を2台走らせるというニュースを目にしてから、チームとはずっとコンタクトを取っていたんだ。コレス氏のことは以前から知っていたし、僕自身ル・マン24時間にはぜひ出場してみたいと思っていたからね。でも、チームはスポンサーを必要としていたので、最初はチャンスがなさそうだった。だけど、チームとしては僕を走らせたかったようで、最後の最後で解決策を見つけてくれて乗ることになったんだ。サポートしてくれた人やコレス氏には感謝したいね」

「この話が最終的に決まったのは1週間前だよ。僕にとっては初めてのコースだし、初めてのクルマだし、学ぶことだらけ。でも、水曜日と木曜日に走る時間はたくさんあるし、焦ることなく一歩ずつ自分自身をチームやクルマ、コースに合わせていって、徐々に限界に近づいていきたい。初めてのル・マンにLMP1のクラスで、しかもアウディという素晴らしいクルマに乗れるなんて、滅多にないチャンスだからバカげたミスなんかはしたくない。これは僕の今後のキャリアにとっても大切なレースになると思うよ」

「でも、決まってから時間がなくて、ヘルメットなどの装備品も持ってきていなかったからトムスに連絡したり、やることがいっぱいあって大変だったよ。GTの装備品はもうセパンに送られているから、フォーミュラ・ニッポン用のものを送ってもらったんだけど、予定が遅れてまだ届いていないしね。コースはテレビゲームで2〜3回は練習したけど、きっと実際のコースはまた違うだろうから、経験豊富なドライバーに教えてもらわなくちゃいけないね」

 コース下見も走行初日の10日(水)になってようやく行えるという状態のロッテラーだが、初ル・マンを満喫しているようだ。