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F1ニュース

投稿日: 2011.02.28 00:00
更新日: 2018.02.16 01:08

元王者、ティルケを批判「今のサーキットは問題あり」


 F1ワールドチャンピオンに3度輝いたジャッキー・スチュワートは、今のF1でオーバーテイクがしづらいのはマシンのせいというよりはサーキットのせいだと述べ、現代のF1サーキットのほとんどをデザインしたヘルマン・ティルケは、コースの一部を変更するべきであると主張した。

「現代のグランプリレーシングでオーバーテイクがあまり見られない大きな原因のひとつは、現代のサーキットにあると確信している」とスチュワートはThe Telegraphにおいて記している。
「現代のサーキットはほとんどすべて、ひとりの人物によってデザインされた。その人物はドイツの建築家、ヘルマン・ティルケだ」
「ブレーキがかなり効率的になり、空力的なダウンフォースが増えたことで、ブレーキングゾーンがかなり短くなり、そのせいでオーバーテイクゾーンが大幅に減ったのは確かだ」
「だが、新しいサーキットも責任の一端を担うべきだ。一言で言うと、新しいサーキットはそれぞれ互いのコピーのようにそっくりで、(ドライバーが)ミスの代償を払わずに済む傾向にある」

 スチュワートは、2010年の最終戦アブダビGPで、チャンピオン候補のフェルナンド・アロンソが前を行くビタリー・ペトロフを抜きあぐね、オーバーテイクを試みる際に何度もコースからはみ出したが、その時後ろを走るマーク・ウエーバーはアロンソを抜けなかったと説明した。現代のF1サーキットはランオフエリアが整いすぎているために、ドライバーがミスをしても大きな代償を払わずに済むが、それは大きな間違いだとスチュワートは言う。

 スチュワートは、自分の時代には大勢のドライバーが命を落とし、現在は安全性が向上したことは喜ばしいと述べながらも、次のように主張している。
「しかしながら我々は反対の方向に行き過ぎたのだ。サーキットは、観客やテレビ視聴者にひと目で分かる形の罰を受けずに(コースを)悪用するような自由を与えるべきではない」
「ティルケは、1990年代序盤以降のF1の新しいサーキットをほとんどすべててがけている。彼はF1に快適さと豪華さをもたらし、ある意味では素晴らしい仕事をした。しかし残念ながら観客のためには十分な仕事をしていないのではないかと思う」
「サーキットを改修しなければ、観客とテレビ視聴者がオーバーテイクを見られない時期が続くだろう」

 オーバーテイクを促進するため、FIAはテクニカルレギュレーションを変え続けているが、成果が見られない。今年はムーバブル・リヤウイングとKERSが導入されるが、サーキットを改修した方が効果が大きく、安上がりであるとスチュワートは言う。
「単純にティルケがコーナーをモディファイし、コースからはみ出したドライバーは何らかの代償を払わなければならなくしたらどうだろう?」
「ランオフエリアの路面を変えて、マシンのトラクションを減らし、コースからはみ出したドライバーは、前を行くドライバーとの差が広がったり、後ろのマシンに抜かれたりするようにしたらどうか?」