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F1ニュース

投稿日: 2009.07.07 00:00
更新日: 2018.02.15 13:58

富士スピードウェイ加藤社長「F1開催中止は断腸の思い」


 7日、富士スピードウェイから発表された2010年のF1日本グランプリの開催中止の報に続き、都内で記者会見が行われた。加藤裕明社長は、今回の中止の決定について、「まさに断腸の思い。皆様に深くお詫び申し上げたい」と語った。

 7日、急遽設定された記者会見には、テレビや一般紙など多数の報道陣が集まった。そんな中、高瀬由紀夫F1事業本部長を伴って会場に姿を現した加藤社長は、報道陣を前に「大変申し訳ない報告になりましたが、2010年以降隔年で開催を予定しておりました、私ども富士スピードウェイでのF1日本グランプリの開催を断念することにいたしました」と改めて中止の決定を語った。

 中止の経緯について加藤社長は、「昨年10月に端を発しました世界的な経済不況は、弊社にも極めて厳しい経営環境をもたらすことになりました。私どもといたしましては、なんとしても開催を継続したい、という思いでさまざまな解決策を鋭意検討してまいりました。さらに、F1の開催権利等を管理いたしますFOAとも討議を重ねてまいりましたが、お客様にご満足いただける開催の継続は企業存続の観点から極めて困難であるとの結論に至りました」とその理由を述べている。

 質疑応答では、実際にどう経済環境がサーキットに影響を及ぼしたかについて加藤社長は「私の立場から申し上げられるかは分かりませんし、富士スピードウェイの努力不足ということも攻められてしかるべきとも思いますが、国内のレースのお客様が激減しております」とスーパーGT、フォーミュラ・ニッポンといった国内レースでの入場者数の激減、また看板スポンサーの減少がその一因であると言及。「私どもの努力不足もあるんですけれど、サーキットと、エントラントの皆さんと、シリーズプロモーターの皆さんとが、この何年間かは本当に三方一両損の精神で歯を食いしばって支えていかないと、国内のモータースポーツも立ちゆかなくなる懸念すら私はもっております」と警鐘を鳴らした。

 今回の中止の決定は、昨日富士スピードウェイ内の取締役会で正式に決定、昨日の時点で国、静岡県、小山町、御殿場市、裾野市に連絡されたという。「いろいろな意味で地元に御世話になったプロジェクトですから、こういう会見をさせていただく前にいろいろなところに連絡してお詫び申し上げました。誠に残念と皆さん一様にそうやっておっしゃっておりました」と加藤社長。鈴鹿サーキットにも、「本当は会ってお伝えするところですが、昨日電話で大変申し訳ないというお話をモビリティランドの大島(裕志)社長に差し上げました」と連絡したという。

 なお、今後経済環境が好転した場合はまたF1開催を目指すのかという質問に対しては、「私としては今でもやりたいと思っている。状況が良くなればぜひ、というのは考えているが、これはFOAが決めることであり、『じゃあもう一度』とそう簡単にいくものではないと思っています」と厳しい見通しを語っている。