波乱のGT第7戦はS Roadが大逆転V！ 王座決定

　スーパーGT第7戦オートポリスは30日、65周の決勝レースが行われ、S Road REITO MOLA GT-RがファイナルラップでEPSON HSV-010をかわし優勝。今季2勝目を飾り、2012年のチャンピオンを決めた。

　午前中は霧のため、スケジュールが大きく変更になったスーパーGT第7戦オートポリス。しかし、12時前からのピットウォークの時点で霧は晴れ、路面は濡れているものの無事にレースが開催されるコンディションとなった。やや風のある中で少しずつ路面が乾いたいったため、9番手スタートのPETRONAS TOM'S SC430はスリックをチョイスするなど、各陣営で判断が分かれることとなった。

　そんな中、セーフティカースタートで切られたスタートでは、GT500勢はクリーンなスタートが切られるものの、1周目から2番手スタートのMOTUL AUTECH GT-Rを駆る本山哲が一気にポールスタートのWedsSport ADVAN SC430を攻め、トップに浮上。一気に後続との差を広げにかかる。しかし、そんなMOTUL GT-Rのリードは、12周目にGREEN TEC & LEON SLSがスポンジバリアにクラッシュしたため、セーフティカーが導入されいったんゼロに戻ってしまうことになる。

　ただ、MOTULはセーフティカー明けのスタートを決めリードを死守。一方トップをうかがったWedsSportだが、またもリスタート明けで3番手につけていたD'station ADVAN GT-Rに2番手を明け渡してしまう。これでMOTULがトップ、D'stationが2番手となり、GT-R勢のワン・ツー状態で中盤戦を迎えた。

　しかし、MOTUL AUTECH GT-Rは25周を過ぎたあたりから少しずつD'station、WedsSportの接近を許すと、27周目には一気に2台にパスされてしまうことに。トップに躍り出たヨコハマタイヤ装着の2台は、順位を入れ替えながらもタイヤ交換を引っ張り、レースを優位に進めていった。

　一方、この2台と同様素晴らしい速さをみせたのは、前日の予選でクラッシュし11番手からスタートしたEPSON HSV-010。わずかに濡れた路面でベストマッチをみせたダンロップタイヤで、道上龍が快走。エンジン交換のため15秒のペナルティストップを受けていたが、セーフティカーのタイミングがよく、その後は一気に前をかわし続け、ピットイン前には3番手に浮上していた。

　トップのヨコハマ勢2台はD'stationが40周を終えて、WedsSportが41周を終えてピットに入ったが、そのうちWedsSportはピットに時間がかかってしまい、D'stationばかりか早めにピットに入っていたMOTUL AUTECH GT-Rの先行を許してしまう。これでD'stationのトップは盤石かと思われたが、42周目にピットに入ったEPSON HSV-010はタイヤ無交換作戦を敢行。これでD'stationの前に入り、トップに躍り出た。

　トップに立ったEPSON HSV-010は、直後にGT300クラスのGAINER DIXCEL DUNLOP R8と接触を喫し一時D'stationにトップを明け渡したものの、セクター1が濡れていた状況を活かし再びEPSONがトップへ。一方、2番手以下の争いは混沌とする。D'stationのペースが少しずつ下がっていく一方で、序盤から素晴らしいスピードをみせて上位に浮上してきたのがS Road REITO MOLA GT-R。ピット後5番手近辺を走っていたが、ロニー・クインタレッリから交代した柳田真孝は、50周目にMOTUL GT-Rをかわすと57周目にD'stationに接近していたWedsSportをパス、さらに一気にD'stationをかわし、S Roadが2番手に浮上した。

　終盤、トップのEPSONは2007年以来の優勝に向けてひた走るが、タイヤ交換をしていないこともあり、少しずつ2番手S Roadとのギャップが縮まってくる。残り2周というところで2秒となっていたギャップは、ファイナルラップにはテール・トゥ・ノーズに！　EPSON HSV-010を駆る中山友貴はギリギリのドライビングで必死の抵抗をみせるが、第2ヘアピンでインを開ける形となってしまい、その内にS Roadが前へ！　抜かれたEPSONは芝生に乗ってしまいスピン。これでS Road REITO MOLA GT-Rがチェッカーに向けてトップに立った。

　これで第5戦鈴鹿に続いてトップでチェッカーを受けたS Road REITO MOLA GT-Rは、第4戦SUGOから4戦連続の表彰台。タイトルを争っていたライバル勢の前に、これまでポイントを得ていなかったマシンが入る形になったこともあり、78ポイントに伸ばしたS Road REITO MOLA GT-R／柳田＆クインタレッリの2年連続チャンピオンが決まることとなった。2年連続同一コンビでのタイトル獲得は史上初。最終戦を待たずしてチャンピオンが決まったのは、2007年のARTA NSX以来。

　2位はスピンから立ち直ったEPSON HSV-010。今年初ポイントが2位表彰台となった。3位はファイナルラップでD'station ADVAN GT-RをかわしたWedsSport ADVAN SC430となっている。4位はD'station ADVAN GT-R、5位にDENSO KOBELCO SC430、6位にMOTUL AUTECH GT-Rという結果に。ランキング2位につけていたZENT CERUMO SC430は7位となった。