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スーパーGTニュース

投稿日: 2009.03.16 00:00
更新日: 2018.02.15 12:25

ASTON MARTIN 赤坂 DBR9、富士でシェイクダウンを終える


 週が明け、一気に温かくなった3月16日の富士スピードウェイ。うっすらとかかる春霞を切り裂いて、ブリティッシュ・グリーンに彩られたマシンが駆け抜ける。6リッターV12サウンドが、1400mのロングストレートにその爆音を轟かせた。この日、岡山国際サーキットでの開幕を前に、今季オートバックス・スーパーGTにスポット参戦するノバ・エンジニアリングのアストンマーチンDBR9が、スポーツ走行枠を使用してシェイクダウンを行なったのだ。

 約10日ほど前に日本に到着したこのDBR9は、ドイツのフェニックス・レーシングが06年のFIA GTで走らせていたプロドライブ社製のカスタマーカー。それを一ッ山康・幹雄オーナーが購入し、日本で走らせることになった。チームのオペレーションとマシンメンテナンスを担当するのは名門・ノバエンジニアリング。つまり一ッ山レーシングとノバ・エンジニアリングのコラボレーションということになる。

 一ッ山オーナーの第一目標は、今秋岡山で行なわれるアジアン・ル・マン・シリーズにこのマシンで参戦し、優勝すること。ここで優勝したマシンは、自動的に2010年のル・マン24時間レースに招待されることになっているため、当然最終目標はそこに置いている。そのため、スポット参戦するスーパーGTに関しても、09年のACO規定に重量やエア・リストリクターを合致させて臨む方針だ。

 このマシンをドライブするのは、昨年ポルシェカップに参戦していた都筑晶裕とベテランの土屋武士。今日のシェイクダウンでも、この2人がステアリングを握った。走行が開始されたのは午後2時過ぎから。チーム関係者のみならず、正規輸入代理店のアストン・マーティン赤坂のスタッフやサーキットを訪れていた現役GTドライバーたちが見守る中、まず土屋がマシンに乗り込み、コースへと出て行く。しかし、間もなくドライブシャフトにトラブルが発生。マシンはいったんガレージに入れられ、修復作業が行なわれた。

 そして、午後4時15分からは2本目の走行。ここでは都筑がステアリングを握って、まず作動チェック。その後、連続周回に入った。途中2度ほどピットインして各部をチェックしたが、最初のトラブル以外は特に大きな問題もなく走行を完了。まだエンジンのマッピングなど、合わせ込みができていない部分も多く、セットアップやタイヤテストにも至らなかったため、タイムは国産GT500マシンとは比べ物にならないが、まずは第一段階をクリアしたと言えるだろう。このヨーロッパ製最高級スポーツカーが、次に姿を現すのは、今週末の岡山国際サーキット。まずは完走を目指して、最初のレースに挑むことになる。

●一ッ山幹雄オーナーコメント
(走っている姿を見て)やっぱり日本のスーパーGTのクルマとは、だいぶ違いますよね。クルマの原型が残っているでしょう? その辺がやっぱり見ていて楽しい。一般車が走っているみたいな感じで。フェラーリと同じタイプのエンジンなので、いい感じの音ですよね。そこも日本のGT500とは一味違う、ホントのエンジンの音だと思います。今日来られている方たちもみなさんも、『いい音だね』と言ってくださいました。それはそれで、サーキットで他のマシンと一緒に走った時には、ひとつの特徴になると思いますし、見に来て下さる方にも喜んでいただけるんじゃないかと思います。その辺が一番楽しい所じゃないですか? スーパーGTでの勝ち負けは全然気にしていませんが、しっかり走って完走してもらいたい。今週末の岡山に向けて、ワクワクしています。

●土屋武士コメント
 今日は1周しかしていないんですが、今まで乗っていたクルマとは明らかに違う乗り味ですね。最近のGTカーは完全にフォーミュラカーっぽくなっていたんですが、このクルマはもっとツーリングカーっぽい。それが一番の印象ですね。出て行って1周目から。普通にアクセルをパカンと踏める感じです。乗りやすいのと速いのは別ですけど、とても乗りやすいクルマなので、安心感がありますね。今日はまだエンジンのマッピングも合っていないですし、本当に転がしただけという感じでしたけどね。外から走っている姿を見ると、平べったくて大きいなっていう印象。ストレートを走ってくる姿には雰囲気もありましたし、カッコいいですね。だから、開幕戦が楽しみですし、こういうクルマに乗れるのは嬉しいです。

●都筑晶裕コメント
 僕自身、初めてこういうクルマに乗るので、やっぱり難しいし、速いクルマだと思いました。去年乗っていたポルシェカップのクルマと比べれば、クルマ自体の大きさも違いますし、視界も違えばブレーキも違う。他のGT500のクルマは知らないので、よく効くブレーキだなっていう印象でしたけど。まだ不安な要素ばかりですし、使い勝手も分からないので、これから学ぶことは多いでしょうね。それに、今日はそんなに緊張しませんでしたが、レースではきっと緊張すると思います。開幕戦が練習みたいなものになると思いますが、頑張ります。


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