投稿日: 2016.01.29 00:00
更新日: 2018.02.17 12:44
更新日: 2018.02.17 12:44
FACES:ダニエル・リカルド、自己主張する笑顔
(今宮雅子/Masako Imamiya)
とにかく明るい笑顔が印象的で、多彩なオーバーテイクが魅力のダニエル・リカルド。その笑顔の裏に、どんな素顔を隠しているのだろう。本人は「コース上の僕は、お人好しじゃない」と、やはり笑いながら言う。もっと違う顔を見たくなる──リカルドが見せた、いくつもの表情を今宮雅子氏が描く。
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F1デビュー当時の彼は、インテルラゴスの古びた施設に瞳を輝かせながら言った。
「アイルトン・セナが走ってたころと同じだよね? ここで走れて本当にうれしい。この空気もファンの様子も、本当に特別だと感じる……」
セナが亡くなったとき自分はまだ4歳で、彼のレースを生で見たことはなかった。でもセナの大ファンだった父が、たくさん話を聴かせてくれた。
「彼は本物のヒーローだったね。僕のアイドルだった」
だからセナのことを、ダニエル・リカルドは本当の思い出のように口にする。20年前、霧雨に包まれたインテルラゴスを最後は6速ギヤだけで走り、母国で初めての勝利を勝ち取ったレースのことも──。
「今日では不可能なことだ。誰もが驚くようなことを実現したからこそ、こんなに彼は特別なんだと思う。ウエット路面での彼のマシンコントロールは、すごく覚えてるよ」
いつかアイルトン・セナのようなテクニックで雨のなかを走りたいと、リカルドは強く思う。