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F1ニュース

投稿日: 2015.07.22 00:00
更新日: 2018.02.17 09:22

GP直送:関係者が語る、可夢偉シート喪失の裏事情


 シルバーストン・サーキットのパドックに、イアン・フィリップスの姿があった。フィリップスはジョーダンがF1に参戦した1990年代からコマーシャルディレクターとして活躍。その後いくつかのチームを渡り歩き、昨年はコリン・コレスがケータハムを率いたイギリスGP以降、コレスやチーム代表となったマンフレッディ・ラベットの補佐役を務めていた。

 2014年シーズンに小林可夢偉が所属していたケータハムは、後半戦に入るとチーム運営が混乱し、不可解な決定が繰り返された。いまだからこそ話せる真実があるかもしれない。そこで、久しぶりにパドックへ戻ってきたフィリップスに、いくつかの疑問をぶつけてみた。

 まず、可夢偉がアンドレ・ロッテラーにシートを奪われた昨年のベルギーGPについて。

「スパは我々にとって、とても重要なレースだった。あの時点でコンストラクターズ選手権は最下位、そのままではFOMからの分配金をほとんどもらえない状況だ。だが、ひとつ上のザウバーも入賞していなかったから、彼らを抜くにはポイント獲得が絶対条件だった。ザウバーの上か下かで、チームの予算が5000万ユーロ(約67億円)も変わってくるから必死だった。だから後半戦でポイントを獲得するためにリスクをとったんだ。可夢偉は良いドライバーだが、スパでの経験はアンドレ(ロッテラー)のほうが上というのがコレスの結論だった。そして、鈴鹿は可夢偉に託した」

 知ってのとおり、コレスの決断は功を奏さなかった。いくらロッテラーがスパを熟知しているとはいえ、わずか1戦、しかもF1初挑戦で、入賞経験のないチームでポイントを取ることができるほど甘くはない。それはF1の世界で長年仕事をしてきたコレスとフィリップスなら当然わかっていたはずだ。実際には、この時期からコレスは可夢偉側に対して金銭の要求を行っており、ロッテラーを起用することで、いくらかのスポンサーマネーを受け取っている。