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スーパーGTニュース

投稿日: 2015.12.26 00:00
更新日: 2018.04.03 10:52

GT300マシンフォーカス:メルセデスSLS AMG GT3


 14車種29チームが熾烈なバトルを繰り広げた2015年シーズンのスーパーGT300クラス。数多くある車両のなかから1台ピックアップし、ドライバーや関係者にマシンの魅力を聞いていく。

 今回は2015年シーズンのGT300クラスで合計6チームが使用し最大勢力となったメルセデスSLS AMG GT3にフォーカスする。

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 メルセデスSLS AMGは、同社が2009年のフランクフルトモーターショーで発表したロングノーズとガルウィングが特徴的なスーパーカー。これをベースとしてFIA-GT3仕様にチューニングされたものが、2010年に登場したメルセデスSLS AMG GT3だ。なお、メルセデスがカスタマー向けレーシングカーを製作したのは、このSLS AMG GT3が初めてのマシンとなる。

 日本ではPETRONAS SYNTIUM TEAMが2012年のスーパー耐久参戦用に2台のSLS AMG GT3を購入。そして、同チームの車両メンテナンスを担当していたシフトがさらに1台購入し、2012年のスーパーGT300クラスへGREEN TEC & LEON SLSとして初参戦した。

 マシンの特徴は6リッターを超える大排気量エンジンによる力強いトルクと、高い安定性を誇るブレーキ性能が挙げられる。特にブレーキ性能のアドバンテージはブレーキングポイントがライバルより10メートル以上も奥にあると言われるほどだ。スーパー耐久でSLS AMG GT3搭乗経験があり、昨年のBMW Z4 GT3から今季、SLS AMG GT3へスイッチしたGOODSMILE RACING & TeamUKYOの片岡龍也は、ブレーキ性能の高さはロングノーズなどマシン設計に由来するものだと明かす。

「重心が後ろよりになっている分、ブレーキのスタビリティは強く、かなりレイトブレーキしても姿勢は安定していて、そういうところでのブレーキの強みがあります。ブレーキシステムが優れているというよりは車両姿勢の部分での強みですね」

 ブレーキに関しては今季大幅なアップデートが施されたニッサンGT-RニスモGT3も高い安定性を発揮したが、片岡は「はっきり比べた訳ではありませんが、GT3のなかでもブレーキはトップかトップクラス。この部分に関してはライバルに引けは取らないと思います」と述べており、車両構成、ディメンションからくるアドバンテージは大きいようだ。しかし、「すごくロングノーズで見た目はかっこいいですが、フロントミッドシップに配置されたエンジンのせいか、フロントタイヤの荷重の掛け方が難しいですね。特に小さい、タイトなコーナーでは曲がりにくい部分はあります」と片岡はネガティブな点も指摘。細かなコーナーが連続するレイアウトでは苦戦を強いられる。

「ただ、曲がってさえしまえば、しっかりとしたエンジンのトルクを地面に伝えるトラクションのあるクルマなので、比較的ストレートラインで力を発揮するクルマですね。6リッターを超えるエンジンのトルクが強く、アクセル開け始めからのもりもりとした加速感は素晴らしいです」

「特徴としては、コースの加速区間でタイムを稼いでいくようなマシンです。昨年までのBMW Z4とは真逆に近いです。Z4はコーナリングが優れていて、加速区間が苦手なクルマでしたから。そういう意味では1周すれば同じようなパフォーマンスにはなりますが、かなり大きく特徴が違いますね」

 なお、SLS AMG GT3はGT300クラスをはじめ世界各国のGT3レースで使用されているが、メルセデスの生産精度は質が高いようで「過去にスーパー耐久でSLSに乗った経験も踏まえると、クルマ自体の個体差というのは非常に少ないと思う」とのこと。製造ロットによる“個体差”が僅差であるという信頼感の高さも、多くのチームが選択する理由のひとつとなっている。


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