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スーパーGTニュース

投稿日: 2016.03.14 00:00
更新日: 2018.02.17 13:30

GT500用カーボンプロペラシャフトは破断との戦い


 皆様お元気でいらっしゃいますでしょうか? 不定期に掲載されます私、メカ好き“変態カメラマン”こと鈴木紳平のブログ。今回は公益社団法人 自動車技術会の主催によって開催されるモータースポーツのシンポジウムをレポートしたいと思います。このシンポジウムは“モータースポーツ技術と文化”というテーマのもと二輪・四輪の技術開発をテーマに対談などが行われます。講演の内容に沿った展示物もありかつては、スーパーGT 09規定時の風洞モデルや搭載エンジンの3メーカー同時展示などがあり大いに盛り上がりました。

 今年もMotoGPでチャンピオンを獲得したYAMAHA YZR-M1やダンロップの各カテゴリーのタイヤ、スバル/BRZ(GT300)のエンジンなどの展示がありましたが、注目はスーパーGT500クラス用の最新カーボンプロペラシャフトです。DTM(ドイツツーリングカー選手権)との規則統一によって新たに開発されたカーボンプロペラシャフト。私も実物を見たのはサーキットで1回だけ。今回はそれを間近に見れて写真も撮れてさらに触ってもいいという事で小躍りしながら参加しに行った次第です。

さぁ会場に到着です。MotoGP チャンピオンマシンを横目で見つつ一目散にカーボンプロペラシャフトへ向かいます。

ありました。三菱レイヨン製のGT500カーボンプロペラシャフト。美しいです。まさに日本刀のような妖美な魅力を感じざるを得ません。この写真では手前がミッション側、奥がエンジン側になります。

開発担当者に話を聞きもせず細部を見ていきます。白の矢印は回転方向。手前がエンジン側になります。

アルミ合金のフランジ部に誇らしげに刻印された“Made in japan”の文字。ぜひITR(ドイツのモータースポーツ統括団体)の方にも見てもらいたいです。

この白線はプロペラシャフトとアルミ合金で出来たフランジの接着位置を表すものです。これについては後ほど説明があります。

これはカーボンプロペラシャフトの素になる炭素繊維(7〜10ミクロン)です。これが、

このようなシート状になります。下が繊維が細く薄いシート、上が繊維が太く厚みもあります。これがカーボンプロペラシャフトの素のようです。

ここでふと、2008年に見たGT-Rのカーボンプロペラシャフトとは違うな、昔のはもっと繊維が見えていた気がするなぁ、なんて考えます。

 まぁいいかと中空になっている内部を覗きます。フランジ部に何かシールのようなものが貼ってあります。バランスウェイトか……、なんて考えながら定規で計測したり、かぶりつきで撮影していると背後から“何をしているんですか?”と声が聞こえます。

 声を掛けてくださったのはこのカーボンプロペラシャフトの開発者、三菱レイヨンの越畑雅信さん。この開発プロジェクトをNISMO(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)と共同で進められ、6ヶ月という短い期間で開発を達成し開幕戦の岡山をGT500全車ノートラブルで走りきらせた、その人です。


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