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スーパーフォーミュラニュース

投稿日: 2012.05.29 00:00
更新日: 2018.02.16 09:21

Project μ/CERUMO・INGING、2台揃って完走


2012Formula Nippon
Project μ/CERUMO・INGING Race Report

第3戦 オートポリス
◆ 5月27日 (日) 決勝

#38 平手 晃平 7位 / #39 国本 雄資 8位
< 決 勝 > 天候:晴れ | コース状況:ドライ

 やや曇りがちだった前日に比べ、より日差しが強まった日曜。Project μ/CERUMO・INGING はついにオートポリスでの第3戦決勝日を迎えた。前日の予選では平手がQ3に進出し6番手、国本がQ3に進めなかったものの10番手と、ともにポイント獲得への期待膨らむグリッドを確保。しかし、新しく路面を前面改修したオートポリスでは決勝に向けたセットアップなどまだまだ未知数な部分があるだけに、決勝日朝のフリー走行はいつも以上にチームにとって重要なセッションとなった。

 午前9時のセッションスタートと同時にコースインした平手、国本の2台。序盤はピットストップシミュレーションなどをこなし、徐々に連続周回に入って行くと、まずは平手が午前9時09分に1分32秒939、次いで国本が1分33秒226をマーク。Projectμ/CERUMO・INGING の2台は、まずは13〜14番手につける。

 爽やかな朝の空気から徐々に日差しが強まって行く中、精力的に周回を重ねる平手と国本。ともに30分間で行われるフリー走行のセッション半ばには1分32秒台前半〜中盤で順調に走行を続けると、午前9時15分あたりで相次いでピットイン。決勝を想定し、さらなるセットアップ修正を加えて行く。

 そして再びコースに戻った国本は、再び連続周回に入り午前9時25分には1分32秒315をマークするなど、まずまずのペースで周回も、最終的には7周目に記録した1分32秒299がこのセッションのベストタイムとなり、15番手で走行を終了。やや長めのピットストップとなった平手も残り5分を切ったところでコースインした後の13周目に、1分31秒421と一気にタイムを上げて7番手としてこのセッションを終える。この後に行われたサーキットサファリの時間帯をも活用しつつ、Project μ/CERUMO・INGING は午後の決勝に向けた最終調整を整えることとなった。

 ピットウォークや2輪の決勝レースなどを終えた午後2時30分。いよいよ54周の決勝レースに向けたフォーメイションがスタートした。事前に行われたウォームアップラップでマシンのフィーリングを最終確認した平手と国本は、それぞれイン側の3列目、5列目から気温24℃、路面温度は50℃近くまで上昇する中、決勝でのポイントゲットを目指す。

 レッドシグナルが消え、迎えたスタート。好スタートを決めた平手はスタート直後の混乱をかいくぐり、1周目のヘアピン立ち上がりで松田次生を抑えて5番手に浮上。一方国本はスタート後の加速が悪く、逆にロケットスタートを決めた山本尚貴の先行を許し11番手で1周目を終える。

 序盤、前を行く大嶋和也、ロイック・デュバルを追走する平手は、コンスタントに1分33秒台のラップを続けるが、じりじりとデュバルとのギャップが広がり始める。11番手で前を行く金石年弘を追う国本は、5周目の最終セクターで金石がスピンしたことでひとつ順位を上げペースアップ、今度は小暮卓史を追いかけ始める。

 9周目には平手が1分33秒137、10周目には国本が1分33秒285と、互いにベストラップを更新しながらレース序盤を戦う2台は、さらに33秒台フラットあたりまでペースを上げていく。すると、15周目に7番手を走行していた中嶋一貴がピットインしたのを皮切りに、翌周には小暮、さらに翌周には大嶋和也、山本尚貴らが相次いで早めのピットインを行ったため、平手、国本は労せずして4番手、6番手とそれぞれ好位置にポジションアップを果たす。

 32秒117というベストラップを同時に更新するなど、レース中盤に向けてProject μ/CERUMO・INGING は力強いレースを展開していく。26周目には平手と国本の間、5番手を走行していた松田がピットインしたことで、国本が5番手に浮上。2台のベストラップはともに31秒台半ばにまで向上し、ますます上位入賞への期待が高まって行く。そして迎えた34周目、予定通りProject μ/CERUMO・INGING はまず国本をピットに呼び寄せ、給油とタイヤ交換。ピットアウトした国本は、中嶋に次ぐ9番手でコースに復帰。一方31秒台前半の好タイムを連発していた平手は、37周目にピットイン。後続とのタイム差を考えると、早めにピット作業を終えていた大嶋や松田らに先んじる可能性は充分にあった。

 ところが、この平手のピット作業で予期せぬアクシデントが起こる。タイヤ交換の際、ホイールナットが噛んでしまいホイール装着が出来なくなってしまったのだ。何とかタイヤを装着して平手はピットアウト出来たものの、ここで大きくタイムをロスしてしまったことで、平手は先にピットに入っていた国本の直前、8番手でのレース復帰となってしまう。

 ピットでの遅れを挽回すべく、39周目に1分31秒356のベストラップをマークしながらプッシュする平手は、40周目にピットインを引っ張っていた中嶋大祐がピットに入ったことでポジションアップし、国本とともに7〜8番手に。2台そろってポイント圏内に進出したProject μ/CERUMO・INGING だが、平手も国本も、さらなる上位を狙ってレース終盤に突入する。諦めずにプッシュを続ける平手。その前には、タイヤの消耗からかややペースの落ちた大嶋がおり、2台の差は一時4秒以上あったものの見る間に詰まり、44周目には3秒を切り、さらに47周目にはついに1秒以内という状況に。テール・トゥ・ノーズ状態となった平手は、なんとか大嶋を捕らえようと奮闘を続けるが、抜きどころの少ないオートポリスのコースレイアウトも相まって、なかなかチャンスは訪れない。

 終盤ややペースの落ちていた国本も、最後の気力を振り絞って52周目に1分31秒173の自己ベストを更新、前の平手とのギャップを縮めるが、これ以上のポジションアップは許されず。平手も大嶋をかわせぬままチェッカーを迎えることとなり、結局平手は7位、国本は8位でのフィニッシュとなった。

 待望の今季初ポイント、しかも2台揃ってのポイント獲得を果たしたProject μ/CERUMO・INGING だが、ピットでの作業ミスによってさらなる上位入賞を逃したことでレース後のピットには笑顔はなかった。更なる課題も浮き彫りになった週末だが、次戦は7月の富士スピードウェイ。第4戦では会心のレースを期待したい。

ドライバー/#38平手 晃平
「トップの2台やロイックのペースには僅かに及びませんでしたが、途中まで自分もかなり良いペースでラップを重ねていましたし、このままならピットアウト後も4〜5番手辺りでレースに復帰して松田選手と勝負かな、と思っていただけにピットでのロスが悔しいです。たぶん8〜9秒ほどロスしたと思いますが、コクピットから交換に手間取っているのが見えていましたから……。クルマの状態ももっと上位を争えるものだっただけに、余計に残念です。最後はなんとか大嶋選手を抜こうと頑張ったのですが、ちょっとプッシュするとタイヤが厳しくなってしまう状況でしたので、残念ながら抜き切るチャンスはなかったですね。なかなか思うような戦いが出来ていませんが、7月の富士ではしっかりとしたレースが出来るように照準を合わせて表彰台を勝ち獲りたいですね」

ドライバー/#39国本 雄資
「かなり厳しいレースになりました。予想以上にグリップ感がなく、特に後半はプッシュするのが怖いくらいというか、かなりリスキーな状態で、ガソリンが軽くなってくると多少コントロール出来るレベルになったのですが、重い状態では非常に苦労してしまいました。それでペースも今ひとつ上がらなかったように思います。今季初ポイントということですが、内容としては満足の行くレースではなかったです。スタートでもシフトアップの際にうまくギヤが入らずもたついて3〜4台に抜かれてしまったと思いますが、2コーナーで何台かがコースアウトしたので少し挽回出来たので助かりましたし、その後ピットで逆転出来たので僕に関しては戦略面などはうまく行ったように思います。次の富士はオフのテストが凄く良かったので楽しみにしたいですね」

監督/立川 祐路
「ようやく今季初めてポイントを獲得、それも2台そろってのポイント獲得となったのですが、内容的には問題がありましたね。昨日の予選では国本のマシンでトラブルがありましたし、今日はピット作業でミスが出てしまうなど、チームとして改善すべきところが露呈してしまったように思います。特に今日のピットでのミスは、あれがなければ平手はもうひとつふたつ、上の順位でフィニッシュ出来ていただけに、ミスでポイントを落としているのはやはり悔しいですし、絶対に改善出来る部分であり、改善しなければなりません。次の富士に向けては少し時間も開きますし、この3戦で出た問題点をきっちりとチームとして改善して臨みたいと思います」


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