モータースポーツの「歴史」に焦点を当てる老舗レース雑誌『Racing on』と、モータースポーツの「今」を切り取るオートスポーツwebがコラボしてお届けするweb版『Racing on』では、記憶に残る数々の名レーシングカー、ドライバーなどを紹介していきます。今回のテーマは1987年の世界スポーツプロトタイプカー選手権やル・マン24時間レースを戦ったグループCカーの『ジャガー XJR-8』です。

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 1982年、FIAは新たなスポーツプロトタイプカーカテゴリーであるグループCを世に示した。

 このグループCには、車体については車両の寸法、最低重量などが決められていたものの、エンジンに関しては排気量、気筒数等を基本的に自由に設定できる、という大枠ではあるが、そのような車両のルールが定められていた。

 しかし、エンジンの自由度が高いかわりに、レース距離に応じて使用できる燃料の総量と燃料タンクの容量に制限を設けていた。つまり、燃費を気にしなくてはいけないため、“高出力なエンジン=有利”とはならないレギュレーションになっていたのだ。

 そんな絶妙な規定もあってグループCは人気を博して、さまざまな自動車メーカーやコンストラクターが参入し、1980年代後半にかけて勢いを増していった。そして、このグループCにおいて規定本格施行初年度である1982年からシリーズを牽引したのがポルシェだった。

 ポルシェは、世界選手権がグループCによって争われるようになる1982年から956というマシンを投入した。すると、初年度から世界選手権とル・マン24時間レースを制覇。その後、1985年に主に安全面の車両規定変更に対応した962Cに主力車種を変更したあとも選手権タイトルとル・マン24時間を連覇し続け、ポルシェはグループCの絶対王者であり続けていた。

 そんな折、ポルシェに待ったをかけるマシンが現れた。それがジャガーXJR-8だった。

 ジャガーは、1985年よりグループCの戦線にXJR-6というマシンで参入。2年目となる1986年には世界選手権で早くも初優勝を記録している。XJR-8はその“初号機”であるXJR-6のアップデート版といえるマシンだ。

 XJR-8のシャシーは、XJR-6から基本的な仕様を受け継ぎ、この時代としては先進的だったカーボンでモノコックが製作されていた。そのシャシーにまとうボディカウルは、XJR-6よりも空力特性が改善されたデザインとなり、搭載されたエンジンについては、排気量がXJR-6までの6.5リッターから7.0リッターへと拡大されていた。

 ほかにも車体全体での軽量化が進められた結果、前作XJR-6よりも大幅にポテンシャルアップを果たし、1987年の世界選手権では開幕4連勝を含む、計8勝を記録する強さを見せ、この年のチャンピオンを獲得。これにより1982年より続いていたポルシェ勢の連覇がついにストップしたのだ。

 だが、その一方で、ロードラッグの専用ボディカウルや専用エンジンを開発し、車体各部の強度アップを施したXJR-8 LMをル・マン24時間レースに投入したものの、ここではポルシェに敗北を喫してしまう。

 ジャガーは、この雪辱を果たすべく、翌1988年に向けさらにマシンのポテンシャルアップを図るのであった。

『ジャガーXJR-8(1987年)』スピードで打倒ポルシェを果たした殊勲車【忘れがたき銘車たち】
1987年の世界スポーツプロトタイプカー選手権第9戦スパ1000kmを戦ったジャガーXJR-8の4号車。ジョン・ニールセンとエディー・チーバーがステアリングを握った。
『ジャガーXJR-8(1987年)』スピードで打倒ポルシェを果たした殊勲車【忘れがたき銘車たち】
1987年のル・マン24時間レースを戦ったジャガーXJR-8 LMの6号車。マーティン・ブランドルとジョン・ニールセンがドライブした。

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