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レーシングオン ニュース

投稿日: 2022.06.20 10:17
更新日: 2022.06.20 12:22

『ポルシェ911 GT2 Evo』“GT2”の名でGT1へと挑んだポルシェ911【忘れがたき銘車たち】

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レーシングオン | 『ポルシェ911 GT2 Evo』“GT2”の名でGT1へと挑んだポルシェ911【忘れがたき銘車たち】

 モータースポーツの「歴史」に焦点を当てる老舗レース雑誌『Racing on』と、モータースポーツの「今」を切り取るオートスポーツwebがコラボしてお届けするweb版『Racing on』では、記憶に残る数々の名レーシングカー、ドライバーなどを紹介していきます。今回のテーマは、『ポルシェ911 GT2 Evo』です。

* * * * * *

 1994年から1999年までのおよそ6シーズン、ル・マン24時間レースなどスポーツカーレースの“主役”ともいえる存在だったカテゴリーのGT1。

 当初、このGT1は量産車の色を濃く残すGTカーによる戦いだった。しかし、徐々にプロトタイプカーをはじめとした“スペシャルマシン”による戦いへと過激化の道を辿る。そして、1999年にはクラス名を変え、GT1の時代は終焉を迎えた。

 この“GT1過激化”のきっかけを作った1台が、1996年に登場し、1998年にはル・マン24時間レースを制した『ポルシェ911 GT1』だった。しかしポルシェは、この『911 GT1』以前にもGT1向けの1台を仕立てていた。それが、今回紹介する『ポルシェ911 GT2 Evo』である。

 GT1向けに開発された『911 GT2 Evo』だが、GT2クラスを走っていた993型のポルシェ911をベースとする『911 GT2』と外観上の違いは少ない。

 専用部分は、フロントバンパーのエアを取り込む開口部が左右に設けられたデザインになっていることや、拡幅されたリベット留めのオーバーフェンダーを装着していること。加えて、リヤウイングも純正からさらに高い場所、ほぼルーフと同じ位置にマウントされていた。搭載されるエンジンは、排気量こそ3.6リッターのままだが、ツインターボで最終的に600馬力を発揮するユニットに仕立てられていた。

 こうしてGT1向けの専用チューンが施された『911 GT2 Evo』は、ポルシェのファクトリーチームとしてレースを戦う選択は取らず、ラルブル・コンペティションというポルシェの有力プライベーターに託され、1995年のBPR GTグローバルシリーズとル・マン24時間レースにエントリーした。

 しかし、『911 GT2 Evo』がデビューした1995年は、『マクラーレンF1 GTR』という強力なライバルが存在した。『911 GT2 Evo』はル・マン24時間レースでもBPR GTでも目立った戦果を挙げることはできず、マクラーレン勢に惨敗してしまう。

 1996年になると『911 GT2 Evo』は、小さなモディファイが施され、プライベーター向けのマシンとして供給されることになっていく。そしてポルシェ本隊のファクトリーチームは、このままではル・マン24時間レース総合優勝を狙えないと判断を下し、GT1専用マシンである『ポルシェ911 GT1』での戦いへと舵を切っていった。

BPR GTシリーズの1戦だった1995年の鈴鹿1000kmを走った『ポルシェ911 GT2 Evo』。ボブ・ウォレクとジャン-ピエール・ジャリエのドライブで、総合4位でフィニッシュした。
BPR GTシリーズの1戦だった1995年の鈴鹿1000kmを走った『ポルシェ911 GT2 Evo』。ボブ・ウォレクとジャン-ピエール・ジャリエのドライブで、総合4位でフィニッシュした。


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