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ラリー/WRC ニュース

投稿日: 2018.04.23 17:16

WRC:電動クラス規定の策定に向けFIAが協議。Mスポーツは試作車を製作か

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ラリー/WRC | WRC:電動クラス規定の策定に向けFIAが協議。Mスポーツは試作車を製作か

 WRC世界ラリー選手権の将来に向け、FIAとWRCの運営に携わる主要なステークホルダーたちが、今週火曜にスイスのジュネーブで電気自動車(EV)を含む代替エネルギー源の使用可能性について議論を交わすことが明らかとなった。

 現在、WRCは5年間と定めたWRカー規定のホモロゲーションサイクルの2年目を迎えているが、ヒュンダイやシトロエン、トヨタ、Mスポーツ・フォードといったマニュファクチャラーたちは、ラリー界のトップカテゴリーとして将来“あるべき姿”について、新レギュレーション策定を目的に議論を進めたい考えだ。

 自身もラリーのコドライバーとしてモータースポーツでのキャリアを積んできたFIA会長のジャン・トッドは、WRCがハイブリッドやフル電動車両を含む代替エネルギー源を採用することを望んでいるとしつつも、現状でそれらの技術をラリーに適用することの限界点も認識していると語った。

「現時点においては、ラリーステージをレーシングスピードで200km以上も走破し、かつ急速にエネルギー充填が可能なEVや内燃機関以外の車両を提供できるマニュファクチャラーが存在しないことは承知している」とトッド。

「その点において、電気自動車、フルEVマシンでのWRC開催の可能性は完全に除外されるのが現状だ。しかし、新たな技術を導入するべく別カテゴリーやクラスを設けるなど、最適化に向けあらゆる可能性を模索するのは非常に重要だ」

「WRCは環境により優しい技術を導入する必要があることは明らかだ。モータースポーツはショーとしてのスペクタクルのみでなく、新しい技術と安全のための実験室となる必要がある。それはコンペティターだけでなく、マニュファクチャラーの投資をより正当化することにもつながる」

「我々は明らかに、ある種のハイブリッド技術を導入する必要に迫られている。世界は変化しており、自動車産業やレースの世界もその例外ではないのだ」

 WRCを含むラリー競技は一般公道を舞台に閉鎖された林道や山道、峠道などを荒れた道を舞台に争われる。特に最高峰であるWRCでは、こういった荒れた路面のSS(スペシャルステージ)を50km以上に渡りレーシングスピードで走行することが求められる。

 またサーキットとは異なりコースアウトした際に充分なエスケープゾーンがない場所も多く、立ち木へのクラッシュや崖からの転落、マシンが複数回回転するような激しいクラッシュなども起こりうる。

 こういったアクシデントがサーキットレースより起こりやすいラリー競技において、ハイブリッドやEV導入の障壁のひとつとされているのがリチウムイオンバッテリー。スマートフォンなどにも使用されているリチウムイオンバッテリーは過度な衝撃が加わると発火や爆発する恐れがあり、この問題への対策が施されない限りラリー競技への導入は難しいとの見方が強い。

 そのためFIAはラリー競技より先に、サーキットレースとラリーの要素をあわせ持つラリークロスの電動化を優先。2020年には世界選手権であるWorldRX世界ラリークロス選手権がフルEVカテゴリーに生まれ変わる見込みだ。

 その一方であるWRCワークスチームの上級メンバーは、フルEVやハイブリッドの技術特性や導入可否を議論する以前に、現行のテクニカルレギュレーションを調整して、新技術導入前に暫定的な対応を進められる余地があるのではないかと話す。

市販車の世界ではハイブリッドの先駆者でもあるトヨタ
市販車の世界ではハイブリッドの先駆者でもあるトヨタ

「市販車でも内燃機関、HV、EVと分かれており、ラリーでも同じ考え方が必要」との声も

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