10月25~28日に行われたWRC世界ラリー選手権第12戦スペインのWRC2クラスへ参戦し、1戦限りのワークス復帰を果たしたフォルクスワーゲン・モータースポーツは、この1戦が近日中にデリバリーを開始する新型マシンのデモンストレーションとして成功だったと評価している。
2016年限りでWRCでの活動を終了したフォルクスワーゲンは、圧倒的な強さを誇ったフォルクスワーゲン・ポロR WRCの開発ノウハウを活用して、カスタマーチーム向けに人気を博しているR5市場へ名乗り。新型車両『フォルクスワーゲン・ポロGTI R5』の開発を進めており、2018年内にデリバリーを開始する予定だ。
そんなチームの最新鋭マシンであるフォルクスワーゲン・ポロGTI R5のお披露目とデモンストレーションを兼ねて、チームはWRC第12戦スペインに参戦。ペター・ソルベルグとエリック・カミリのふたりを擁してWRC2クラスに臨んだ。
■カミリは一時クラス首位浮上もシフトトラブルで後退。ソルベルグは安定した走りで表彰台
このポロGTI R5は開幕前のテスト走行にあたるシェイクダウンから速さを発揮すると、現地25日に行われたSS1ではカミリがクラストップタイムをマーク。翌26日に行われたSS7を終えた時点でカミリがクラス首位、ソルベルグがクラス3番手につける強さをみせつける。
競技3日目にあたる27日は雨が降る難しいコンディションとなり、各ドライバー/チームのタイヤ戦略が勝負を分けることに。
クラス首位で臨んだカミリはコンサバティブなタイヤ選択をしたこともありSS9で首位から陥落。さらにSS11ではシフトリンケージにトラブルが発生してしまい、SS12を前にデイリタイアを余儀なくされてしまった。
一方のソルベルグは雨模様の午前中こそ苦戦を強いられたものの、午後には挽回し競技3日目最後のステージであるSS14を終えた時点でクラス4番手につけた。
最終日の28日、ラリー2規定で競技に参加したカミリはSS17でトップタイムを記録するなどマシンのパフォーマンスを発揮。ソルベルグは危なげない走りでステージを駆け抜けると、クラス3位を獲得し、ポロGTI R5にデビュー戦ポディウムをもたした。
「(最後にWRCへ参戦してから)6年も経つのに、最高の結果だよ」と語るのは、クラス3位表彰台を手にしたソルベルグ。
「たった2日間のテストと、まったく新しいペースノートをもとに走るのは簡単ではなかったから、僕自身と(コドライバーの)ベロニカ(エンガン)が成し遂げたことを誇りに思うよ」
「デビュー戦で表彰台を飾るというのは、これ以上ない結果だ。もう少し攻めればさらに上位へいけたかもしれないけどね。とにかくマシンはドライブしていて楽しかったよ」
デイリタイアが響き、最終的にクラス18台中17位に終わったカミリも「これだけは言わせて欲しい。ポロGTI R5をドライブしている間は本当に楽しい時間だった」とコメントしている。
「マシンがあらゆるコンディションで速さを発揮できることを証明したいと思っていて、その目標は達成できた。僕たちがもう少し運に恵まれていれば、クラス優勝も不可能ではなかったよ」