ERCヨーロッパ・ラリー選手権の2019年シーズン開幕戦、アゾレス・ラリーが大西洋に浮かぶポルトガル領アゾレス諸島の風光明媚な全15ステージで争われ、2018年に自身初の欧州チャンピオンに輝いたアレクセイ・ルキヤナク(シトロエンC3 R5)がほぼラリーの全行程で主導権を握ったものの、レグ2でのパンクから無念のクラッシュ。ポーランド人の伏兵ウカシュ・ハバイ(シュコダ・ファビアR5)がERC初優勝を飾った。
“ロシアン・ロケット”の異名を持つ王者ルキヤナクは、このオフシーズンには各参戦チームからプライベートテストに招待され、昨季までの愛機フォード・フィエスタR5を筆頭にシュコダ・ファビアR5、シトロエンC3 R5と最新R5カーを立て続けにテスト。開幕前には最新モデルとなるフォルクスワーゲン・ポロGTI R5へのスイッチも匂わせる発言もあった。
しかしディフェンディングチャンピオンが2019年のタイトル防衛に向け選んだのは、フランスの強豪セインテロック・レーシングへの加入で、新たに同チームが昨年よりテスト投入してきたシトロエンC3 R5のステアリングを握ることを決断した。
3月21日木曜からレグ1として開幕した3つのループステージでは、シトロエンに乗る王者が全SSでベストタイムをマークし、今季からERC1へと改称したジュニア登録のピエール-ルイ・ルーベ(シュコダ・ファビアR5)に対し3.1秒のマージンを築き、幸先良くラリーリーダーに立ってみせる。
「やはり初めてドライブする新型マシンで速く走れるかどうか、スタートする前までの長い間、本当に不安でしょうがなかったよ」と心境を吐露したルキヤナク。
「実はダッシュボードの計器類や一部のファクションボタンが充分に機能していなくて、万全な状態ではなかったけれど、このループステージでは細心の注意を払ってドライブすることに集中した。なにせラリー前には40kmほどのマイレージしか稼げていなかったからね」
「でもそうした些細な問題以外、マシンはちゃんと機能してくれた。ミスもほとんど犯さなかったし、このまま続けていきたいね」と、王座防衛に向け初日から手応えを得たチャンピオン。
こちらも今季からファビアをドライブする2番手ルーベに続き、2016年アゾレス勝者でもある地元のスター、リカルド・モーラ(シュコダ・ファビアR5)が3番手、ERC1登録のクリス・イングラム(シュコダ・ファビアR5)が続き、ダブルERCジュニアタイトルホルダーでこちらも今季からバウムシュラッガー・ラリー&レーシングに復帰しVWポロGTI R5に乗り換えたマリアン・グリーベルのトップ5でレグ1前半戦を折り返すことになった。