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ラリー/WRC ニュース

投稿日: 2019.06.07 16:21

WRC:2022年までのハイブリッド化目指すFIA、「選手権のレベルやコストに悪影響はない」

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ラリー/WRC | WRC:2022年までのハイブリッド化目指すFIA、「選手権のレベルやコストに悪影響はない」

 WRC世界ラリー選手権が検討を進めているハイブリッド技術の導入に関して、FIA世界自動車連盟のラリー部門ディレクターを務めるイブ・マトンは、2022年にハイブリッド技術が本格導入されたとしても「コンペティションへの悪影響やコスト高騰の懸念はない」と語り、一刻も早い電動化技術の導入に意欲をみせた。

 これまでもWRCの将来的なクリーンモビリティ化についての議論は長らく続けられてきており、とくに電動化に関しては代替エネルギーの筆頭候補とされてきた。

 2018年4月にスイス・ジュネーブで開かれた検討会でも、FIA会長のジャン・トッドは「我々は明らかに、ある種のハイブリッド技術を導入する必要に迫られている。世界は変化しており、自動車産業やレースの世界もその例外ではないのだ」と語り、WRCも変化することの重要性を説いていた。

 しかし、そのWRCやダカール・ラリーでコドライバーとしてモータースポーツキャリアを築いてきたトッド会長としても、サーキットとは異なりコースアウトした際に充分なエスケープゾーンがないラリーでのリチウムイオンバッテリーの使用は危険度が高いとの認識も示している。

 立ち木へのクラッシュや崖からの転落、マシンが複数回ロールオーバーするような激しいクラッシュも多発するラリー競技の現場では、過度な衝撃が加わると発火や爆発する恐れがあるリチウムイオンバッテリーの存在こそが、ハイブリッドやEV技術導入のひとつの障壁となってきた。

 こうした技術的課題のクリアには莫大な開発コストが掛かることが予想されるが、それ以外にも約1年前の時点で「現時点においては、ラリーステージをレーシングスピードで200km以上も走破し、かつ急速にエネルギー充填が可能なEVや内燃機関以外の車両を提供できるマニュファクチャラーが存在しないことは承知している」と語っていたトッド会長とは対照的に、現FIAラリー・ディレクターのマトンは「目標は、現在の内燃機関WRカーと同等の車両開発コストで電動化車両を成立させることだ」と、欧州メディアに対して持論を語っている。

「経済的な観点からも、電動化に対する技術分野をいくつかのパートに絞って検討することでそれは実現可能だと思う。ただし、その分野がどこなのかはまだ定まっていない。マニュファクチャラーにとって可能な限り費用対効果が高く、その技術投資に見合う還元率が得られる形でなくてはならない」

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「ハイブリッド化された時代でも現在の内燃機関WRカーと同じレベルの性能と迫力を維持したい」とイブ・マトン


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