フォードのモータースポーツ活動を統括するフォード・パフォーマンスと、WRC世界ラリー選手権などで活動するMスポーツは、カスタマー向けに展開しているラリー車両の最新モデル『フォード・フィエスタR5』を正式発表した。WRC2やERCヨーロッパ・ラリー選手権など、世界各国のシリーズで活躍しタイトルを獲得してきた成功作を引き継ぐモデルになると自信をみせている。
2018年に登場したR2規定モデルと同じく、ドイツ・ケルンにあるフォードのグローバルファクトリーで生産される『フォード・フィエスタST-Line』をベースに製作された2代目フィエスタR5は、フォード・パフォーマンスとMスポーツが共同開発した最新モデルとなる。
初代フィエスタR5は全世界で250台以上が販売・使用されており、R5規定ラリー車両のなかでも大きな成功を収めたモデルと言えるが、このR5市場はフォルクスワーゲンやシトロエンなども相次いで新型車両を投じて競争が激化している。
またR5市場で勢力を伸ばしているチェコの自動車メーカー、シュコダも改良モデル『シュコダ・ファビアR5 Evo』を発表。5月末に行われたラリー・ポルトガルのWRC2プロクラスに投入すると、デビューウインを飾るなどポテンシャルを発揮している。
そんなファビアR5 Evoを筆頭とするライバルメーカーに対抗するべく開発された新型フィエスタR5は、クラクフに拠点を置くMスポーツ・ポーランドが開発を主導した。
搭載される1.6リッター4気筒の直噴ターボエンジンは、ともに4000回転で290馬力、475Nmの出力を発生。レギュレーションで定められた32mm径エアリストリクターを装着した状態でも、レスポンスとドライバビリティが大幅に改善されているという。
サスペンションコンポーネントも刷新され、前後ともにリデザインされた3ウェイ・アジャスタブルのレイガー製ダンパーを備えるマクファーソン・ストラットを採用。完全アルミニウム製に刷新されたダンパーボディはバネ下重量の大幅な軽量化を実現し、トラクションとスタビリティを最適化するためにジオメトリーも完全な見直しを受けている。
そしてこちらも新設計となるサデフ製の5速シーケンシャル・ギヤボックスや、前後デフと油圧サーボを持つラック&ピニオンのステアリング機構、ブレンボ製の鍛造4ポッド前後キャリパーも、R5規定に準じた仕様が装備された。