5月31~6月2日に開催された2019年のWRC世界ラリー選手権第7戦ポルトガルで、2台のフォルクスワーゲン・ポロGTI R5から出火するアクシデントが発生していた。同様の出火トラブルは以前にも複数件報告されていたといい、フォルクスワーゲン・モータースポーツは事故調査内容の報告と同時に、ユーザーへの無償アップデート対応を発表した。
2019年から本格的なデリバリーが開始されたポロGTI R5は、WRC第4戦ツール・ド・コルスで発生したエリック・カミリの火災事故を皮切りに、ERCヨーロッパ・ラリー選手権のラリー・イソラス・カナリアスでは、ダニエル・マルバンのマシンも炎上。
そしてラリー・ポルトガルではペドロ・マイレレスのポロGTI R5がルートを塞ぐ形で全焼したほか、WRC2プロクラスを戦うオーレ・クリスチャン・ベイビーのポロGTI R5もSS10で出火した。
さらにラリー・ポルトガルと同じ週末に開催されていたスイス選手権のラリー・ド・シャブレーではセバスチャン・キャロンがポロGTI R5で勝利を挙げているものの、セドリック・アルトハウスのマシンが炎に包まれる事態となっていた。
この事態を重く見たフォルクスワーゲン・モータースポーツは、専門家とともに技術検証を行い、ポロGTI R5の構造的問題が事故の原因となっているかを調査。最終的に、リヤのフロア面にある燃料タンク上部に配されていた安全バルブが不具合を起こしていた可能性があるとの調査報告を公開した。
フォルクスワーゲン・モータースポーツによれば、すでに問題解決に向けた作業を進めており、テストも実施済み。これまでに販売された車両には無償アップデートで対応することも発表された。
また、この無償アップデートが施されるまでの間にポロGTI R5で競技に参加する場合、マシンを運用するチームは調査結果詳細と対策法、燃料仕様に関する推奨事項などのアドバイスが受けられるという。