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ラリー/WRC ニュース

投稿日: 2019.06.20 16:30
更新日: 2019.06.20 13:14

WRC:勝田貴元、2019年内に最上位クラスデビューか。マキネン「ヨーロッパで彼を走らせたい」

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ラリー/WRC | WRC:勝田貴元、2019年内に最上位クラスデビューか。マキネン「ヨーロッパで彼を走らせたい」

 トヨタのWRC世界ラリー選手権育成ドライバー、勝田貴元がWRカーのヤリスWRCで世界選手権に出場する可能性が高まってきた。その根拠となるのは、インターネットのモータースポーツサイトに掲載された、トヨタWRCチームのスポーティングディレクター、カイ・リンドストロームの発言だ。

 フェルナンド・アロンソが今年10月のWRC(第13戦)スペインに、ヤリスWRCで出場するかもしれないという噂が立ち、それに対し、「もし、スペインで4台目のヤリスWRCを走らせるとしたら、そのシートは貴元に与えられるだろう」と答えたためだ。

 そこでWRC第8戦イタリア(ラリー・イタリア・サルディニア)の現場で、チーム代表のトミ・マキネンに質問をぶつけてみた。今年、貴元にそのチャンスはあるのかと。

 するとマキネンは、「個人的にはあると思う。今年に入ってからの貴元の成長は著しく、とくにWRC2ポルトガルでの力強い戦いは印象的だった。あのレベルに達していれば、WRカーをドライブしても問題ないと思う。これからトヨタの承認を得なければならないが、ヨーロッパラウンドで彼を走らせたいと思っている」と答えた。

 次に、サルディニアにはいままでどおりフォード・フィエスタR5で出場していた貴元に、「スペインでヤリスWRCに乗るという記事が出回っているが」と直撃したところ、次のように述べた。

「僕もそのニュースを読みましたが、最初に思ったのは『いつかアロンソとチームメイトになったら面白いな』ということでした(笑)。本当にそうなったら、すごいことですよね。それはさておき、WRCでヤリスWRCに乗れるチャンスがあれば、もちろん乗りたいです」

 貴元はすでに何度かヤリスWRCをドライブしており、フィンランド国内戦ではあるが、実戦デビューも果たしている。

「初めてWRカーに乗ったのは、昨年のラリー・フィンランドの後で、15分くらい走りました。その後、年末にフィンランドのグラベルで2日間テストをしましたが、そのときはかなりの悪天候で路面はウエットでした。そして、今年の3月にはフィンランド国内選手権のヨエンスー(イタ・ラリー)にヤリスWRCで出たのですが、ものすごい雪で、しかも先頭走者だったので雪かきが大変でした」

勝田貴元はトヨタ・ヤリスWRCでイタ・ラリーに参戦した
勝田貴元はトヨタ・ヤリスWRCでイタ・ラリーに参戦した

 ヨエンスーでの貴元は、ラッセル車(除雪用車両)のごとく新雪をかき分けながらの走行を強いられ、格下のR5マシンに迫られた。しかし、最終ステージで意地のアタックを敢行。WRカーデビュー戦を優勝で飾った。

 そして今年5月、同じくフィンランド選手権のリーヒマキ・ラリーでも貴元はヤリスWRCをドライブ。路面はグラベル。当初、WRカーは貴元だけの予定だったが、急きょヒュンダイがワークスカーのi20クーペWRCを送り込み、育成ドライバーのヤリ・フッツネンにステアリングを委ねた。トヨタとヒュンダイの若手育成ドライバーによるWRカー対決が実現したのだ。

「フッツネン選手はフィンランドでは非常に将来有望なドライバーと考えられていますし、僕もリスペクトしている選手のひとりです。その彼と、クルマこそ違いますが、同じWRカーで戦えたのは、とてもいい経験でした。比較対象がないと、自分がいまどのレベルで走っているのか、なかなか分かりませんからね」

勝田貴元がドライブしたトヨタ・ヤリスWRC
勝田貴元がドライブしたトヨタ・ヤリスWRC

 リーヒマキはWRCラリー・フィンランド以上の超高速グラベルラリーで、しかも悪天候により路面コンディションは良くなかった。フッツネンは過去に何度か出場の経験があったが、貴元にとっては初めて挑むラリー。ヒュンダイのワークスドライバー候補生を相手にどこまで戦えるのか、注目が集まっていた。

 ラリーが始まってみると、貴元は周囲の予想以上に速く、最初のステージでベストタイムを記録。以降、全8ステージのうち7本でベストタイムを刻み、最終的にフッツネンに12秒の差をつけてフィニッシュ。ヤリスWRCでのグラベルラリー初戦を、見事優勝で飾った。

■勝田も最上位クラスデビューに前向き。「WRカーに乗り、経験を積む段階には来たのかも」


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